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夢の中の老人

第36話「戦争は経済戦争に置き換わった」

何故、和平演変は中国には効かなかったか?

「和平演変ってなんですか?」

「アメリカの外交官のジョージ・ケナンが冷戦時に提案した戦略で、西側の豊かさや文化を東側に見せつけることで体制を崩壊させようという手段だ。要は共産主義より資本主義のほうがいい生活ができますよ、ということを見せつければ人々の思想も変わるということだ。

今から50年くらい前、共産主義と資本主義のどちらの思想が人に幸福を与えるかと、よく議論された。冷戦は思想の戦いでもあった。【収容所群島】を書いたソルジェニーツィンはソビエトのことをボールの底にある球のようなものだと表現していた。半球形のボールが少々傾いても必ずボールの底に球は戻ってくる。つまり、絶対にソビエトは崩壊しないという意味だ。
だが、和平演変であっけなく潰れてしまった。西側の豊かな生活をみた東側の人たちは共産主義を捨てたのだ。」

中国への期待と落胆

鄧小平

鄧小平
ウィキペディアより

「中国は共産主義の国で、共産革命を広げるためにベトナムに進行した。しばらくして鄧小平が【黒い猫でも白い猫でもネズミを捕る猫はいい猫だ】、つまり、思想に関係なく資本主義的手法でどんどん豊かになっていけばいいという方針を示して国を豊かにしていこうと考えた。

それを聞いて西側諸国は喜んだ。豊かになっていけば、共産主義を掲げて再び他国を侵略するようなこともないだろう、経済発展の中で民主的な国になるのだろうと思った。中国を豊かにするためにアメリカの働きかけで中国がWTOに参加をしたのが2001年だ。つまり、和平演変に期待したのだ。」

「これを機に中国は工業化にまい進し、驚異的な発展を遂げていくわけですね。」

「そうだ。2010年にGDPで中国が日本を追い抜き、世界第2の経済大国になった。2012年頃までは英国の経済紙のThe Economistの項目で、中国はAsiaという項目に含まれていたがChinaという独立した項目になったのが印象的だった。
ところが、最近になってアメリカの知識層の間で中国をWTOに入れたのは失敗だったという声が聞こえるようになった。」

WTOに中国を入れたのは失敗だった

「何故ですか?WTOは自由貿易を推進している国際機関です。大きな国ですから貿易も促進されて世界中が潤うはずです。」

「冷戦は資本主義経済と社会主義経済のどちらが素晴らしいかという思想競争だった。しかし、中国人は思想など気にしない。儲かればいいという人たちだ。つまり、中国は資本主義的な手法で国を豊かにしている単なる独裁国家だから和平演変が効かない。中国の真の姿は共産党の一党独裁を守りたい、世界を支配したいと思っているだけで、経済思想などどうでもよい。

習近平はオバマに太平洋を2つに分けて西を中国が、東をアメリカが支配しようではないかと提案した。南シナ海を自分のものだと主張し、国際司法裁判所の判断にも従わない。つまり、中国の野望は世界を支配することだ。」

「なるほど。思想闘争でないから中国を豊かにしても民主主義を取りいれないどころか、得た金で他国を支配していくだけだということなのですね。」

中国が最近3年間で生産したコンクリートの量はアメリカが20世紀の100年で生産した量より多かった。ようやくアメリカは自分の戦略ミスに気がついた。中国は世界中にダンピングした品物を売り、儲けを国民に分配するのではなく、国の工業化に投資して国力を上げていこうとしている。アメリカは、よく考えてみたら中国から50兆円もの品物を買って中国を豊かにしているのがアメリカだということに気が付いた。だから、貿易戦争を仕掛けて中国をつぶしていこうと決めたのだ。」

「でも、トランプ大統領は同盟国にも関税をかけました。貧しい白人層にアピールするための方法で、中国との貿易戦争もそういった流れの中でとらえたほうがいいのではないですか?」

「それは違う。中国を叩くというのはアメリカの総意だ。日本が車を輸出しすぎてアメリカから叩かれたレーガン時代、日本のGDPはアメリカの40%だった。しかし、今の中国のGDPはアメリカの60%もある。あと5年もすればアメリカのGDPと同じくらいになるから、今すぐに中国を叩き始めないと覇権を中国に取られる可能性が高い。ラストチャンスだと気づいたのだ。アメリカは中国をWTOから追い出すだろう。

「中国はWTOに提訴すると言っています。自由貿易を推進しなければならないとも言っています。」

「中国は国営企業に多額の補助金を出して競争力を強化している。外国企業が中国で営業するときは最先端の技術移転を要求する。金融機関が営業するときはローカルの企業との合弁をさせて50%未満の株式しか持たせない。企業が儲けた金を国外に持ち出すことを許していないなど、とんでもない方策を取っているのだ。WTOに訴えたところでアメリカは痛くも痒くもない。」

