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香杏舎ノート

第264回「漢方の媚薬」

30年前に買った【媚薬の博物誌】を本棚から見つけた。

【中国の仙人】という項目には面白い話が出てくる。「奥方が漢方の媚薬をヨボヨボの75歳の下男に飲ませると、曲がっていた腰がのび、白髪は黒々とし、顔はつやつやしてまるで30歳の男のようになった。そして下男は下女に4人の子供を生ませた。奥方もその下男に思わず抱かれてしまった」

鹿茸(ろくじょう)

鹿茸

こういった媚薬の中で一番有名なのが鹿の角(鹿茸)だ。鹿茸は、疲労困憊した時に飲むと1時間もしないうちに元気になる。元々、精力剤ではなく疲労回復の薬だ。

私は鹿茸をあるご婦人に投与した。5日ほど飲むとご婦人から「お乳が張ってブラジャーができなくなった」と文句を言われた。ご婦人の年齢は91歳だから鹿茸には本に書いてあるような摩訶不思議な効果があるのかも知れない。

鹿の角は毎年3月に生え変わる。4月から8月頃は表面が皮膚でおおわれていて、袋角(ふくろづの)と呼ばれる。これをスライスして輪切りにした物が写真の鹿茸だ。

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牛黄(ごおう)

牛黄(ごおう)は牛の胆石で1000頭に1頭の割合でみつかるとても高価な薬だ。牛黄は体を元気にする作用が強い。

鹿茸とは違い、頭の回転がよくなる。二つを飲み比べると鹿茸はゆっくり元気が湧き上がってくる感じだが、牛黄は覚醒剤のように感覚が鋭くなる。老人ボケにも効く。写真の牛黄を粉にして飲む。オーストラリア産の最高級の牛黄だ。

麻黄の覚醒成分

麻黄という生薬はエフェドリンという覚醒成分を含んでいるからこれを飲むと脈拍数が上がり、ハイになる。アメリカのロックコンサートで麻黄を錠剤にしたハーバルエクスタシー(ハーブで出来た麻薬の意味)が売られていて、それを飲んだ若者が20人ほど亡くなった。

日本でも麻黄中毒の人を時々見かける。そんな人は、麻黄が入っている葛根湯を飲むと頭がスッキリするといって飲んでいるが、沢山飲むと死ぬことがあることを知っていて欲しい。

肉従蓉(にくじゅよう)

肉従蓉という薬がある。これも体を元気にする作用がある。

中年のご婦人に投与したところ元気になっただけではなく、バルトリン腺からの分泌が増えて性交が楽になったという。当院では肉丸と呼んでいる。

仙人の房中術

人が夢中になっている時、その人から元気を盗むことができると仙人思想では考えられている。それが房中術だ。

性交に夢中になっていると醒めた相手に気を抜かれる。どうも実在する技術らしい。さまざまな方法があるのは知っているが、証明するのが難しい。

腰部に勃起させるツボがある

70歳のマッサージ師がいた。柔道4段、合気道5段の猛者だ。施術をする間にヤラシイ話ばかりする。「若い時、同級生の女性マッサージ師に施術をしてもらっていると、突然、勃起してしまった。その女性が好きでもないのにと驚いて、勃起していることを証明するために、パンツを下げて女性に見せた」という。私はまた猥談が始まったと思った。

その猛者は「自分が施術をしていると時々勃起する人がいる。もし勃起するツボがハッキリ分かれば元気のない老人を治して大儲けができる」という。嘘だと思っていたが、私は施術を受けていて2度ばかり硬くなりかけたことがあり、この話は本当だと思うようになった。

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