第350回「東京は貧しい人と豊かな人が混じり合って暮らしている」
日本は世界的にみても大変貧しい国だ。相対的貧困率を見ると日本より貧しい国は東欧諸国などわずかな国しかない。
何故そんなに貧しい国かと言えば、65歳以上の老人が多いからだ。また日本の労働生産性はとても低くOECD加盟国38か国中29位でしかない。
労働生産性が下がった理由
- 1.人口の高齢化
65歳以上の人が30%もいて年金暮らしの人が多い。
- 2.会社が内部保留(会社の貯金)を増やしている
儲かっても労働者に分配しない。
- 3.派遣労働者が増えたこと
人を安く使う習慣が出来ている。竹中平蔵や小泉元首相などはすべて自己責任という標榜を掲げて人をリストラしてきた。
- 4.ネットの発達が人減らしを加速する
SuicaやICOCA、PASMOなどが発達し、買い物でもなんでも電子決済されるようになり、人が要らなくなった。
東京ほど貧乏な人と金持ちが混じりあって暮らしている都市はない
日本の大学教授がサバティカルで1年間の休暇をもらいニューヨークに出かけた。彼女はニューヨークほど貧乏な人と金持ちが混じって暮らしている場所は無かったと言っていた。しかし、ニューヨークに住む貧しい人は自分が貧しいと知っているが、東京の貧しい人は自分が貧乏だと気付かないで生活しているところに大きな違いがある。
DINKsでも渋谷区、千代田区、港区、中央区の4区のマンションは買えない
【DINKsとは、「Double Income, No Kids」の略で、簡単にいうと、「子なし共働き夫婦」のことを指す。】
一般のサラリーマンの平均収入は500から600万円、手取り額は38万円ほどだ。夫婦合わせても手取り700万円ほどにしかならない。2人で賃貸に住んで生活費を切り詰めても1億も2億もするマンションを買うのは大変に厳しい。さらに今後、景気の悪化でリストラされる可能性もあるから、35年や40年といった長期のローンを組むのも怖い。
日本一の高級住宅地は芦屋の六麓荘
芦屋は日本で5番目に金持ちが多く住む街だが、東京の金持ちとはかなり違う。
東京では田園調布だとか渋谷の松濤(しょうとう)だという人もいる。しかし田園調布は職住接近が好まれる時代には人気がない。松濤はラブホテル街が近くにあるから高級住宅地といえるはずもない。

年収ガイド「全国市区町村 所得(年収)ランキング」より引用
※ランキングから小さな村を除外
やはり、日本一の高級住宅地は芦屋の六麓荘(ろくろくそう)だ。六麓荘にはスーパーやコンビニはもちろん、自動販売機さえない。土地の取引は400平米以上、家の高さは2階建てまで、緑化基準もある。
町内会費は50万円。こういったルールがあるからこそ本当の意味で高級住宅地といえる。
六麓荘は坪70万ほどだ。土地の取引単位に規制があるから2億円くらいの値段になる。豪邸を建てる人はそれに何十億もかけることがある。
芦屋の豪邸に住んだ私の経験
私は芦屋の12億の豪邸に短い期間住んでいた経験がある。無論、自分のものではなく、半年ほど留守番を頼まれた。地下に大きな駐車場がある2階建てで、芝生の庭が100坪あり、私は時々、ゴルフのアプローチの練習をしていた。家が大きすぎて寝室からリビングはむろんのこと、リビングから台所にも声が届かないから不便なことこの上ない。自宅マンションに帰ってほっとした経験がある。
少なくとも関西では東京のように23区に住みたいという強い憧れはない。芦屋を含めた東灘、芦屋、西宮は高級住宅地で、そこに実家のある人は、結婚しても専業主婦をしている人が多い。
23区に住みたいという憧れ
日本には3万6千人ほどの弁護士がいるが、その六分の一にあたる6,000人が千代田区で仕事をしている。次に多いのが5,000人の港区、そして2,000人の中央区でこの3区で日本中の弁護士の三分の一を超える。
すべての官庁、皇居、国会議事堂、ほとんどのテレビ局、多数の大使館がこの3区に集中している。ここの面積だが、港区が20平方キロ、中央と千代田が10平方キロで合計しても40平方キロだから1辺が6.5キロの正方形におさまるほどの地域でしかない。
