漢方治療

漢方治療における体質の重要性

これまで、漢方における体質の考え方や分類について説明してきました。
このように様々な体質についての分類が存在するのは、漢方では体質に応じて薬を処方するからです。

漢方治療を行う上で一番重要なことは、体質を無視して漢方を処方しても、治療効果は期待できないということです。

ここでは、漢方の「瘀血(おけつ)」を例として解説します。

瘀血(おけつ)の治療例

瘀血(おけつ)とは血液の循環が悪くなったり、体に非生理的な血液が溜まった状態を示す漢方の言葉です。難しく聞こえますが、理解しにくいものではありません。
たとえば打ち身をして青あざができた状態は瘀血(おけつ)と考えます。
つまり内出血は瘀血(おけつ)なのです。

交通事故の症例で具体的に説明してみましょう。

症例1:交通事故の後遺症による頭痛

高速道路でトラックに追突し、顔の骨を折りむち打ちになった男性。

西洋医学での治療により、怪我は1か月ほどで治りましたが、ひどい頭痛に悩まされ当院を受診されました。

痛みの原因は、レントゲンに写らない頚部や顔面の深部組織に内出血、つまり瘀血(おけつ)があると考え、瘀血(おけつ)を取る通導散(つうどうさん)という漢方薬を処方したところ、頭痛が嘘のようになくなりました。

頭痛の原因は瘀血(おけつ)だったのです。

症例2:交通事故による首や腰の痛み

信号待ちをしているところに車が突っ込んできて、首と腰を捻った男性。
整形外科で痛み止めや湿布を処方されているが、ちっとも治らないということで、当院を受診されました。
やはり通導散を処方すると痛みが取れました。

この事故の写真も体にかかる衝撃のすごさを示しています。打撲傷を負ったときは、こういった瘀血をとる薬を飲むと、西洋医学だけの治療より、はるかに治りが早いのです。治打撲一方(じだぼくいっぽう)という読んで字のごとく、打撲のときの瘀血をとる薬が漢方にはあるくらいなのです。

治打撲一方の症例

私の医院に勤務していた当時34歳の鍼灸師。転倒して足の指を打撲しました。そこで治打撲一方を処方しました。

鍼灸師は本当に早く治るのか試してみようと思って自宅で写真を撮っていました。歩くのも困難だったのに4日目には治ってしまいました。

瘀血とは非生理的血液が体にたまったものだということがわかっていただけたと思います。
でも瘀血は内出血を示すだけの言葉ではないのです。
たとえば、事故でムチ打ちになっても痛みが長く続く人と、そうでない人がいます。その差は瘀血体質かどうかによります。

痛みが長く残る人は不要な血液がたまりやすく、循環が悪い瘀血体質の人なのです。ですから瘀血体質の人は、脳梗塞や心筋梗塞といった血液の流れが悪くなる病気にもかかりやすいのです。
さらに男性に比べ女の人は生理不順から不要な血液が体にたまりやすいので、一般に瘀血体質と考えられます。

身近でわかりやすい瘀血体質例に、しもやけになりやすい人、というのもあります。

瀉血(刺絡)による治療

瘀血があれば、通導散や治療打撲一方で治療を行いますが、薬だけで治すわけではありません。瀉血という治療もあります。

瀉血とは皮膚を切って血を出す治療法です。
原始的な方法ではありますが、現在においてもすぐれた効果をもっています。瘀血が原因の喘息、関節痛などには大変よく効きます。
写真は肩から瀉血して吸い玉で血を吸いだしてているところです。

※これまで刺絡による瀉血治療で、不整脈や関節炎、喘息、肩こりなどを治してきましたが、薬や鍼などで十分代用が可能であることを踏まえ、東京に移転してからは瀉血治療を行っていません。

体質の診断

「瘀血(瘀血体質)である」という判断の下、治療を行えばすみやかに効果が現れることがおわかりいただけたでしょう。
その人が「瘀血である」という判断、つまり漢方の体質を診断する方法は、脈心、舌診、腹診をはじめ、身体に現れる様々な症状から判断します。

瘀血体質の人には次のような身体的特徴があります。

皮膚にあらわれる特徴

足や肩などの皮膚には赤い糸ミミズのような血管の拡張があります。

皮膚にあらわれる瘀血の身体的特徴

舌にあらわれる特徴

(左)(上)舌の裏の静脈がはれ上がっています。(右)(下)舌に瘀斑という斑点がある人もいます。

 

その他の特徴

顔がお面をかぶったように赤くなることもあります。この写真を見ると更年期障害のホットフラッシュではないかと思う人もいるはずです。

そう、更年期障害でこのような特徴がある人は、瘀血体質であると漢方では考えるのです。

これらの症状や脈の打ち方などを総合すると、瘀血体質かどうかを判断できることになります。

漢方では瘀血(おけつ)以外にも沢山の体質分類がありますが、大事なことは体質を考慮して漢方薬を処方するということなのです。

(漢方における体質についての関連情報)

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