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香杏舎ノート

第309回「大学受験をせずに医者になる方法」

推薦入学する方法

アディーレ法律事務所を作った石丸幸人氏は北里大学の推薦入学を利用して医者になった。日本では29もの大学が弁護士などの経歴のある人を医学部の2年生に入学させてくれる制度がある。入学後の5年間で医学を学ぶ。

こういった経歴のある人が大学に刺激を与えてくれるのを期待してのことだ。試験は面談が中心で、学科の試験はない。国家試験の合格率は80%〜90%あるからほぼ間違いなく医者になることができる。

医者になった石丸幸人氏は保険診療では儲からないから自分で値段を決めることができる自費診療の美容外科を選んだ。しかし、強敵が現れた。韓国の安い美容外科だ。さらに高須クリニックなど、巨額の宣伝費をかけている美容外科も多い。
こういった状況では小さな美容外科クリニックを経営しても上手くいかないだろう。

推薦入学で医者になったほとんどの人は保険医になる。2年の研修医を終える頃には年齢が40歳後半になる。医者の定年は65歳だから病院勤めは15年くらいだ。医者の仕事は、やりがいのある楽しい仕事だが、意外に早く定年になってしまう。

団塊の世代が75歳以上になるのを2024年問題という。75歳を過ぎると医療ではなく、介護が中心になる。つまり、医療対象者が少なくなる。

一方で医者は急には減らせないので余ってくる。コロナ後の不景気で医院や病院の倒産が多くなっているから医者の未来は中々厳しそうだ。

医者になるもう一つの方法

もう一つ医者になる方法はユーロ圏に留学することだ。医学部は日本と同じ6年間だ。ただし、最初の1年は英語の勉強をする。
まずは英語で教育をしている医学部を探す。大学の講義は英語のテキストが使われていることが多いが、必ずしも講義全体が英語ではない。だから講義も含めて英語ですべて講義がされている大学を探す。

私の知っている例は、ルーマニアだ。当時のルーマニア・レウは20円、ユーロは160円だったからすごく安いお金で留学できた。またルーマニアの平均所得は年間40万円くらいだから生活も楽だ。医者になると、ユーロ圏どこでも就職できるようになる。
だが現地で受け入れられるかどうかは別の問題だ。

片言の英語で診察する日本人がその国に住む人に受け入れられる?

そもそも英語しか喋らない医者、しかもタドタドしい英語で診察する日本人の医者に診て欲しいと思う現地の人はいないだろう。だから帰国して日本の国家試験をパスして日本の医者になることを選ぶ。

ルーマニアで英語を学ぶのに1年、医学部の授業が6年。さらに日本での医師国家試験対策に1年、合計8年かかるが、途中で挫折してしまう人も多いという。

ルーマニアに46歳から住んでいた日本人が71歳で医師になり、ギネスの【最年長で医者になった】という世界記録を更新した。ルーマニア語は得意だったが、国家試験は専門用語のルーマニア語なので、何度も挫折しかけたという。

医者の仕事のほとんどはAIが代用できるようになる。手術用のロボットの【ダビンチ】などが多数発明されている。遠隔治療や遠隔診療などの技術の発達で医者の個人的能力は必要無くなってきている。どの病院にも診察に行けて同じ質の高い治療を受けることは不可能になった。

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