もし広島型より少し大きい核爆弾がここで破裂すれば、日本中の弁護士の3分の1が死に、東証1部上場の企業の中でも特に大きい企業を含む6分の1の企業の人員が失われ、すべての官庁職員、多くの国会議員が死んでしまう。テレビ局もほとんど生き残れないだろう。
東京の23区の人気
| 地域 | 人口 | 人口比 |
|---|---|---|
| 港、千代田、中央、(渋谷) | 71万人 | 1% |
| 23区 | 980万人 | 22% |
| 東京都 | 1398万人 | 32% |
| 東京圏 | 4400万人 | 100% |
23区は人口比22%で、5人に1人しか住めない狭い場所だ。関東圏の住人には23区に対する憧れが強い。しかし、千葉や埼玉、横浜といった東京圏は通勤距離に存在し、都心へのアクセスもよく、1時間程度で通える場所も多い。なぜ東京の23区のマンションが1億以上の高額になっているのか、神戸出身の私には理解できない。
確かに渋谷を含めた4区にはすべての機能が集まっているから住みたいという気持ちは理解できるのだが、他の19区も値段が高いのが理解できないのだ。

芦屋市の隣の西宮市の平均所得は500万もあり、市町村の順位でも18位だ。荒川区66位(平均所得404万)、足立区140位(平均所得366万)などが高級住宅地には思えない。
参考:神戸の人口は153万人だが、所得は380万円で足立区より上
もともと政令指定都市といって人口が50万人以上の都市が西日本には9つもあり、わざわざ東京まで来る人は少なかった。だが、東京に大企業が集まりすぎて就職をもとめて若い人が就職している。東京で就職すると、そこで家庭を持ち、田舎には帰らなくなる。すると東京の土地はますます高くなり、出身地の土地は暴落する。
神戸の魅力とは
関東以北には3つの政令指定都市しかないが、関西以西には8つもの政令指定都市がある。(地図出典:指定都市市長会の地図を編集)
イギリス人は六甲山頂が好きなようだ【神戸ゴルフクラブ】
六甲山頂には1903年5月24日にイギリス人貿易商A.H.グルームによって神戸市の六甲山上に造られた日本最古のゴルフ場、神戸ゴルフ倶楽部がある。
OUTパー31、1,799ヤード IN、2250ヤードのコースだ。
六甲山頂には、2028年に開校予定の英国式ボーディングスクール「ノースロンドン・コレジエイト・スクール神戸(NLCS Kobe)」が新設される。同校は、2025年に六甲アイランドで小中学校を開校しており、六甲山での中高一貫教育と寄宿学校(ボーディングスクール)を開設する計画だ。建築家ミケーレ・デ・ルッキが設計を手がけ、自然と共存する校舎が計画されている。
六甲山頂の寄宿学校NLCS Kobeではラテン語の授業も始まると予想している
19世紀、ディケンズ時代、イギリスでは貴族の身長が庶民より4センチ高かった。なぜかというと庶民より栄養がよかったからにほかならない。貴族は庶民より体格が良いだけではなく教養もあり、金持ちだった。貴族の子弟の通うパブリックスクールではボクシングや射撃もスポーツとして扱ったから、ケンカにも強く、庶民が貴族より誇れるものは何もなかった。さらに貴族の住居環境もよかったので、貴族の寿命は庶民に比べて長かったに違いない。
50年以上前 私は解剖学でラテン語を学んだ経験がある
OS(オス)とはラテン語で骨の意味だ。NERVUS(ネルヴス)は神経。もしラテン語を学ぶことができれば、フランス語、英語、ドイツ語などの基礎を学ぶことができ、語学がとても堪能になり、ローズ奨学金をもらってオックスフォード大学に留学する学生も出てくるだろう。
東京が一番だと信じている人は多い。しかし、東京にパブリックスクール(イギリスの伝統ある私立学校)を作る伝統もなければ、土地が高くて学校を作れるはずもない。東京大学は1877年に作られているが、オックスフォード大学は13世紀頃に作られ、ケンブリッジ大学もその頃に作られている。最近、トランプ大統領によって追放されたハーバードの大学生を受け入れると東京大学が表明している。東大の教員は英語ですぐに講義ができるほど英語が堪能らしい。- 第350回「東京は貧しい人と豊かな人が混じり合って暮らしている」
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