第322回「世界大恐慌への足音」
日本のバブルを検証する

2013年の人口
(出典:ドイツニュースダイジェスト)
6年も続いた第2次世界大戦が終わった途端に復員してきた兵隊が結婚して、世界中でベビーブームが起こった。アメリカでもヨーロッパでも、そして日本でも子供が沢山生まれた。
特に日本では異常なベビーブームが起こった。2013年の表を見るとドイツと比べて60~70歳の人口が飛びぬけて多いことが分かる。この表は10年前の表だから現在の70~80歳の年齢、つまり団塊の世代が多いことが分かる。
日本のバブルは団塊の世代が作った
子供が増えるとまずは子供用の製品、ミルクや乳母車さらにランドセルや机といった商品が大量に必要になる。それが日本のGDPを押し上げた。一方のヨーロッパではソ連という脅威が目の前にあり、またアメリカでは朝鮮戦争が続いていて、膨大な軍事費がいるだけでなく、途切れることのない精神的緊張状態が続いていた。
日本ではアメリカの占領軍がいたおかげで軍備に回す費用がほとんどなく、ひたすら経済発展に集中することができた。日本人は自分たちがよく働くからこれだけの経済成長ができたのだと信じているが、じつは日本の労働生産性(一人の労働者が作り出す価値)は今も昔も世界で22位に甘んじている。
団塊ジュニア世代は就職氷河期に出会う
1990年にバブルがはじけた後の1993年頃から就職活動をした団塊ジュニア世代は、自分の希望の会社に入れなかった。34年が経った2024年、団塊ジュニア世代は現在40-50歳になっている。
人口が多いと人を安く働かせる習慣ができる
日本ではサービス残業といった言葉が使われ、人を安く使う習慣が出来てしまった。本来、人は高いという概念が日本人にあれば、賃上げをして個人は豊かに暮らせていけたはずだが、そういった概念がなく、デフレの中で実質賃金も低下している。
もし最低賃金を全国的に統一して毎年何十円かずつ上げていけば、経営者も人件費が高いことが理解できるのだが、少なくとも企業の99.7%を占める中小企業の賃上げはまったく成功してしない。
今の日本の状況は世界大恐慌前夜にそっくりだ

1932年世界恐慌の中、7人の子供を抱えて極貧生活を送っていた32歳の母親
(出典:Wikipedia)
1918年から3年間スペイン風邪が流行った。その後、株価が異常に高騰して1929年世界大恐慌がおこった。
今回も2020年からコロナ感染が世界中に広がり、株価が異常に高騰している。多分、来年あたりから世界大恐慌が始まるのではないかと心配してる。
人口減少を利用する
これから日本の人口は急速に減少する。一方のナイジェリアはまさに今、人口爆発が起こっている。この若い人たちを食べさせていくことは至難の業だ。
日本は老齢化が進んでいるが、海外資産もあり、ここ20年の間に老齢化の先進国のモデルになるようなコンパクトな国作りをしてほしいものだ。

ナイジェリア(左)と日本(右)の人口ピラミッド図
(populationpyramid.netより)
- 第322回「世界大恐慌への足音」
- 2024年12月25日
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