【 漢方・整体施術 治療症例 】
17. 麻黄中毒:40歳男性
副鼻腔炎の治療で受診した患者さんだが、麻黄湯を常用していることが分かった。麻黄湯は鼻のつまりに少しばかり良いのだが、疲れたときに飲むとスッキリするという。
私は患者さんに「それは麻黄中毒だ。」と言った。
麻黄湯の中には麻黄、杏仁、桂皮、甘草が入っているが、この中の麻黄(まおう)には覚醒成分のエフェドリンが含まれている。エフェドリンはとても危険だ。
麻黄湯の成分
麻黄、杏仁、桂皮、甘草
20年くらい前のことだが、アメリカのロックコンサートで麻黄の錠剤が売られていた。ハーバルエクスタシーという名前だ。麻薬のエクスタシーに対抗してハーブのという名前がついている。ハーブだから安全というわけではない。この麻黄の錠剤を多量に摂取して若者が20人ばかり死んだのでそれ以降、アメリカでは麻黄は禁止薬物となった。
麻黄は麻黄湯のみならず、葛根湯や麻黄附子細辛湯にも含まれている。これらの薬を飲んで問題になることはほとんどない。それは量が少ないからだ。だが、たくさん飲むととても危険だ。
ある時、自分で実験して麻黄の含まれる薬の一日量を一度に飲んだことがある。すると動悸が激しくなってとても苦しくなった。
また耳鼻科で鼻づまりの看護師さんに鼻が通りやすくなるかの実験をした。通常の2倍量の麻黄が含まれる処方を飲んでもらうと血圧が180まで上昇した。麻黄は通常量でも危険なことがある。過敏な体質の人がいるのだ。通常量でもドキドキしたり、不眠になったりする。
医者の葛根湯中毒
ある医療法人の理事会に出席していると、理事たちが「うちの院長はよく葛根湯を飲んでいる。いつも葛根湯を飲んだ後に冷たい水を飲んでいる。」と話しているのが聞こえてきた。
医者でも漢方に詳しくない人はそれが危険な行為には思わないようだ。
私は話に加わって、「それは麻黄中毒ですよ。葛根湯は生姜やシナモン(桂皮)、葛の根(葛根)が入っているので体が温もる。だから冷たい水でひやしながら麻黄の興奮作用を利用しているのですよ。」と説明した。
葛根湯の成分
麻黄、葛根、生姜、芍薬、甘草、大棗、桂枝
ある有名な漢方医も始終、葛根湯を飲んでいたというからその人もひょっとすると葛根湯に含まれる麻黄中毒だったのかもしれない。
こんな話を聞くと禁止薬物のように思えて試してみる輩もいるかもしれない。
しかし、とても苦しくなるだけなので止めておいた方がいい。試しているうちに死んでしまう可能性もある。
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17. 麻黄中毒:40歳男性 - 2019年07月01日
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