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山本巌先生の漢方理念

第2回 山本先生と保険漢方薬

「誰もエキス漢方薬を保険に通してくれなどと頼んでいない。」
そう山本先生は言われていたから、山本先生にとって保険漢方薬は厄介なものだったのだろう。

故武見太郎医師会長の政治力によってエキス漢方は効能効果試験や副作用試験を免除され、1970年代には現在の148種類のエキス漢方すべてが保険収載された。試験を受けずにいわば裏口入学したエキス漢方には多くの問題があった。

まず、メーカー指導で決められた1日投与量は少なすぎるということだ。販売価格は政府が決めるのだから、メーカーは効能効果試験をしてないことをいいことに、とても薄いエキスを作ったことは容易に想像できる。

次に、148種類のエキス漢方のうち三分の二は、東京に多かった古方派の漢方医が好む傷寒論由来の処方で、伝染病を目的として作られている処方だから使いにくい。
武庫川女子大学の薬学部教授だった桑野先生によると、あまりに古方ばかりの処方なので、後生方の重要な処方が保険採用されるように働きかけたというが、現代の雑病に使われる薬は非常に少ないと言っていい。

この裏口入学の許可を取り消そうと政府は2度試みたが、メーカー主導の署名活動によって保険から外されることなく現在まで至っている。

欠陥だらけのエキス漢方ではあるが、煎じる手間がなく、保険が使え、全く新しい分野の薬が148種類もあるのだから、次第に医者の間で使われだして現代では医者の7割が使っている。

時代の流れの中で、 この欠点だらけのエキス漢方をどう生かすかが山本先生に求められた課題だったことは容易に想像できる。

まず、効能効果試験を受けていないエキスの1日必要量を決めなければならなかった。様々な試みを経て、山本先生は1日投与量の2倍量が必要量であることを明らかにした。

次に、加減できないエキスをうまく利用するために、2つの処方を合包して使うことを考えた。小青竜湯に杏仁、石膏、蘇子、桑白皮の加減なら小青竜湯に麻杏甘石湯を合包して使うといった具合だ。

こうして欠点だらけのエキス漢方をフルに効かせる方法論を書いたのが、坂東先生による【病名漢方治療の実際 ― 山本巌の漢方医学と構造主義 ―】だ。

この本は出版された2002年の時点で、山本漢方を知る上で非常に有力な本であったが、今ではその処方を追試してみることが困難になった。
理由は明白で、処方の2倍投与ができないこと、さらに患者に3種類の漢方を一度に出すことが難しくなったからだ。

保険のエキスが出現するまで山本先生は煎じ薬を使っていた。
私の見学時でも難しい患者さんには煎じ薬を使っていたが、先生が書かれたカルテを薬局に運ぶ短い時間に、生薬一字銘で書かれたカルテを読みとき、それを理解するのは当時の私としては不可能だった。

山本先生は私に「中国との国交がない時代には処方を組むのに必要な生薬が手に入らなくて他の生薬を使うなど苦労したが、そのことが生薬の薬効を知るのにずいぶん役に立った。」と教えてくれた。だから先生は一つ一つの生薬の薬効にずいぶんと詳しかったはずだが、それを総括的に学び、理解した弟子はいないのではないかと思う。

エキス漢方は保険に収載されているから、山本先生の真似をしながら気楽に薬を出して漢方を学ぶことができた。しかし山本先生が煎じ薬だけを使っていた時代に見学をしていた弟子は、漢方の使い方を学ぶのに苦労した。

もう亡くなられたが、市民病院の脳外科部長をしていた上原先生は、部長室に百味箪笥を置き、処方を煎じて入院患者に無料で飲んでもらっていた。本人によると月15万円ほどポケットマネーを使っていたと言う。

現在は山本漢方といっても保険漢方の使い方ばかりが注目されているが、本来の煎じ薬の使い方について記述している先生も、そして自費診療している先生もいない。
その理由についてはまた後ほど述べたい。

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