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漢方医として腕を上げる方法

3. 漢方医はどういう方法で腕を上げてきたのだろう?

3.2. 華陀(かだ)はどうして名医になったのか?

華陀は紀元200年頃、三国志の時代に活躍した名医だ。魏の曹操の頭痛を治すことができた。曹操は華陀を召し抱えようと思ったが、華陀が曹操に仕えることを嫌がったので、拷問にかけた上で殺してしまった。殺してしまった後、曹操は誰も自分の頭痛を治せないことを知り、華陀の残した頭痛薬を惜しんで飲んだという。

どうして華陀が名医になったかは詳しくは分からないが、一つだけ確かなことがある。それは処方を秘密にしていたことだ。自分の処方を誰にでも気前よく教えていたら名医にはならなかっただろう。

毒矢を肘に受けた関羽を治療する華陀

歌川国芳画
「通俗三国志之内 華陀骨刮関羽箭療治図」

西洋の世界でも秘密にされてきた知識

名医になるためには秘密を守ること、そして情報を尊ぶ姿勢がないと誰も大切な知識を授けてはくれない。
それは西洋医学でも同じだ。

「ヒポクラテスの誓い」というのがある。
ヒポクラテスは紀元前5世紀に生まれたギリシャの医者だ。彼は科学にもとづく医学の基礎を作ったことで「医学の祖」と称されており、医師の職業倫理について書かれた彼の宣誓文は今でも西洋医学教育に取り入れられており、日本でも日本医師会がそれを提唱している。

この文章を詳しく見ると、徹底した秘密主義だということを読み取ることができる。
日本医師会のHPからその一部を紹介しよう。

ヒポクラテスの誓い(訳:小川鼎三)

医神アポロン、アスクレピオス、ヒギエイア、パナケイアおよびすべての男神と女神に誓う。私の能力と判断にしたがってこの誓いと約束を守ることを。

  1. この術を私に教えた人をわが親のごとく敬い、わが財を分かって、その必要のある時助ける。
  2. その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶことを欲すれば報酬なしにこの術を教える。そして書きものや講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわが息子、わが師の息子、また医の規則にもとずき約束と誓いで結ばれている弟子どもに分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
  3. 以下省略

<引用元>日本医師会「ヒポクラテスと医の倫理」より

ヒポクラテス

ヒポクラテス
ピーテル・パウル・ルーベンス作(出典:Wikipedia)

この誓いは、情報を教えてくれた人を大切に敬い自分の息子、教えを乞うた先生の子孫、そして約束を守る人以外には教えないと書いてある。

これは当たり前のことで、特許として情報を守ることができない時代、医者はそういうふうに生きてきた。つまり、医学の知識は親しい者たちの間で秘匿されていたということだ。華陀にしろ、ガレヌスにしろ、過去の名医たちはとても義理堅く口が固かったことは間違いない。

今から50年くらい前までアメリカでは、医者が医者の治療を受けても医療費は請求されなかったし、日本でも医師国保に入っていれば、自己負担は0だった。医者は秘密を守るギルド的な職業集団だった。

漢方に話をもどそう。
一般に広がった知識ではなく、飛び抜けた知識を持った人が名医になることが出来る。名医であるためには死ぬほど口が固いということが、必須の条件になることが分っていただけたと思う。

私の経験

私は伝承医学の世界に足を踏み込んで30年以上の月日が流れた。その中で口が固いこと、そして教えを受けた人を尊敬することで多くの貴重な知識を授かることができた。

オステオパシーという治療法の第一人者で、アメリカのオステオパシー医科大学の教授もしていた古賀正秀先生のところにお邪魔して、何度か教えてもらう機会があった。古賀先生が亡くなられた後は、側近の弟子に何度か教えを乞うた。
その弟子が病気になった時、私は何年も無料で薬を送り続けた。貴重な知識を教えてもらった尊敬からだ。
ある時、その弟子から自分も老い先がないので、秘術を教えるからと電話があり、教えてもらいに出かけた。そしてその人が大切にしていた古賀先生の治療ビデオを12巻いただいた。これは本当に貴重なビデオで私の技術は一気に向上した。

