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漢方医として腕を上げる方法

5. 創薬の具体的な方法(独自の丸薬作り)

5.2. 漢方薬に西洋薬の分類を当てはめて利水薬を作る

利水消腫薬の分類(漢方での分類)

漢方を理解するには整理と分類が大切だということをお話しした。
葛根湯のように伝染性熱性疾患に使うような薬は病態が理解しやすいので、生薬の整理と解析だけで済むのだが、他の漢方処方では使用する病態が不明な場合が多い。
ここで取り上げる利水消腫薬という漢方分類は西洋医学のような利尿剤ではない。詳しくみると痰飲(たんいん。痰とかそういったものの水の概念)、関節内の湿を取る薬とか様々な薬効のある処方がまとめられている。
こういった利水消腫薬を理解するために漢方処方に西洋医学の分類を当てはめてみよう。

漢方の分類

漢方では体の中に溜まった水分を2つに分類している。化痰利水薬と利水消腫薬だ。

化痰利水薬
痰飲を治す薬。
消化管の吸収障害にともなって発生する溜飲(振水温・グル音として聴取する)あるいは肺の分泌増大による多量の喀痰などを治す。
利水消腫薬
主として水湿、水腫を治す。

こういった薬の分類では分かりにくい。まず保険漢方薬の中で利水効果のある処方として我々が使っているものを取り出してみる。

保険漢方薬で利水効果のあるもの

これらの処方に西洋医学の分類を当てはめてみる。
西洋医学では体の中に溜まった水を浸出液と漏出液に分けている。まずは西洋医学での分類を説明しよう。

浸出液と漏出液

浸出液

炎症による浸出液炎症によって血管の透過性が亢進して血管から液が漏れだす。これを浸出液という。
アレルギー性鼻炎で鼻の粘膜に炎症が起こり、鼻水がとめどもなく出る、肺炎で胸に水が溜まる、癌性腹膜炎で腹に水が溜まるとかいった場合は浸出液だ。漏出液に比べ、蛋白や細胞成分が多いのが特徴。治療は炎症を抑えることで、水をさばくことではない。

漏出液

漏出液心臓が弱って血液の流れが悪くなった時に肺に水が溜まったり、肝硬変で肝門脈の流れが悪くなるような状態では、血管の内圧が高まり、液がしみだしてくる。この場合は血管の透過性が亢進しているのではなく、血管内部の圧力が亢進することによって液が浸みだしてくる。だから溜まった液には分子量の多いものは含まれていない。これを漏出液という。
この場合は目的に合った薬、例えば心臓が弱っているのであれば強心剤や利尿剤などを使うし、腹水などでは利尿剤を使うことになる。

漢方処方をこの分類で考えると、次のように分けられる。

浸出液、漏出液への漢方処方の分類

滑石や麻黄と石膏の組み合わせも利水効果がある。

次に処方に含まれる生薬単位で考えてみる。

生薬単位での分類

原則 新しい方法で分類と整理をする

当帰芍薬散、苓桂朮甘湯、苓姜朮甘湯は炎症を伴わない浮腫みに使う。だから茯苓、沢瀉、白朮は漏出液に効きそうだ。

木防已湯は心臓浮腫に使うのだから漏出液に効く。五苓散も普通の浮腫みに効くから漏出液に効く。

猪苓湯を見ると炎症を抑える作用のある滑石が入っていて、猪苓は抗炎症作用のある利水剤のように思える。五苓散にも猪苓が入っているが、太陽病の発汗後に使う薬だからだろう。

越婢加朮湯はリウマチの関節水腫など様々な炎症に使い、また麻杏甘石湯は喘息、気管支炎などに使う。麻黄石膏の組み合わせは炎症に伴う浮腫を抑える作用がある。そうなると麻黄石膏の組み合わせは浸出液に使うと考えるとよさそうだ。

新しい方法で分類と整理

創薬 自分の処方の丸薬を作る

私が使用している利水消腫薬
六苓丸、七苓丸、六二丸

利水効果のある生薬は車前子、燈心草などもあり、尿路感染に使う五淋散、腹水に使う分消湯血鼓加減といった処方もある。こういった処方も分類整理して丸剤を作り実際に患者さんに飲んでもらって薬を作っていく。

私は浸出液用の漢方丸薬、漏出液用の漢方丸薬を作って病気を治療している。

西洋医学での分類をすると漢方医学の知識がなくても丸薬を使うことができるようになる。肝硬変の腹水なら漏出液用の丸薬、リウマチの関節水腫なら滲出液用の丸薬といったように使うことができる。つまり中医学も日本漢方も必要ない。

「漢方医として腕を上げる方法」目次

1. 日本の漢方の悲惨な現状
  1. 1.1. 漢方の故郷 中国(2016.12.01)
  2. 1.2. エキス漢方の投与量はどうして1日7.5gなのか?(2016.12.15)
  3. 1.3. 保険漢方医は7.5gを超えて投与した経験がない(2017.01.01)
  4. 1.4. 漢方の理論を勉強しても腕は上がらない(2017.01.15)
  5. 1.5. 大学で保険の漢方外来をすることほど恥ずかしいことはない(2017.02.01)
2. 腕をあげるための2つの原則と1つの道具
  1. 2.1. 漢方理論を臨床に持ち込まないこと 1つめの原則(2017.02.15)
  2. 2.2. 生薬の薬能は処方の中で変化する 2つめの原則(2017.03.01)
  3. 2.3. 丸薬(丸剤)を生薬解析の道具として使う 一つの道具(2017.03.15 )
3. 漢方医はどういう方法で腕を上げてきたのだろう?
  1. 3.1. 漢方で特許を取ることは出来ない(2017.04.01 )
  2. 3.2. 華陀(かだ)はどうして名医になったのか?(2017.05.01)
  3. 3.3. 秘伝への誤解(2017.06.01)
4. 漢方医学の迷信的治療
  1. 4.1. 漢方メーカーの宣伝にのせられるな(2017.07.01 )
  2. 4.2. 日本漢方より西洋医学の病理学が大切(2017.08.01 )
  3. 4.3. 中医学は空想的(2017.09.01 )
5. 創薬の具体的な方法(独自の丸薬作り)
  1. 5.1. 未知の学問は整理と分類が大切~葛根湯の解析を例に(2017.10.01)
  2. 5.2. 漢方薬に西洋薬の分類を当てはめて利水薬を作る(2017.11.01)
  3. 5.3. 瘀血の考え方と分類(2017.12.01)
最後に
  1. 創薬の楽しさ(2018.01.01)
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