第226回「暗闇の恐怖」
私の車は昼間でも暗い木立の前で立ちすくむように止まっている。この辺りは熊が出る。
15年も乗っている車は一度も壊れたことはないが、田舎道で壊れることがあってもおかしくはない。
深夜、真っ暗な中でこんな道を走るのはとても怖い。人家は何キロも先だし、車を止めると、静寂が辺りを支配している。
屋根を閉めているとそれほどでもないが、屋根を開けると途端に恐怖心が増す。まるで真っ裸にされて、木立の中に置き去りにされたような恐怖を感じる。あの世の入り口に立ったような気分になる。
千日回峰行の塩沼氏の回顧
千日回峰行を行った塩沼氏のインタビューをテレビで見ていた。すると、とても面白いことを言っていた。
回峰行は夜中の12時半に出発して24キロを往復して48キロの山中を毎日、歩く荒業だ。その道中で、とても怖い場所があるという。人の声が聞こえたりするらしい。
私も元気がないと車を走らせることのできない怖い道がある。
ただ恐怖を時々感じることは悪いことではないと私は思っている。自分の生き方を反省する機会になるからだ。
自分がしていることは間違っていないか、いつも走りながら考える。そうすると、何やら勇気が湧いてくる。
走りながらアンドレア・ボッチェリのCDを聞く。CDは非常勤医師である高崎先生が音痴の私のためにくれたものだ。
最近のお気に入りは、ドクトル・ジバゴのララのテーマだ。
月明かりの日も
月明かりの日はずいぶん恐怖心が薄らぐ。木立の中は怖いが、そこを抜け、視界が広がった道になるとライトを消して走れるほど明るく、農家の屋根瓦が月明かりに光って見える。
秋は虫の音、梅雨は蛙の声が聞こえ、タヌキやシカ、キツネが私を迎えてくれることもある。
- 第226回「暗闇の恐怖」
- 2021年01月20日
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