石油はドルでしか買えない

「それでも中国は売られた喧嘩は買ってやると言っていますよね。どちらが勝つのですか?」

「1980年代、日本がアメリカと自動車の問題で貿易摩擦を起こした時、日本人は安くて性能の良い日本の自動車をアメリカ国民が欲しがっている、どうして売ってはいけないのかと思っていた。その時、アメリカの通商代表部(USTR)の高官が言った言葉は衝撃的だった。『アメリカは日本を必要としていない。買わなければ困るものは何もない。』そう言ったのだ。残念ながらアメリカが中国から必ず買わなければならないものは何もない。」

「中国は必要なものをEUや他の国から買えばいいじゃないですか?」

「問題は石油だ。石油を買うためにはドルを集めるしかない。アメリカは世界中の国に対して石油をドル建て以外で売買することを認めていない。つまりドルを集めないと困るようにしているのだ。イランがアメリカによっていじめられているのは、石油をドル以外の通貨でも売りますと言ったからだ。中国は人民元建ての石油取引所を上海に作ったりした。こういう行動がアメリカをさらに刺激しているのだ。」

「なるほど。アメリカが中東にかかわっているのはそういう事情だったのですね。世界中の国がどうしてもドルが必要な状況を作っておきたかったのですね。ドルでしか買えないものがあるから世界中がドルを必要としている。自分の通貨で済むのならアメリカが輪転機を回して刷りまわっているドルなど欲しくはないですものね。」

「中国は自分たちの能力を過信していた。確かに中国は広大なマーケットと安い人件費の人たちを多くもっているが、アメリカがぜひとも必要とする物は何ももっていない。間違いなく中国はアメリカにやられるだろう。日本も被害を被るだろうが、実際の戦争よりはるかにましだ。」

貿易戦争の本質

「日本の経済学者はトランプ大統領を馬鹿にしている人が多いように思います。貿易で関税を掛け合うと結局自国にも戻ってきて損をする。誰も得をしないという論調が多いですね。」

「経済のことを専門にしている人は経済のことしか分からない。政治のことを専門にしている人は政治のことしか分からない。軍隊のことを専門にしている人は戦略や戦術といったことしか分からない。戦争ではもはや実際に殺し合うのが難しい状況になってきている。エドワード・ルトワックという世界的な戦略家が面白いことを本に書いていた。」

本当の戦争はもうできない

「アメリカは兵隊の犠牲者が出ることを極端に恐れているというのだ。特殊部隊がテロリストを殺害する場合でも事前に安全検査を2回もして攻撃しないこともあるという。ルトワックによれば、コンビニで強盗にあうより特殊部隊の隊員が殉職する可能性のほうが低いという。それくらい世論は兵隊の犠牲者が出るのを許さなくなっているのだ。」

「そんなに、ですか?」

「フェイスブック(facebook)、ツイッター(twitter)、ワッツアップ(WhatsApp Messenger)などで国民が繋がった現在、戦争で犠牲者が出ることに我慢できなくなっているのだ。アメリカはドローンを使って攻撃したり、爆撃をしたりはするが、地上軍はできるだけ出さないようになっている。中国軍だって地上戦の消耗戦になれば弱いと俺は見ている。」

「何故ですか?」

「一人っ子政策のせいだよ。男の子は一人しかいないのだから戦争で死んでしまえば家が断絶してしまう。いかに独裁国家でも多数の戦死者がでれば暴動が起こる可能性が高い。どこの先進国も少子高齢化だから国家の意思で戦争するのが難しくなっている。これからの戦争の新しい形態として貿易戦争が始まったと考えると分かりやすい。
アメリカの経済制裁でソビエトはGDPが韓国より下になってしまった。金がないと軍備の増強もできなくなるだけでなく、国民の反発を買って政府が倒れやすくなる。貿易戦争で自国も被害を受けるが、それは百も承知だ。兵隊が死ぬよりましだ。そういう感覚で貿易戦争を見ていく必要がある。

普通の戦争が経済戦争に置き換わり、体制が変わるまで続けられる。確かに自国も被害を受けるが、それでも死者が出るよりはましだし、国民の納得も得やすい。貿易戦争で被害を受ける国民にはそれを税金で補ってやればよい。その金は戦費と思えばいいのだ。」

「なるほど。貿易戦争、つまり経済戦争が本当の戦争に入れ替わったというわけですね。」

「その通りだ。ただし、誰でもが合理的判断ができるとは限らない。妙な指導者が現れたらひょんなことから戦争が起こらないとも限らないとは思うが、その可能性は低いと考えていい。」そう言って老人は笑った。

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