44歳：男性

3か月前、交通事故でいわゆるむち打ち損傷になった。首が激しく揺すぶられたために頭痛、めまい、軽い吐き気が止まらない。病院の紹介状を持って来院した。MRIでも異常はなく、脳神経外科を受診しても異常はないと言われたという。

この人は3か月ほど苦しんでいるが、長い人では1年も2年も苦しんでいる人もいる。保険会社は保険金詐欺とか心の病気と考えることもあるようだ。
確かにそういう人もいるかもしれないが、本当の病気の人も多くいる。以前、東洋医学会雑誌に長期のむち打ち損傷の症例を投稿した。この場合も薬は通導散加桃仁、牡丹皮、去大黄、芒硝となる。

首にどんなことが起こっているか？

首が激しく伸展されると、筋肉や腱の中に点状出血がおこることが知られている。さらに頸椎の微妙なずれがおこる。点状出血はそのうち吸収されるが、修復過程で瘢痕化が起り、首が微妙にずれたまま固定されているのではないかと想像している。丸薬の投与だけでもいいが、横突起の位置などを確認して頸椎の位置をゆっくり矯正してやると急に楽になることが多い。

この患者さんも施術で「急に楽になった、目がよく見えるようになった」という。
1週間後に来た時には、鍼などにもいっていたが、治療ですごくよくなったと初めて体感できたと言ってくれた。

(9410)

脊髄液漏出症（減少症）との関係

交通事故で脊髄液が漏れ出して頭痛やめまい、体調不良を起こすことが知られてきた。これはMRIができたおかげで詳しく分かってきたことだ。奇妙なことに外傷がないのにそういう漏出が起こってくる人もいるという。

もう今から17年も前の私のブログにはこの病気の治療について書いている。患者は髄液の漏れを防ぐために自分の血液を髄腔内にいれるブラッドパッチという治療をしたが効かなかった。ところが私の漢方で治ったという症例だ。

第114回「低髄液圧症候群（脳脊髄液減少症）」

私の漢方が漏出を止めるのかどうかは、西洋医学の先生の協力がないと得られないし、私のところは交通事故の後遺症を専門に治しているわけでもないから症例を集めることができない。ただ私の考え方で多くの人を助けることができるのではないかとも思う。