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漢方医として腕を上げる方法

3. 漢方医はどういう方法で腕を上げてきたのだろう?

3.3. 秘伝への誤解

処方を隠していると聞くだけで腹を立てる人が多い。
医者は赤ヒゲ先生のように無償で患者を治療し、効く処方を早く公開して多くの人を救うべきだと。しかしこれは誤解というものだ。

私が癌に効く漢方薬を臨床の中で偶然見つけたとしよう。
しかし、それはAさんに効果があっただけで他の人に効くかは分からない。そこでたまたま来られたBさんに投与したら結構効果があった。でもCさんにもDさんにもそしてEさんにも効かなかった。

どうしたらもっと効果がある薬になるのか?必死で考え、薬を出しているうちに少しばかりは上手になり、もう少し患者さんを治せるようになった。そうなると噂を聞いて癌の患者さんが来だした。

たくさん患者さんが来られることで治せる確率が高くなっていった。
世間にこの薬を発表してもいいが、発表するには中途半端だし、もう少しいい薬を作ってからにしたい。発表することで他の医院に患者さんが行ってしまえば、もっといい薬を作るチャンスが失われてしまう。

実際、山本巌先生は乾癬の治し方を大阪市立大学の石井教授に伝授し、教授はそれを論文にした。すると患者さんの多くが大学に流れ、乾癬の治癒率をもう少し上げたかった山本先生のところには来なくなってしまった。弟子の石井教授は優秀だが大学では自由に臨床の研究ができない。そこで乾癬のさらなる薬は開発出来なくなってしまった。そういうことが起こってくる。

漢方では治療と臨床研究が渾然一体となっている。たくさん患者さんが来てくれれば間違いなく腕が上がる。どこで発表するかは難しい。もしAさん一人に効果があった時点で発表して、他の医者が使って効かなければ自分の評判を落とすことになる。

私のような年老いた漢方医はどういう風に考えているのか?
自分の処方をより発展させてくれる弟子に処方を教え、その人が私の処方を発展させてから世に問うて欲しい。

山本先生は自分の医院で働いていた坂東先生に自分の処方、漢方医学に関する考え方を本にして残すように言われた。そこで坂東先生は[病名漢方治療の実際]を書いたのだと坂東先生からうかがった。この本には山本巌先生のほとんどの技術がかかれている。
私も山本先生から処方を教えるのでそれを論文にして残すように言われて論文を幾つか書いた。薬の発展を託すなら発展を促進できる能力のある弟子に託す。それが一子相伝ということだ。

赤ヒゲ先生

赤ヒゲ先生とは山本周五郎の小説に出てくる江戸時代の町医者。貧しい患者を無料で診療したという。

もし赤ヒゲ先生がいたら教えて欲しい。治療を受けに行きたいからだ。

もし赤ひげのフレンチレストランのオーナーシェフがいたら教えて欲しい。食事にいってワインも飲みたい。赤ひげのポルシェディーラーのオーナーがいたら教えて欲しい。車をもらいにいくつもりだ。

おかしな倫理規定を医者だけに求めることはやめて欲しい。私のところでは一人の患者さんのためだけに丸薬を作ることもあるし、高価な薬を差し上げることもある。

西洋薬の抗がん剤との比較

オプジーボという高価な抗がん剤がある。話題になったのでご存知の方も多いだろう。国は1年間使うと3500万という値段を決めた。製薬会社が儲かるようにだ。
初めは皮膚癌の治療に効くということで認可を受けた。患者の数が少ないので、そのくらいの値段をつけてやらないと会社は儲からない。
ところが他の癌にも効くということになり、予想した会社の儲けが膨大になり、また保健医療費が莫大になるため半額にすることになった。

政府は日本の製薬会社を世界的な会社にしたい。しかし、日本の製薬会社は世界的にみてあまりに小さい会社が多い。そういうことから政府が公定価格を決めている。

皮膚ガンの4割ほどにオプジーボは効くらしい。だが肺がんなどでは2割しか効果がない。重篤な副作用は7人に1人くらい起こるらしい。もし、自費なら3500万かかるこの治療法をあなたは受けるのだろうか?
保険でも月に8万もかかる。しかも完全に治るわけではない。

