第35話「スマホに潜む悪魔」
「君はヤフーニュースを1日に何度も見たりしないか?」と夢のなかで老人が語りかけてきた。
「何度も見ますね。」
「中毒症状が現れているな。ヤフーニュースは1ヵ月150億回も見られているニュース媒体の王様だ。君のように多くの人が1日に何度もニュースを見ている。日本中が情報中毒になっている。」
「何か新しいことが起こっていないかとニュースを見ることが中毒なのですか?」
「ニュースを見た後で自分の役に立つニュースが幾つあったか思い出してほしい。ほとんどないはずだ。まして、1日に何度も見なければいけないほどのものではないことは確かだ。
ニュースは人によって作られる。沢山ある事実の中から人の興味を引きそうなものを選んでニュースとして報道する。かなり重要なニュースであっても難解なものや一般受けしないものはあまり報道されない。」
「そういえばフェイクニュースで金を儲ける人のことを思い出しました。こちらは嘘のニュースですが、それでもアクセス数が多ければバナー広告で儲けられるという話を聞いたことがあります。」
「ヤフーニュースは信頼性の高いニュースだが、それでも1日1、2回見れば十分だ。何回も見ているのは情報中毒になっているからだ。頭は刺激を求める。満たされることがなく刺激を求めていき、中毒になってしまう。インスタグラムやブログ、ユーチューブも面白いものがないか探し回る。それが情報中毒ということだ。」
「中毒になってもいいじゃないですか。アルコール中毒やシャブ中毒じゃないのだから。」
情報中毒と退屈地獄
「スマホの中には体調や精神を狂わせる悪魔が住んでいる。禁断症状が怖い。刺激的な情報を求めて探しまわっていると情報が遮断された途端に退屈地獄という禁断症状が出る。友人のフェイスブックを見たり、ツイッターを見たりするだけでなく、用事もないのにラインをしてみたりする。そうするうちに思考能力がなくなり、被暗示性が強まり、どんなことでも疑うことなく信じてしまうようになる。そして、いつもイライラする。
一番怖いのは人生に喜びを感じられなくなることだ。」
「どうして人生に喜びを感じられなくなるのですか?」
「人生に刺激的なことは少ない。すべてが地味だ。スマホゲームの中で勝者になれても現実の人生では簡単には勝者にはなれない。インスタグラムで友人の羨ましい生活を見せつけられ、友人に送ったラインが既読になったにも関わらす返事がこない。そんな中で精神が病んでくる。
休みの日の夜中に仕事のメールが来たりする。出した相手は言い忘れたことを忘れずに伝えるためにとりあえず思い出したときにメールを送ってくる。そんなメールを見ると、自分のメールアドレスを備忘録に使われているような嫌な気分になる。」
「休みの日のメールは勘弁して欲しいですね。」
スマホによる体調不良
「スマホ首で手のしびれ、肩こりが起こる。眼精疲労、仮性近視といった目の病気、さらには難聴や耳鳴りがおこる。スマホで音楽を聴くとき、特に地下鉄の中で聴く場合などは音を大きくしないと聞こえないから耳がやられてしまう。スマホは精神を犯すだけでなく、健康も害するという恐ろしいものだ。
一番恐ろしいのは、そんなに害がないとみんなが思っていることだ。
じつは、俺はスマホ首になって3か月間も痛みが続いた。MRIでも異常がなく、スマホ首による障害だと分かった。いろんな体調不良、精神的な不安はその多くがスマホの中に潜んでいることに気がついた。そこで、いくつかの手をうつことにした。
まず、メールを書くのを控えています、と連絡してメールを減らし、電話を入れるように頼んだ。相手から連絡の来るLINE、facebook、twitterは、イラつきの原因になるのでしないことにしている。
それとスマホの電源を切ることにした。スマホは必要な時に辞書代わりに使う。調べものはパソコンを出来るだけ使う。そうすることでずいぶんと精神的にも肉体的にも健康を取り戻すことができた。」
「なるほど。スマホとの付き合いを考えろということなのですね。」
- 第35話「スマホに潜む悪魔」
- 2018年12月10日
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