医学を伝承する先生は決して秘密を教えないことはない。むしろ誠実に自分の治療を実践し、発展させてくれる人を待ち望んでいる。偉大な漢方医といえば多くの古典を読み、勉強をしたと思いがちだが、それだけではない。むしろ口が固く、師匠の知識に尊敬を払うものだけが名医としての基礎を固めることができたのだ。

インターネット時代の漢方の伝承

現座漢方塾開催の様子

銀座漢方塾開催の様子

昨年まで私は銀座漢方塾を主催していた。その時に一番初めに出席者に教えることは、秘密を守るということだ。
秘密を守ることで自分の周りには貴重な情報が集まってくることを教えた。これは何も漢方だけでなく当たり前のことだ。特許の取れない知識、ノウハウは世の中に数多くあり、それを守ることは当然のことだ。

しばらくして勉強会に出席していた医者のブログに、私の教えた貴重な技術が載っていることを偶然見つけた。知識が画期的であればあるほど人はブログで自慢したくなるようだ。私の小さな勉強会でさえ情報を伝えるには不適だった。なぜなら勉強会でお会いするだけでは、その人の口の固さまでは判断できないからだ。

まとめ

伝承医学は経験によるところが多く、優れた名医に教えてもらわないと、決して名医にはなれない。名医となるためには、秘密を守り、教えてくれた先生に忠義を尽くし、腕を上げたいと真剣に望む人でないとダメだ。

伝承医学で治療を受けたい患者さんは、その名医にかかっている患者さんに紹介されていくのが理想だ。西洋医学では想像もできないような効果を伝承医学が持っていても、漢方医の人柄を知らなければ不安で仕方がない。
伝承医学は医者も患者もギルト的な信頼で結ばれた社会であり、西洋医学のようなドライでギスギスした社会ではない。

「漢方医として腕を上げる方法」目次

1. 日本の漢方の悲惨な現状
  1. 1.1. 漢方の故郷 中国(2016.12.01)
  2. 1.2. エキス漢方の投与量はどうして1日7.5gなのか?(2016.12.15)
  3. 1.3. 保険漢方医は7.5gを超えて投与した経験がない(2017.01.01)
  4. 1.4. 漢方の理論を勉強しても腕は上がらない(2017.01.15)
  5. 1.5. 大学で保険の漢方外来をすることほど恥ずかしいことはない(2017.02.01)
2. 腕をあげるための2つの原則と1つの道具
  1. 2.1. 漢方理論を臨床に持ち込まないこと 1つめの原則(2017.02.15)
  2. 2.2. 生薬の薬能は処方の中で変化する 2つめの原則(2017.03.01)
  3. 2.3. 丸薬(丸剤)を生薬解析の道具として使う 一つの道具(2017.03.15 )
3. 漢方医はどういう方法で腕を上げてきたのだろう?
  1. 3.1. 漢方で特許を取ることは出来ない(2017.04.01 )
  2. 3.2. 華陀(かだ)はどうして名医になったのか?(2017.05.01)
  3. 3.3. 秘伝への誤解(2017.06.01)
4. 漢方医学の迷信的治療
  1. 4.1. 漢方メーカーの宣伝にのせられるな(2017.07.01 )
  2. 4.2. 日本漢方より西洋医学の病理学が大切(2017.08.01 )
  3. 4.3. 中医学は空想的(2017.09.01 )
5. 創薬の具体的な方法(独自の丸薬作り)
  1. 5.1. 未知の学問は整理と分類が大切~葛根湯の解析を例に(2017.10.01)
  2. 5.2. 漢方薬に西洋薬の分類を当てはめて利水薬を作る(2017.11.01)
  3. 5.3. 瘀血の考え方と分類(2017.12.01)
最後に
  1. 創薬の楽しさ(2018.01.01)
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