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夢の中の老人

第26話「現代人は裸の王様 ネットに潜む茶坊主たち」

32歳の女性の婚活に現れた63歳の男性

32歳の女性はネットを用いて婚活をしていた。数十万を払い、独身証明書と年収証明書を提出すると、お見合いをしたい男性から写真とコメントが送られてくる。

あるとき、こんなメールが送られてきましたと血相を変えて私のところにやってきた。スマホにはヤギのような白いアゴ髭を生やした63歳の男性の写真が載っている。コメントには「年金生活者なので、お互いに独立した生活を望む。」と書いてある。

とんでもない奴だ。初婚の女性にこんな申し込みをするとは!金もないのにどういうつもりだ。子供ができたとして、成人する時まで生きている保証さえない。そう思っているとどこからともなく老人が現れて語り始めた。

「最近はそういう裸の王様が多いのよ。別に驚くこともない。」という。

「でも初婚の若い女性が、金もない爺さんと結婚するはずもないじゃないですか。頭がオカシイとしか言いようがありません。」

「芸能人は30歳以上も歳の離れた若い女性と結婚するだろ。ネットで調べると、多くの年の差婚を見つけることができる。だから30歳の歳の差なんて別に特別なこともない、そいつはそう思った。俺は、金はないが、女には優しい、年齢の割には元気でハンサムだ。そんな思い込みからからメールを送ってきたに違いない。」

「でも友人とか親戚の人が何故止めなかったのでしょう?」

「友人などいない孤独な老人だ。だから一人で妄想を膨らましてしまったのだ。」

「なるほど。退職して孤独な生活をしていたから誰の制止もなく、常識を失ってしまったのですね。」

ホームグロウン・テロリスト

「今の世の中は裸の王様ばかりだ。つまらない奴ほど根拠のない自信を持っている。
以前、些細なミスをした店員を土下座させる奴がいた。あまりにひどいので警察も事件として扱うようになったから、さすがに最近はいなくなった。そんな奴は社会から相手にされないクズなのに、妙な自信も持っているという不思議な境遇にあるのだ。」

「どうして社会で相手にされないような奴が自信を持てるのですか?」

「ネットのせいだよ。」

「ネットですか?」

「そう。ネットはワガママな王様に仕える家臣のようなもので、何でも王様のワガママを聞いてくれる。例えばアマゾンで本を買うと、関連の本の情報をどんどん送ってくれる。検索エンジンは顧客の嗜好をアルゴリズムで記憶し、配慮してくれる。それは気の利いた家臣を持っている王様のようだ。ネットでヌードばかり見ていると、こんなヌードもありますよともっと過激なものを教えてくれる。
ネットの中では誰でも王様になれる。でも現実に戻ると裸の王様だと気づき、何の力もないことに腹を立てヒステリーを起こしてしまう。」

「なるほど。自分で自分を洗脳しているようなものですね。」

「いいことをいうね。ホームグロウン・テロリストはネットで洗脳されていく。アメリカやフランスといった豊かな国に住まわしてもらいながら、その国に住む人を無差別に殺して、その場で殺されてしまう。過激派と接触する機会も多くないから、ネットで欧米が十字軍のようにイスラム教徒を迫害しているとの思いを抱くようだ。何度も何度も過激派の主張を読んでいるうちにすっかり洗脳されて英雄気取りになる。」

「なるほど、ネットにはゴマをする茶坊主が沢山いて、それに取り囲まれているうちに自分は偉いのだという裸の王様になってしまうのですね。」

「今はネットの便利さばかりに目がいって、怖さに気づいていない。基本的にネットの知識は本当かどうか分からないし、バーチャルなものであることを常に意識していなければならない。そう、気づかぬうちに洗脳されないように。」

エリートたちも茶坊主に囲まれている?

「社会から孤立しているような人は別にして、医者、弁護士など、我々庶民から見たらいわゆるエリートたちは裸の王様ではないですよね。」

「本当はそうであって欲しいのだが、実はそうではない。彼らの多くも裸の王様でしかない。」

「でも彼らは実際の社会でもエリートで大切にされています。」

「アスペルガー症候群というのを知っているかな?」

「自閉症の一種で、知能に異常はないのだけれど、人とのコミュニケーションが苦手で、人に配慮するとか場の雰囲気を読むことが苦手な人でしょ。面白いことに何かに熱中すると夢中になる特徴もあるといいます。」

「 アスペルガーって自分のことだけに興味があって、他人には興味のない王様的性格とも言えるだろ。エリートにはこういう性格的傾向の奴らが多いのよ。病気ではないにしても教育によってそういう風に育てられてく。」

