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香杏舎ノート

第335回「カイロプラクティックの島森先生の神業」

カイロプラクティック:約100年前にアメリカのパーマーという人によって確立された治療法だ。パーマーがリラードという人の難聴を骨格の歪みを治すことで治療したという。

リラードは17年前、窮屈な姿勢で身をかがめた時に、何かが背中を走るような感じがして、それっきり耳が聞こえなくなったと言う。パーマーが診察すると背骨に歪みがあり、その骨の歪みを、テコを使って押し込むことによって、普通に耳が聞こえるようになった。

こういうエピソードからも分かるように骨格の歪みを治して病気を治すという治療法だ。

20年以上前だが東京の佃島で開業しているカイロプラクターの島森先生と気功の勉強会で出会った。彼は自分の患者さんにオノ・ヨーコがいる。ニューヨークから予約して治療を受けにくると教えてくれた。日本では歌手の奥村チヨも患者だという。

そこでどれくらい腕がいいのか早速彼の施術所に行った。彼は九州から青森まで患者がいるのだと誇らしげにカルテを見せてくれた。

治療風景彼の治療は一般のカイロとは異なり、安全に首を捻じって治療する方法を見つけ出したことだ。その手技で全国から患者さんが来る腕を持つことができた。

私は20年以上前を思い出しながら、どうすれば安全に施術できるかという謎解きを始めることになった。島森先生は環椎という第一頚椎だけを動かすことで全身が良くなると言う。私も特別に施術をしてもらえることになった。

まず一般的なカイロベッドではなく、全身の筋肉をローラーベッドで柔らかくしたのちに、普通のベッドに寝かされる。環椎を動かすことで全身に影響が及ぶことを証明するため私は写真のような恰好をさせられた。股関節が硬い方は足の開脚が十分には出来なくてベッドより浮いている。首を捻じると、捻じった途端に私の固かった股関節が柔らかくなったのに驚いた。

どうして島森先生は安全に環椎を動かすことができたのか。それは長年の謎だった。何年かして、もう一度先生の治療が見たくて見学を申し込んだが、先生は脳梗塞で体が不自由になり、先生の神業的な手技は失われてしまった。

環椎を捻じらずに引っ張る器具を作る

私は何かハサミのような物で環椎を挟んで動かすことは出来ないかと考えた。捻じらず引っ張ることで環椎が安全に動いて柔らかくなるのだろうと考えた。そうだ!氷屋さんが氷柱を挟む氷バサミがいいのではないか。

氷柱を挟む氷バサミそこで知り合いの寿司屋に出入りする氷屋さんから氷バサミを貸してもらい、とんがった歯の所にはゴムを当てて、従業員に被験者になってもらって環椎を動かしてみた。

挟むには結構な力がいる。安全に骨を動かすためには自分で専用のハサミを作るしかないと思い、鉄工所に頼んで大きなハサミを作ってもらった。首に当たるところにはゴム球が付けられるようにし、環椎を挟んで引っ張ったが、環椎は動かなかった。

後で分かったことだが、じつは環椎は動いていた。実際に固着していたのは頸椎関節だった。

後頭環椎関節には椎間板がない

環椎とは環椎と頭蓋骨の間、つまり後頭環椎関節には椎間板がないので動かしやすいと信じられてきた。そして私も信じていた。環椎を分かりやすく説明するためにスイカを例に上げよう。スイカを八百屋で売る時は、スイカが転がらないように座布団をしいているが、座布団を環椎と考えると分いかりやすい。
座布団の上で頭はどの方向にも動く。座布団とスイカの動きが悪くなり、一部癒着したりすると、環椎は脊椎の一番上の骨だからそれから下の背骨全体が歪んでくる。

もともと椎間板がないから環椎はどの方向にも動く。つまり治療対象は環椎ではなかったのだ。

どの首の骨が悪いのか

私は健康ぶら下がり器を買って、自分の全体重(おそらく70キロ)で頸椎を牽引したことがある。一歩間違えると首吊り自殺になってしまう危険な方法だ。

ぶら下がると、カクンと音がして頸椎が伸びるのを感じた。これは危険な方法なので絶対に真似をしてはいけない。そこで今度は頸椎上部を緩める安全な枕を作って研究することにした。

環椎枕

安全に頸椎を緩める最高傑作が環椎枕だ。
これを後頭環椎関節にあてて首を左右に動かすと、後頭直筋などの筋肉を安全にほぐすことができる。

クリニックで使用している木の枕

環椎枕の角度や高さなどを調整するのが難しく、木材加工業者に頼んでもなかなかうまく作ってくれず、4件目でなんとか作ってくれるところを見つけた。

後頭骨と環椎、並びに軸椎についている筋肉である後頭直筋をこの枕は緩めるので頸椎の動きが格段によくなる。

軸椎【第二頸椎】が犯人

頸椎の中で一番異様な形をしているのが軸椎だ。これが環椎に突き刺さり、頸椎を固定していたのだ。
恐らく島森先生は軸椎を治しているとの意識はなかったと思う。火葬後の骨上げで喉仏(のどぼとけ)と呼ばれている部分だ。

出典:ウィキメディア・コモンズ

オステオパシーの古賀正英先生

昭和51年に撮影された古賀先生の治療ビデオ

(右図)出典:ウィキメディア・コモンズ

1981年に録画された古賀正英先生のビデオ(非売品。私しか持っていない)には大後頭直筋などを緩める解説がなされている。
これらを十分に緩めることで軸椎は動き、治療ができる。まったく力を入れなくても軽く首を回すだけで矯正される。

胸鎖乳突筋

出典:ウィキメディア・コモンズ

胸鎖乳突筋
首を左もしくは右に回すときに使われる筋肉。同時に収縮すると、パソコンを打つときのように顎を引いて下を見る姿勢になる。

つまり、胸鎖乳突筋を完全に緩め、大後頭直筋などを緩めると、患者さんの首を軽く回すだけで頭蓋骨が正常な位置に収まる。力はまったくいらない。スラストの危険なのは首を捻じって音を出そうとするからだ。

もう一つの島森先生治療の謎

出典:ウィキメディア・コモンズ

島森先生はローラーベッドで全身を緩めた後に20分ほどかけてふくらはぎの筋肉「腓腹筋」をマッサージで柔らかくしていた。その謎を解くカギは軸足だ。

右利きの人は左が軸足なので、ジャングルなどで道に迷った時、何日かして同じ場所に戻ってくるのは、左足を軸に大きな円を描いて歩くからだ。円の大きさは右足の蹴る力によって大きさが変わる。

陸上競技が左回りなのは、9割の人が左足を軸にして右足で走るからいい記録が出ることにある。右足の腓腹筋を緩めると軸椎が動きやすくなる。

カイロプラクターが失敗する理由

  • 1)筋肉を緩めないで無理に首を回そうとすること。
  • 2)バッキと音がするのを目指すこと。音がしなくても軸椎の位置が矯正されることはよくある。
  • 3)首の回転は多くの場合、左に回すだけだが、右にも回してしまうこと。右利きの9割は左に回し、左利きの1割は右に回す。

熟練した施術師に習えば安全に治療できるが、法律で禁止されているので治療をしないほうがいい。1回限りの施術では長く継続できないので時々の施術が必要になる。人口が高齢化しているので、施術にはよほどの注意が必要だ。

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