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香杏舎ノート

第308回「漢方丸薬を効かす方法」

漢方処方は何千もあるから、処方の使い方を理解するのは不可能だ。だが、処方の中には同じ生薬が何回も登場する。生薬単位で考えると、その種類はかなり少なくなる。日本に輸入される生薬を調べてみると248種類の生薬が輸入されている。国産の生薬はほとんどないから、この248種類の生薬の効果を理解すればいい。

理解しなければならない漢方処方は何千もあったが、生薬単位で考えることで248種類まで、10分の1になった。

頻用される処方は72種類

この生薬の中で頻回に使われる生薬は72種類で、使用頻度の全体の98%を占める。つまり72種類の生薬の性質を知れば、生薬を理解できる。さらにできるだけ効率よく調べたいから中薬大辞典を使って強い作用を持つ生薬を選び出し、粉末で使えるかも確認した(小麦ふすまを使って粉末にできる生薬はすべて粉末で使える)。

生薬の数は248から3分の1の72種類まで減った。

生薬の弱い効果を強める

料理に使われる八角

生薬は精製されていない天然の物質なので、化学合成された西洋薬に比べ、薬効が極めて弱い。

インフルエンザ治療薬のタミフルは料理に使われる八角から作られているのはよく知られているが、八角そのものをたくさん食べても効果はない。

どうすれば漢方薬の効果を最大限に高めることができるのだろう。

漢方丸薬の使用量は1日30g

お茶にはカテキンやアミノ酸など沢山の成分が含まれているが、抹茶にはお湯では抽出できなかった成分が何十倍も入っている。つまり、粉末にすることで飛躍的に効き目を高めることができた

漢方丸薬は直径1ミリの大きさが一番飲みやすい。
丸薬にすると、1日30gも飲める。水と一緒に飲むとコロコロ転がって飲みやすい。

丸薬を作るための粉末にするには80メッシュパス(80メッシュの篩を通過する)と言われるような微粉末にしなければならない。粉末にするときにはどうしても粉砕できない繊維が残るので分量が減る。これを目欠(メケツ)と読んでいる。

粉末加工するときは信頼できる業者に頼む必要がある。何故なら目欠が沢山出たから収益量が少ないといって騙される危険があるからだ。

錠剤(直径7ミリ、重さ0.2gが一番飲みやすい)は、1日50錠(10g)でも飲むことは不可脳だ。

西洋薬は近年急速に発達してきた

江戸時代、漢方医は蘭門(らんもん)という臓器があり、そこを通過するとき便と尿、つまり固形物と液体を区別する門があると考えていた。

また腎臓を見てこれは生命をつかさどる臓器だと考えた。解剖して臓器の形状は分かっても機能、つまり生理作用は分からなかったのだ。

適切な丸薬使用量をPCで解析する

日本で売られている医療用のパソコンは保険点数を計算するレセプトコンピューターで、どの漢方丸薬がどのくらいの量で効くかを調べることができない。

紙カルテの場合も同様だ。漢方丸薬の1日使用量を調べるためには、エクセルで独自のカルテを作り、病気を治すのに必要な量を計算する必要がある。

強い薬を作り、副作用を防ぐ

地黄・石膏という薬

煎じ薬で地黄を出していると胃を悪くする人がいる。しかし、丸薬では地黄で胃を悪くする人はいない。何故なら丸薬を作る時にセラックというコーティング剤を塗るからだ。セラックは天然のラッカーとして使われたカイガラムシの分泌液で、アルカリで溶ける。つまり腸溶錠として働くから胃を荒らさない。

石膏のお湯に溶ける量は100㏄当たり0.2gでしかない。だから石膏そのものには抗炎症作用は無いと信じられているが、粉末にして服用すると2gくらいから明確な抗炎症作用があることが分かる。

また麻黄・石膏にすれば強力な利水剤になるが、麻黄で胃を悪くする人がいるので、あまり多くは出せない。麻黄に敏感な人は血圧が上がり、不眠になったりするので、特に注意が必要だ。

麻黄はエキス漢方では普通に使われているが、気をつけなければならない。血圧が上がり、不眠になることがある。特に高齢者は危険だエキス漢方で問題になることがまずないのは、エキスが薄すぎるからだ。。

私は麻黄を出すときには麻黄を含む葛根湯や麻黄湯を飲んだことがありますか?と必ず聞くようにしている。

50年ほど前、保険のエキス漢方が発売された。当時はレセコンによる手書きだったため21点未満の漢方処方はカルテに書く必要がなかった。

そこで知人の先生は、処方ごとに21点未満で出せる処方量を計算して表にしていた。その結果によると保険エキス漢方の2倍量が通常の投与量だと話していた。

つまり今の保険エキスに含まれる麻黄湯や葛根湯の麻黄の量は副作用を心配しなくていいくらい薄いエキスだということだ。

最近FAXを学校などから追放しようとする政府の方針が明らかにされているが、間違っている。

無論、パソコンで電子メールを使ってやり取りしてもいいが、その場合、プリンターとアンチウイルスソフトが必要になり、古くなるとウインドウズの保障が外れてしまう。

FAXならそういった費用がいらないばかりでなく、印刷された紙を綴じれば書類として残せる。さらに素人でも簡単に操作できる。

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