第260回「東京都心で自家用車を持つ費用と手間」
自宅と仕事場で12万円
自宅のある渋谷区のマンションの駐車場の代金は月5万円、銀座の駐車場は以前、調べた時は7万円だった。つまり、合計で12万円かかる。
自宅マンションの駐車場は地下にあるから歩かなくてもいいが、銀座では、仕事場まで結構な距離を歩かねばならない。私は東京で車を持つことを諦めた。
都心からドーナツ状に車の混む場所が広がる
都心はそれほど車が混んでいない。車で15分くらいまでは比較的空いているが、その外側に混む場所があり、そこを抜けるのに1時間半かかる。
大手銀行の頭取は郊外に住んでいるので、渋滞する場所は電車に乗り、混雑してない駅(ドーナツ中心部)に社用車待たせていて会社に行くという。
東京らしい区は3つしかない
東京と聞くとすべての区が華やかに思えるが、東京らしい区は、港区、千代田区、中央区しかない。日本政府は、と言っても誰かが主体性をもって、こういう東京の姿を求めてやってきたとは思えないが、日本の中枢機能を一点だけに集めてしまった。その中心部の直径は6キロほどだ。
地下鉄とタクシーを使うと便利だというけれど
地下鉄の不便とは
東京の地下鉄は便利に思える。数分おきに電車が来るから待つことがない。
だが地上に出るためのエレベーターやエスカレーターが近くにないことがほとんどだ。出口は多いが、遠回りしなければならない。
広尾駅という高級住宅地の駅にエレベーターがついたのはつい最近のことだ。地下鉄を乗り継ぐ場合、乗り換えのために長い距離を歩かなければならないし、階段が多いから都心に住むには体力がいる。
タクシーの不便とは
タクシーを利用すると便利だというが、急に地下鉄が止まった時とか、雨の時は長い時間、タクシーを待つはめになる。繁華街のコインパーキングも高い。
以前、足を傷めて銀座までタクシーで通勤したことがある。往復で7千円、20日で14万円かかった。渋滞が多いのだ。
関西の高級住宅地の芦屋はどうか?
住んでいる人の平均所得に順位をつけると東京の港区、千代田、渋谷といった順番になるが、その5位に入る兵庫県の高級住宅地、芦屋市の車事情をみてみよう。
JR駅前には200台ものタクシーがあり、乗車率は日本一だ。乗客の多くが山手に住む住人で、頻回にタクシーを利用するが、タクシーが遠くに行くことはないから、すぐにタクシーが帰ってくる。
芦屋駅には大丸があり、地下にも大きな駐車場がある。また車で10分ほど走ると西宮ガーデンズという阪急も入る総合施設があり、その施設にも十分な広さの駐車場がある。
芦屋の人は買い物をカートに積んで自家用車まで運べる。つまり、他の地方の大きな都市に住む人と同じ普通の生活ができる。月極駐車場の代金も高くはなく、月2万円ほどだ。
東京は都市作りに失敗した
東京の西を流れる多摩川を越えると神奈川県になる。東の荒川を越えると埼玉県になる。
地方から来た人達は東京23区に住みたいと思っているが、都心のマンションは、最低でも1億くらいするから住めない。
だから東京の外にそれを取り囲むように2100万人の人が住んでいる。この人たちの輪が渋滞の原因になっている。
何故ここまで日本の機能を虫眼鏡で光を集めるように一点に機能を集める必要があったのだろうか。
ちなみに駐車料金は中心部から離れると世田谷などでも2-3万くらいになるが、渋滞には変わりはない。
ゴルフに行くために渋滞を恐れて朝4時に起きなければならないのは東京だけだろう。
- 第260回「東京都心で自家用車を持つ費用と手間」
- 2022年11月25日
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