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漢方医として腕を上げる方法

5. 創薬の具体的な方法(独自の丸薬作り)

5.3. 瘀血の考え方と分類

瘀血を取る薬(駆瘀血薬)を作る

瘀血という言葉は、血液の循環が悪くなったり、体に非生理的な血液が溜まった状態を示す漢方の言葉だ。病気を表す言葉ではなく、体質や病状を示す言葉として使われる。
例えば打撲傷で皮下出血が起こった状態は瘀血であり、知らない間によく青あざができるような人は瘀血体質ということになる。

瘀血という病態の定義は曖昧で、漢方の医学的仮説ではあるが、瘀血の考え方で病気を治していくと驚くほど効く場合が多い。(漢方における体質の重要性を参照)

一番分かりやすいのは打撲の治療だ。打撲によってできた皮下出血は瘀血を取る漢方薬ですぐに吸収されるだけでなく、速やかに痛みも消失することが多い。

瘀血の治療

34歳の鍼灸師。治打撲一方という打撲を治す薬(瘀血をとる薬)で4日目には治ってしまった。

瘀血を取る薬の分類

瘀血の概念と瘀血に使われる生薬を簡単な表にして分類と整理をしてみよう。

瘀血に使われる生薬

大まかに分けるとこういう分類になるが、実際に処方に含まれる瘀血を取る生薬を分類しても病状によって特徴的な生薬が使われているというわけでもない。つまり使われる病態を分類しても生薬の性格は分からない。
そこで今度は瘀血を取る生薬の効能について書いた本から各生薬の効能を表にまとめてみた。

各生薬の効能

瘀血を取ると言われている生薬(活血薬)は、単に瘀血を取るだけではなく、鎮痛作用、鎮痙作用、抗炎症作用、月経を正常にする作用など多彩な薬能を持っている。この効果は瘀血という概念を通してこういう作用を発揮するのか、単にそういう作用を持ち合わせているのかは不明だ。そうなるとすべての瘀血を取る生薬をすべて丸薬にして1つずつ効能を確認していく必要が出てくる。

単味の生薬丸。蘇木、丹参、益母草、桃仁、水蛭などがある。

漢方医と話していると、本に書かれた瘀血の薬能を頭から信じている場合が多い。だが、単味の丸薬を作って吟味していくと言われているような作用がなかったり、違う作用があることも多い。

例えば牡丹皮は化膿性疾患で拍動性の痛み、例えば爪角炎などで赤くはれ上がり、ズキンズキンと脈拍のような痛みのある時には大変よく効くが、一般的な痛みにはそれほど効かない。

丸薬を作る困難さ

油がしみ出してくる瘀血を取る生薬を単味にして丸薬にしていくと丸薬にできないものも出てくる。例えば桃仁。桃仁(とうにん)という生薬は桃の種の中に入っている仁(さね)で油性成分が多い。こういう生薬は丸薬にはならない。

写真をみても分かるように圧力をかけると油が浸みだしてくる。桃仁泥という言葉があるほどだ。桂枝茯苓丸といった丸薬が何故できるかというと、他の生薬末が油成分を吸ってくれるからで、単独の桃仁薬を作るのは困難を極めた。

私が一番興味をもっている瘀血を取る生薬は蘇木であり、癌患者さんの痛みなどに強力な鎮痛効果を発揮することがある。
ただし、その場合も単独ではなく、本来の通導散の加減の中で発揮することが多く、そのメカニズムは不明だが、師の山本先生が「蘇木には強力な鎮痛効果がある。」と言っていたのは本当だと感じている。

一つ一つの生薬の効果については謎の部分も多いが、私は幾つかの瘀血を取る薬を組み合わせて強力な駆瘀血丸薬を使って治療に用いている。
薬効が明瞭で強力な生薬は単味あるいは少数の生薬を混ぜて丸薬にして使えるが、あまり分からない場合、複数の物を混ぜて新しい薬として使う。

瘀血の場合は使う病態で使い分け、効能のかぶる生薬は当面すべてに入れて使っている。目の前の患者さんを治すことが優先だからそういう方法を取らざる負えない。それでも従来の瘀血を取る薬よりはるかに強い薬を作ることができる。

「漢方医として腕を上げる方法」目次

1. 日本の漢方の悲惨な現状
  1. 1.1. 漢方の故郷 中国(2016.12.01)
  2. 1.2. エキス漢方の投与量はどうして1日7.5gなのか?(2016.12.15)
  3. 1.3. 保険漢方医は7.5gを超えて投与した経験がない(2017.01.01)
  4. 1.4. 漢方の理論を勉強しても腕は上がらない(2017.01.15)
  5. 1.5. 大学で保険の漢方外来をすることほど恥ずかしいことはない(2017.02.01)
2. 腕をあげるための2つの原則と1つの道具
  1. 2.1. 漢方理論を臨床に持ち込まないこと 1つめの原則(2017.02.15)
  2. 2.2. 生薬の薬能は処方の中で変化する 2つめの原則(2017.03.01)
  3. 2.3. 丸薬(丸剤)を生薬解析の道具として使う 一つの道具(2017.03.15 )
3. 漢方医はどういう方法で腕を上げてきたのだろう?
  1. 3.1. 漢方で特許を取ることは出来ない(2017.04.01 )
  2. 3.2. 華陀(かだ)はどうして名医になったのか?(2017.05.01)
  3. 3.3. 秘伝への誤解(2017.06.01)
4. 漢方医学の迷信的治療
  1. 4.1. 漢方メーカーの宣伝にのせられるな(2017.07.01 )
  2. 4.2. 日本漢方より西洋医学の病理学が大切(2017.08.01 )
  3. 4.3. 中医学は空想的(2017.09.01 )
5. 創薬の具体的な方法(独自の丸薬作り)
  1. 5.1. 未知の学問は整理と分類が大切~葛根湯の解析を例に(2017.10.01)
  2. 5.2. 漢方薬に西洋薬の分類を当てはめて利水薬を作る(2017.11.01)
  3. 5.3. 瘀血の考え方と分類(2017.12.01)
最後に
  1. 創薬の楽しさ(2018.01.01)
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