第248回「オープン2シーターの魅力」
車より走る道のほうが、はるかに大切
私は2シーターのオープンカーを25年乗り継いできた。スポーツカーを楽しむためには、車そのものより走る道のほうが、はるかに大切だ。
まず道が空いていること、緩やかなカーブが続くアップダウンがある道が理想だ。直線の続く高速道路や平地の道路はカーブが少なくハンドリングを楽しめない。
そうなると楽しめる道は郊外の峠越えの道ということになる。峠道は広くはないから、車の幅は180センチくらいが限界だ。フェラーリやランボルギーニのような車は魅力的だが幅が広すぎ、また車高が低すぎて峠道を走れないだろう。
2シーターは1人乗り
2シーターは1人乗りだ。2人で乗ると、手荷物を置く場所にも困る。また遠出には向かない。運転に疲れてシートを倒して休むことができないから、せいぜいハンドルを抱きかかえるように休むしかない。
昔、2シーターをゴルフに行くのに使っていた。ホームコースでないゴルフクラブに行く時は、屋根を開けるとゴルフバックがトランクに入らないから助手席に積んでいた。
そんな不便なオープン2シーターだが、走る楽しみは格別なものがある。
スポーツカーって何?
そもそもスポーツカーは走りを楽しむ車だ。
都会の周辺はいつも渋滞していて気持ちよく走れる道はほとんどない。だから自動車メーカーは混んだ道でもスポーツカーらしさをどう強調するかに苦労している。
アクセルを踏むと低速でもエンジン音を大きくする装置をつけたり、車高を極端に低くしたりしている。しかし、それはかえって本当に走りを楽しむには邪魔な車を作っていることに他ならない。
夜中に走ることに
私は無茶な運転は一切しないが、ゆっくり走る車がいると自分のリズムで走れないし、追いかけられるのも嫌だ。だから車の少ない夜中に走るようになった。
音楽をかけ、オープンにして風を感じながら走るのはとても楽しい。適度なカーブがあり、空いていて、危険がない道を組み合わせて走っている。
前に乗っていた車は自然吸気の3500ccV6エンジンで15年ほど乗った。壊れたことは一度もなく、いい車だったが、夜中の山道で故障されると困るので、買い替えることにした。買い替える時は中古車と決めていた。ほとんど夜中しか走らないのに新車を買うつもりは初めからなかったからだ。
すべてのオープンカーが幌になっていく
私の乗っていた車はバリオルーフというスティール製の屋根がついていたが、最近BMWなどのオープンカーはすべてが幌に変わっている。確かに幌の方がオープンカーであることが分かるし、美しい。でも手間もかかる。手洗い洗車しかできないからだ。以前ならどこのガソリンスタンドも手洗い洗車をしていたが、今ではほとんどが機械洗車だ。
夏の夜中に走ると虫がヘッドライトに誘われて飛んできてボディが汚れる。ほっておくと取れなくなるから、すぐに洗車しなければならない。都会のガソリンスタンドは混んでいて、機械洗車さえスムーズにはいかない。
私は雨の日には乗らないし、幸いにも屋根のあるガレージに停めてはいても、頻回に手洗い洗車は難しいので、バリオルーフを探すことにした。
エンジンは3000cc以上、右ハンドルで探し始めたが、条件に合う後継車はメルセデスのAMGしかないことが分かった。この車は生産中止で人気がないのかほとんど出回っていない。おまけに左ハンドルばかりで、AMGの右ハンドルは7台に1台しかないという。しかし、幸いにも素晴らしい状態の中古車を手に入れた。
氷点下のドライブが帽子なしでできるとは!
メルセデスのオープンカーにはシートヒーターのみならず、首のところに3段階に調節できる温風機がついている。以前の車にもついていたが、マイナス2〜3度の道を3時間も走ると頭が冷えるので、山猫の毛皮の帽子をかぶって運転していた。
今の車もこの帽子さえ有れば快適だ。
ある時、室内温度はそのままで風量をかなり強くすると、エアスカーフの風もすごい風量になることを発見した。メルセデスの車は面白くて何年も乗っていても、こんな機能があると驚くことがある。まさにそれだった。
エアスカーフのみならず、ハンドルの吹き出し口の風量も無論強くなる。普通の車は温度を上げると手元が熱くなりすぎるので手袋が必要になるのだが、温い空気が増えるだけなので、熱くはならない。氷点下の道を手袋も帽子もなしで走れるのに驚いた。
雪の降る中を走るのも楽しい。メルセデスには外気温の温度計もついている。氷点下になると道が凍ってスリップする恐れがあるからだ。雪が降る時は外気温に気をつけている。
AMGは維持にとてもお金がかかる
普通のメルセデス車も費用はかかるが、故障もしないからそれほどお金はかからなかった。
今回、タイヤが減ったので買い替えをすすめられた。4本で20万。元々のコンチネンタルのタイヤはコンパウンドが硬くてゆっくりカーブを回る時、押し出されるようなトルクを感じるので、もっと安くてコンパウンドの柔らかいタイヤにして欲しいと頼んで10万円のタイヤに変えたら乗り心地も良くなった。
これからどんどん維持費が高くなるか心配しているが、性能のいい車なので、お金がかかるのは仕方がないと諦めている。
次はダイハツのコペン?
もし次に買い替えるとしたら、ダイハツのコペンかもしれない。これからは寒い時期には乗らなくなるだろうし、お金も心配だ。
コペンは試乗したことがないが、軽四は車幅が狭いから峠道でもアウト・イン・インをしながら、小さなエンジンの性能を上手に引き出すのは面白いのではないかと想像している。
さらに一番重要なのは、費用のかからないスティールヘッドのオープンカーだからだ。
- 第248回「オープン2シーターの魅力」
- 2022年04月20日
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