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香杏舎ノート

第311回「ノブレスオブリージュとは」

ノブレスオブリージュとはイギリス貴族につたわる伝統で、高貴な身分に生まれたら平民のために奉仕しなければならないという考え方だ。
アンドリュー王子がホークランド紛争の時、ヘリコプターを操縦して戦闘に参加したのは有名な話だ。

こういう伝統があるので、イギリス貴族の跡取りは沢山亡くなり、貴族の後を継ぐ男性は枯渇してしまった。

日本の伝統、側用人(そばようにん)

日本には側用人という制度があり、頭のいい大名が情報を集めて将軍にブリーフィングをおこなうという制度だ。

将軍は詳しい情報は知らなくてもいい。今までの経験、つまり大所高所から判断する。
この伝統は戦後も引き継がれた。

事務次官会議

日本の官僚たちは大臣が閣議をする前に事務次官会議を開き、閣議の内容をすべて決定していた。もし閣議でこの決定事項に反する発言をする大臣がいれば、不適切発言として公文書から削除していた。

この伝統は最近まで続いていたが、安倍晋三氏が局長以上の人事権は内閣が決めるという法律を作って、内閣府に人事を取り戻したので、ようやくその弊害が除かれた。選挙で選ばれた政治家より大学を出た役人の方が権力を持つことなどあってはならないことだ。

2024年5月号の文藝春秋を読むと、山上慎吾前駐豪大使の記事を見つけた。【史道の衰退】と題する文章にはこんなことが書かれていた。
【国家公務員の給与では子供を2人とも私学に送ることは無理である。大使になるまで貯金通帳の残高が100万を超えることはほとんどなかった。これが役人生活の実態だ。そんな彼らを支えてきたのは、国家の大事を担っているというプライドと世間のリスペクトだ。その2つが失われた。】

つまり、彼は役人であるが庶民からもっと尊敬されるべき存在だとだと、ノブレスオブリージュを求めているのだ。また片山さつき参議院議員も自分はノブレスオブリージュだと明確に語った。

官僚のエリート意識には驚かされる。大使の経験がある人は海外の事情に詳しいはずだし、片山さつき議員はフランスのグランゼコールに留学しているのだから海外の経験も豊富なはずだ。彼らの体の中には貴族の血は流れていないことを2人とも十分に知っているはずだ。

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