第225回「北欧の椅子:ワイチェア」
日本人の好きな椅子にワイチェアがある。
デンマークのカールハンセン社の椅子でハンスウエグナーが作ったものだ。もう70年も前にデザインされた椅子だが、テレビや雑誌の写真の背景にこの椅子が置かれていることが多い。
どんな椅子なのか興味を持ったが、自宅にはすでに買ったテーブルと椅子があるので、買い足すわけにはいかない。
そこでクリニックの待合室の椅子として買ってみることにした。椅子はソープ仕上げと言って石鹸水を塗り込んで手垢や汚れを防ぐのが本来の使い方で、そのほうが木の温もりを感じられるらしいのだが、多くの人が使うこともあり、ポリウレタンの塗装をしてもらうことにした。
座面はペーパーコードといって紙の紐で作られている。傷めば張り替えてくれるが、傷がつくのを恐れて皮のクッションを置いて座面を保護している。デンマークからの輸入に半年かかった。
圧倒的な軽さがいい
実際に待合室に置いてみるとやはり美しい椅子だと思う。何年も使っているが、華奢に見えても丈夫だ。また座面が紙のコードで出来ているから女性でも片手で持ち上げられるほど軽いのがいい。
この軽さには圧倒的な利点がある。フローリングの床に置いても椅子が軽いから床に傷がつきにくい。重い椅子の場合は、床に絨毯を引くか、椅子の足の裏にフエルトなどを貼り付ければならず、またフエルトは床との摩擦ですぐに取れてしまう。それがないだけでも手間がかからない。
また肘掛の下に支えの棒がないから体を捻って座ることもできる。座り心地もよくて疲れない。
コピー商品が売られているが、形が似ていても座り心地が悪い。
背もたれがテーブルの下に入らない

背もたれが椅子の下に入らないので場所を取る。
唯一欠点と思えるのは背もたれがテーブルの下に入らないからテーブルとセットにした場合、ずいぶん広い面積が必要なことだ。
この欠点を解消した椅子がある。
pp58だ。
これもハンスウエグナーの作品で、座り心地もよく、肘かけもテーブルの下に入るのでテーブルとのセットにするには便利だが、椅子が一脚20万もするので、4脚買ってテーブルとセットにすると、130万もかかってしまう。見た目はワイチェアほど美しくない。
家具を買うときの参考に
最近はニトリなどで安くていい家具が出ているのだが、家具は一度買うと、買い替えに時間がかかるので、試してみることができない。
ワイチェアの使い心地を参考にして欲しいと思って感想をまとめてみた。
- 第225回「北欧の椅子:ワイチェア」
- 2021年01月10日
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