第19話「催眠療法、野口整体、Oリングテストなど」
催眠療法
医療では催眠が利用されている。多くは自分で自分に暗示をかける自己催眠で、心療内科で自律調整法と言われ、自己催眠で落ち着いた状況を作るために使われる。医療で自己催眠ではなく他者催眠をうまく使うことは出来ないのだろうか?
知り合いの鮨屋の親父は催眠術を習いにいった。親父は「催眠術は一般に思われている以上に怖い」という。
教師は怪しげな一般人の催眠術師だった。目つきが鋭く、怖い顔つきをしていた。講習会の初日、講習を受けに来ている6人の中から1人を選び出し、「明日、お前は全員に昼ごはんをおごる」と暗示をかけた。するとどうだろう。翌日の昼になると、突然その人が浮かれ出し、全員に昼ごはんをおごった。催眠をかけられた人は3日間の講習が終わるまで催眠をかけられたことにさえ気づいていない様子だった。
鮨屋の親父は自分が催眠をかけられても分からないだろうと怖くなった。
ある時、厄神さんのまわりにいる拝み屋(厄をおとそうと厄神にお参りする人を捕まえ、拝んで治してあげるという人々)から「治療効果がなくても半年くらいは催眠でごまかせる。」と聞いたので、催眠について研究してみることにした。
習いにいったのは学問的に催眠術研究をしている団体の講習会だった。
医者が催眠術を習いに来たのが面白いらしく、まず私に催眠術をかけることになった。しかし、私には催眠がかからない。腕自慢が何人も交代で出てきたが、結局、催眠にはかからなかった。すると、催眠術にかからないのは、私の人格が悪いということになった。
どうも本物の催眠術は秘伝とされていて秘密裏に伝承されているのだろうという気がする。それと言霊というが、特別な声の持ち主でないと催眠をかけるのは難しいのではないか思った。
野口整体
整体で有名な野口整体について少しばかり書いてみたい。
野口整体では手かざし、つまり 気 で病気を治す部分がある。
30年ほど前、野口整体を見学に行った人から聞いた話だが、野口氏が気を使って治療しているうちに気が消耗して病気になってしまったので、一人の人が気を出して治療するのではなく、治療に来ている患者さん同士が気を使って治療することになったという。
また野口氏が60代の若さで亡くなられたのは、気を使い過ぎたからだとも聞いた。
ある時、野口氏に直接指導を受けた80歳前半の治療師に出会うことができた。その人によれば、野口さんは決して気を損傷することはなかったという。
その治療師はその年齢ながら1日に5時間も6時間も野口流の整体をするのだから、気を損傷することは多分ないのだろう。ひょっとすると、野口整体も野口氏が亡くなられてからその施術法は変遷していったのかもしれない。
私は親族を気功で治したことがある。
気功治療は極めて有効だが、施術者の体調で効果は変動する。また施術者は施術すると自分の気を使い果たしてしまい、そんなに簡単には回復しない。だから気を決して医療に使ってはいけない。
気を使って医療をすることは自分の元気を人に分けてあげることであり、それは宗教的行為になる。そんなことをしなくても様々な方法で病気を治すことができるのだから。
0リングテスト
気功の関連としてOリングテストを学んだことがある。
右手の人差し指と親指で輪を作る。もし体に害のある物を左手に持たせるとその輪を作っている筋力が弱まる。
米ニューヨーク心臓病研究所所長の大村恵昭博士が発見した方法で、病気の診断に使われる。
ある人をこの方法で診断していったら膵臓に癌があると分かった。ところがCTをとってもそれらしい影はない。そこでOリングテストはインチキだということになった。
ところが半年ほどして、その人は膵臓癌を発症したと言う
Oリングテストは、波動によって筋肉が影響を受けることを利用した診断技術だが、もともとは占い師の技術を応用したものだという。
占いの商売は難しい。まず初めに患者さんに予知能力があることを示さなければならない。兄弟が何人だとか、先祖がどうだとか占いに来る人に言い当てて、信用させなければならないのだ。

親指を左右に動かし、指が止まった所が答えとなる。
「あなたは3人兄弟の真ん中で、お祖父さんは亡くなっている。」などという。当たる確率はあまり高くなくてもいいが、まったく見当はずれでも困る。
そんな時、占い師は頭で考えると間違いをおこすので、0リングに似た方法を使う。