西洋医学といえば特許の薬を使い、確実に病気を治してくれるイメージがあるが、難病に関しての効果は驚くほど低く、しかも薬によっては値段が驚くほど高いということもある。世間の人は製薬会社が儲けるのは当たり前だが、漢方医が薬の開発にお金をかけることを理解できない。癌に関しては漢方の役立つ場面が多そうだ。副作用はないし、薬を飲むだけだからだ。

漢方医は患者さんと信頼で結ばれている

20年ほど前、胃のポリープを漢方で治した患者がやって来た。山本巌先生から食道ポリープの治し方を教えてもらい、それを応用して声帯ポリープや胃のポリープを治した。その患者が来て、

「先生、胆嚢にポリープが出来たので、治して下さい。5ヶ月ほど先にまた検査しますのでよろしく。」

「ちょっと待って。私は何でも治せるわけじゃない。胆嚢ポリープは危険だし。胃のポリープとは違うから」というと、

「じゃ頼みます。」と言って帰ってしまった。

一部上場会社の常務さんは戦時中戦闘機を作っていた。どんなに工夫しても戦闘機のギアボックスが焼きつく。色々調べると飛行機が急旋回をする時にオイルが遠心力で偏在するのがわかり、それを技術で克服した。

その患者さんにほんの小さな胃がんが見つかった。
手術で簡単に治るので手術を勧めたが「俺はお前の技術にかけたい。俺は技術屋だ。」と言って聞かない。私は西洋医学の治療を受けない人に癌の漢方治療をしないことに決めている。

だが幸いにもこの人の場合は、漢方薬だけで癌が消えた。無論、毎回上手くいくわけではない。ただ、患者との信頼関係がなければ本来、漢方治療はできない。以前にも述べた通り、患者との信頼関係から新しい薬が作られてくる。

「漢方医として腕を上げる方法」目次

1. 日本の漢方の悲惨な現状
  1. 1.1. 漢方の故郷 中国(2016.12.01)
  2. 1.2. エキス漢方の投与量はどうして1日7.5gなのか?(2016.12.15)
  3. 1.3. 保険漢方医は7.5gを超えて投与した経験がない(2017.01.01)
  4. 1.4. 漢方の理論を勉強しても腕は上がらない(2017.01.15)
  5. 1.5. 大学で保険の漢方外来をすることほど恥ずかしいことはない(2017.02.01)
2. 腕をあげるための2つの原則と1つの道具
  1. 2.1. 漢方理論を臨床に持ち込まないこと 1つめの原則(2017.02.15)
  2. 2.2. 生薬の薬能は処方の中で変化する 2つめの原則(2017.03.01)
  3. 2.3. 丸薬(丸剤)を生薬解析の道具として使う 一つの道具(2017.03.15 )
3. 漢方医はどういう方法で腕を上げてきたのだろう?
  1. 3.1. 漢方で特許を取ることは出来ない(2017.04.01 )
  2. 3.2. 華陀(かだ)はどうして名医になったのか?(2017.05.01)
  3. 3.3. 秘伝への誤解(2017.06.01)
4. 漢方医学の迷信的治療
  1. 4.1. 漢方メーカーの宣伝にのせられるな(2017.07.01 )
  2. 4.2. 日本漢方より西洋医学の病理学が大切(2017.08.01 )
  3. 4.3. 中医学は空想的(2017.09.01 )
5. 創薬の具体的な方法(独自の丸薬作り)
  1. 5.1. 未知の学問は整理と分類が大切~葛根湯の解析を例に(2017.10.01)
  2. 5.2. 漢方薬に西洋薬の分類を当てはめて利水薬を作る(2017.11.01)
  3. 5.3. 瘀血の考え方と分類(2017.12.01)
最後に
  1. 創薬の楽しさ(2018.01.01)
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