第341回「オステオパシーという特別な治療法」
最近、私はある漢方メーカーに依頼され六千人の薬剤師にZOOMで講演を行った。この先生たちは、近くの先生の処方箋薬局を兼ねている。調剤の他に薬局向けの漢方製品を販売し、先生によっては予製剤(幾つもの生薬を混ぜた混合生薬)を用意していて患者さんに投与している。私は講演の中で、患者さんの施術も学ぶように勧めた。
整体師とは
整体師とは鍼灸師やマッサージ師といった国家資格をもたない人を指す言葉になっている。以前はマッサージ師でもないのに人を治療して金銭を受け取ることは法律で禁止されていた。しかし、法律が変わり、施術をして傷害が起こったとしても、それがもとで障害が起こったことを証明しなければ責任を問われなくなった。その時から整体師が街に溢れるようになった。
薬剤師の先生は患者さんを診察してはいけないとの思い込みがあるが、整体師と名乗ることで自由に診察できる。薬剤師は4年から6年間も解剖、生理、病理を習っているので、鍼灸師やマッサージ師よりはるかに医学に詳しい。最近は整体師用の保険まで用意されている。
骨格の歪みを治す方法としてカイロプラクティックとオステオパシーという方法がある。いずれも1900年頃、アメリカで生まれた治療法だ。
カイロプラクティックは4年制の学校を出て試験を受けて資格を取る。一方のオステオパシーは6年制の医学部で骨格の歪みを治す治療も教えていて、オステオパシードクターと言えば、本物のアメリカの医者だ。
私はオステオパシー医科大学の教授になった古賀正英先生に直接指導を受ける機会に恵まれた。彼は70歳になった時にオステオパシードクターの手技がどれほどすごいかアメリカに見学にいった。古賀先生が自分の手技を披露するとアメリカの医者たちは驚き寄付講座の教授にした。どうして古賀先生の技がすごかったかということを説明しよう。
アメリカの医者はオステオパシーで例えば坐骨神経痛が治らなかった場合、手術に逃げるという逃げ道があった。しかし、古賀先生には逃げ道がなく、あくまでも自分で治しきらなればならなかった。だから神業的手技を発展させることができた。古賀先生の神業的手技をビデオに収めることを条件にオステオパシー医科大学は彼を寄付講座の教授にした。
私はオステオパシードクター
古賀正秀先生は1920年頃、オステオパシーをアメリカ人の宣教師(医師)から直接習った。だから彼の治療法にはあん摩の要素はなく、関節の角度を微妙に調整して骨を正確に元あった場所に押し込んで治していく、極めて繊細で危険のない治療法だ。
私はアメリカのオステオパシー医科大学の寄附講座の教授の古賀先生から直接指導を受けることができた。
私は古賀先生の弟子から治療手技を説明したビデオ12本(昭和53年に撮影)をいただいた。その弟子はオステオパシーの技術を私に継いで欲しいと、金庫にしまっていた秘蔵のビデオを多くの弟子や医師に渡さず私に託した。日本のオステオパシーを守って欲しいとの思いからだ。
私はオステオパシーで骨関節疾患のみならず、内臓疾患も治療している。この技術を従業員に教えている。考えてみると 内臓疾患を治せるのは私しかいない。私のクリニックは漢方クリニックだから内臓疾患の患者さんが多い。私は従業員に何年もかけて不整脈、膵炎、リウマチなどの治療法を教えてきたから従業員も相当に上手く治せる。無論、整形外科的な疾患も治す。
現在、医者も患者さんも手技で内臓疾患が治るとは思っていない。だから私の技術を知っているのは、私の患者と弟子しかいない。この技術を残すために薬剤師の先生にも学んで欲しいと思う。弟子たちにはクリニックに勤めながら空いた時間に内臓疾患を治す治療を広めるように勧めている。
興味のある人はまずオステオパシーの施術がどんなものか試しに受けてみて欲しい。費用は6千円。初診料などはかからない。
鍼灸師の従業員が対応する。そして興味が湧けばオステオパシーを学んで欲しい。技術を学びたければ、基礎的な治療は10回ほどで学べる。まったく素人の人には教えない。解剖学や生理学、病理学を知らなければ教えようがないからだ。
施術で骨関節疾患だけでなく、内臓疾患も治す方法を当院では[ 関節操作法 ]と呼び、治療に使用しています。この方法は、オステオパシーの大家であった古賀正秀先生から伝授された技術を基礎に、日笠医師が独自に発展させたものだ。
鍼灸や按摩マッサージ、カイロプラクティックなどとはまったく違うことを動画で説明する。
何故、施術で内臓疾患が良くなるかについては、内臓を動かす交感神経が脊椎の間から出ているので、神経が圧迫されると臓器の機能異常が起こるからだ。オステオパシーの治療を理解するためには【関節の遊び】という考え方を学んでいないと治療法が理解できな。そこで関節の遊びについてのビデオをぜひ見ておいて欲しい。
- 第341回「オステオパシーという特別な治療法」
- 2025年07月25日
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