机の下に手をやり、客の顔を見ながら人差し指から中指、薬指に順番に兄弟一人、二人、三人と仮定して親指と人差し指をこすり合わせて自然に親指が止まったところを客に言ってみる。そうすると頭で考えるより良く当たる。
人の周りには気というか波動が出ていて、それに自然と体が反応する結果を選ぶという方法だ。3割当たれば占い師として十分食べていけるというからそういう精度を上げていく訓練をすればいい。
以前、気功の勉強会に参加した時、人の名前を紙に書き、その人が故人かそれともそうでないかを当てる訓練をさせられたことがあった。こういう修業をして自分の頭で考える癖を排除して、気の波動を体で受ける訓練をするのだ。
左回り健康法
ある整形外科の医者が少年野球チームの監督をしていた。運動神経の悪い選手をその場で左周りに回転させると運動神経が伸びることが分かった。そこで回転する台に乗せて少しずつ早く回すと飛躍的に運動神経がよくなった。
病気のある人も台に乗せて試してみると腰椎ヘルニアなどが治ることが分かったという。
詳しく話を聞くと、脳の委縮を起こしている老人でも左周りをさせることで委縮が回復するという。委縮した脳が元に戻ったCT写真を見せてくれた。回転は右回りでは駄目で左回転でないと駄目だと言う。
人の作る道具、時計やねじは右回りが基本だ。オリンピックでグランドを回るのは左回りで、これは人の足の長さが違うからだと言われている。右足より左足の短い人が多いのは左足を軸足にしているからで、左回りの方がいい記録が出る。
砂漠で迷うとまた同じ場所に戻ってくるが、それは方向の分からない場所を歩くと、足の長さの違いから左周りで帰ってくるからだ。
人は回転するイメージのある絵を見ると不安になる。ナチスの旗はヒトラーが作った物だが、これは右回転だが人を不安にさせる赤と回転のイメージがすり込まれている。
さてその器具は何百万もすると言うので、友人に作ってもらうことにした。
友人は木枠で電気こたつを重ねたような大きな器具を作ってくれた。だが高いため危険だ。
そこで電気屋さんに配電盤のボックスの上にアルミの分厚い板を円形に切ってもらって回転台を作った。内部はモーターの回転をギアで方向を変える簡単なもので、30万ほどした。
実際に使ってみると回転のスピードが難しい。
初めから早すぎるとめまいがする。遅すぎても駄目だ。患者さんに付きっきりで様子を見ないと危険だ。
運動能力の効果は確かにありそうだが、長期に渡って続けねばならず、医療として使うことを諦めた。
- 第19話「催眠療法、野口整体、Oリングテストなど」
- 2016年08月15日
「民間治療見聞録」目次
- 第1話 民間治療にのめり込むきっかけになった話(2015.11.01)
- 第2話 体を触ることで内臓疾患が治るか?(2015.12.01)
- 第3話 民間療法は現在の医療より進んでいたのか?(2015.12.15)
- 第4話 民間治療の分類(2016.01.04)
- 第5話 鍼治療(2016.01.15)
- 第6話 灸による治療(2016.02.01)
- 第7話 耳鍼、水晶鍼(2016.02.15)
- 第8話 井穴鍼(せいけつしん)(2016.03.01)
- 第9話 体から血を吸いだし(刺絡 瀉血)、内出血させて治療する(吸角)(2016.03.15)
- 第10話 武道家のマッサージ師(2016.04.01)
- 第11話 レントゲン技師だったマッサージ師の治療(2016.04.15)
- 第12話 ストレッチとリンパマッサージ(2016.05.01)
- 第13話 お寺で発達した整体術(2016.05.15)
- 第14話 カイロプラクティックと環椎(2016.06.01)
- 第15話 オステオパシー(2016.06.15)
- 第16話 柔道整復術(2016.07.01)
- 第17話 気功(2016.07.15)
- 第18話 気功と佛眼(2016.08.01)
- 第19話 催眠療法、野口整体、Oリングテストなど(2016.08.15)
- 第20話 内蔵疾患から背中が歪むことがあるか?(2016.09.01)
- 第21話 骨格は歪んだり治ったりしている(2016.09.15)
- 第22話 医療にするための方法論(2016.10.01)
- 第23話 整体で病気を予防できる(2016.10.15)
- 最終話 最後に(2016.11.01

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