最終話「最後に」
先輩の漢方医が重症の肝炎から生還できたという話を聞いて、民間治療を医療にするための旅に出て30年以上の時間が過ぎた。様々な経験を通して伝承されてきた民間治療は少し改良するだけで現在でも医療として十分に有効であり、多くの難病を治せると確信するようになった。
私の施術を求めて遠方から来院される患者さんも多い。兵庫県から泊りがけで治療を受けに来られる人、静岡県、長崎県の人もいる。地方に良い施術師はいないのかとの質問を受けることも多いが、お任せできるような人がいるとは思わない。
困っている患者さんのために何か出来ないかを考えた。
そこで私がマッサージ師に教える施術の基礎の基礎を患者さんに学んでもらい、夫婦、友人、親子などのカップルで治療し合ってもらえればいいのではないかと考えている。
簡単で、時間がかからず、施術する人も疲れない。施術時間は5-7分。毎日互いが施術し合えば、効果が上がるだけでなく腕も上がる。
現在、多くの人が整体、整骨院、マッサージに通っているが、行きたい時に行けない、治療を受けてもすぐに元にもどってしまうとの悩みを持っている。日常の疲れや肩こりを取るくらいなら十分に学んでもらえるはずだ。
難しいところは私のクリニックで治せばいい。そういった勉強会を開きたい。世の中に料理教室があるように家族の肩こり、疲労を取ってあげる教室があってもいいと思う。
難病と闘うのは容易なことではない。どうすれば治るのか、どうすれば少しでも効くように出来るのか、そういったことを考え、悩む日々が続いている。病気に対して全身全霊で立ち向かっても、おいそれとは治す糸口は見えてこないこともある。
しかしながら何度も何度も試行錯誤を繰りかえすうちに次第に解決方法が見えてくる。これからも努力していかねばならない。
自作の棒
最後に背中を押す自作の棒をお見せしよう。
背中の起立筋は上半身を支えているので硬くて女性の指の力では緩みにくい。そこで様々な棒を作り、安全で効果のいい棒を考えてきた。その一つがこの棒だ。
左右の起立筋の幅は背中の上部と下部では違うので、1センチずつ4段階に分けて治せるように試作したものだ。
残念ながら作ってみたらまったく上手くいかなかった。
- 最終話「最後に」
- 2016年11月01日
「民間治療見聞録」目次
- 第1話 民間治療にのめり込むきっかけになった話(2015.11.01)
- 第2話 体を触ることで内臓疾患が治るか?(2015.12.01)
- 第3話 民間療法は現在の医療より進んでいたのか?(2015.12.15)
- 第4話 民間治療の分類(2016.01.04)
- 第5話 鍼治療(2016.01.15)
- 第6話 灸による治療(2016.02.01)
- 第7話 耳鍼、水晶鍼(2016.02.15)
- 第8話 井穴鍼(せいけつしん)(2016.03.01)
- 第9話 体から血を吸いだし(刺絡 瀉血)、内出血させて治療する(吸角)(2016.03.15)
- 第10話 武道家のマッサージ師(2016.04.01)
- 第11話 レントゲン技師だったマッサージ師の治療(2016.04.15)
- 第12話 ストレッチとリンパマッサージ(2016.05.01)
- 第13話 お寺で発達した整体術(2016.05.15)
- 第14話 カイロプラクティックと環椎(2016.06.01)
- 第15話 オステオパシー(2016.06.15)
- 第16話 柔道整復術(2016.07.01)
- 第17話 気功(2016.07.15)
- 第18話 気功と佛眼(2016.08.01)
- 第19話 催眠療法、野口整体、Oリングテストなど(2016.08.15)
- 第20話 内蔵疾患から背中が歪むことがあるか?(2016.09.01)
- 第21話 骨格は歪んだり治ったりしている(2016.09.15)
- 第22話 医療にするための方法論(2016.10.01)
- 第23話 整体で病気を予防できる(2016.10.15)
- 最終話 最後に(2016.11.01
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