「どういうことなのかピンときませんね。」

「医者になりたい奴を例にあげて説明してみよう。
医者になるためには塾は外せない。学生時代は学校と塾で忙しく、友人と遊んだりすることがほとんどないから、人とのコミュニケ―ションを学ぶ暇がない。基本的に彼らを育てるのは茶坊主のような塾の先生だ。金儲けだから嫌ごとを言うことはないし、勉強が出来る生徒ほど塾にとっては貴重だから頭がいいとゴマをする。エリートは実際の生活でも茶坊主に囲まれ、気分転換で遊ぶネットの世界でも茶坊主に囲まれている。そして自分は優秀だという思い込みだけが強くなるのだ。」

「なるほど。考えてみると、アスペルガー的な性格を持っていると、普通の子供より厳しい受験に耐えることがしやすいのかもしれません。人とのコミュニケーションが苦手で、一人でいる方が楽、何か得意なことがあれば、それに夢中になることができる。相手をしてくれる塾の先生も茶坊主化しているので、対人関係に苦痛を感じることも少ない。」

裸の裁判官

「医者だけでなく司法関係者にも裸の王様が多い。」

「ツイッターに自分のブリーフ姿や裸で縛られている写真を載せた高裁の裁判官がいましたね。文字通り裸の王様です。」

「最高裁から厳重注意をうけたにもかかわらずネットから写真を削除しなかった。司法試験用の本を書いたこともある有名人らしい。コイツの行動を見ていて一つだけ確かなことがある。」

「どういうことですか?」

「自分の裸が綺麗だと思っていることだ。」

「あの裸が、ですか?」

「自分の裸に劣等感を持っていたらブログに載せたりしないだろう。それが裸の王様たる所以だ。君はそんな裁判官に裁かれたらどうする?」

「最高裁も何らかの理由をつけて罷免するべきですね。」

「ネットは恐ろしい。ネットを書く方もフォロワーがいるだけで自分が凄い奴だと思い込まされていく。書く方も自己催眠にかかりやすい特徴を持っている。」

どうして裸の王様になっていくのか?

「ネットで年の差婚と入れるといろんな情報が出てくる。金がなくても結婚したい人は自分の好きな情報だけを選んで読んでいく。自分の好きな情報を集めていくとそれにあった情報だけがもたらされ、それが世間の一般常識だと勘違いしていく。これがアルゴリズムの自己洗脳プログラムだ。2番目にネットには耳障りな情報は流れないことだ。商売目的であれ、個人のブログであれ、ともかくどう読む人を楽しますか工夫がされている。これがネットの中の茶坊主たちのささやきだ。個人のブログでもフェイスブックのイイネが欲しいだろ。

さらに、ラインやメールで他人とやり取りをしていて腹が立つことがあると、一方的にひどいメールを送りつけて返事をしないということが多い。面と向かって言うと怖いので、言いたいことだけを言って逃げを打つ。これがネット放言だ。この3つで裸の王様ができていくことが分かるだろう。」

裸の王様にならないために

「では裸の王様にならないためにはどうしたらいいのですか?」

「現実の体験とネット上での架空の体験を区別して考え、出来るだけ実体験を積むことだ。俺の子供時代はネットなど無かった。そのおかげでいろんな体験をした。そんな俺の子供の時の話をしよう。

俺は、小学校5年生の時に学校近くの山に大きな洞穴があるのを見つけた。そこで友人たちと探検する計画を立てた。学校にマッチやロウソクなどを持っていくと、手荷物検査でバレる可能性がある。そこでランドセルを上げ底にしてそこに必要な物を隠し持っていくことにした。友人と手分けして、菓子などの非常食を持ってくる人も決めた。

探検イメージ洞穴は大人が立って歩けるほどの高さがあり、何十メートルも続いている。だから探検は一度では終わらなかった。幾つもの場所にロウソクを立て、洞穴をしばらくいくと、20畳くらいの大きな空間があり、その先に2つの道が分かれているという複雑な形をしていた。全部探検するのに何日もかった。この洞穴は防空壕で、入り口を埋めていたのが一部崩れたものだと後で分かった。探検も終わり、中で遊ぶようになった。ある時、洞穴の中で焚き火をしていたら火が大きくなりすぎたので、みんなで、オシッコで火を小さくしようとしたら、火が消えてしまった。

それまで本当の闇とはどういうものか俺は知らなかった。側に置いてあったはずのマッチの位置もわからず、広い洞窟の中でパニックになった。照明なしで複雑な洞窟を出るのは不可能だ。しばらくして焚き火の下を足で探ると、かすかに火種が残っていたので、なんとか脱出することができた。

ゲームでも冒険は出来るが、実際の冒険となると友人達に話をつけ、秘密を守らせるなどいろんなことを自分でやらねばならない。それがとても大切なことなのだ。火が消えてしまった時の恐怖は今でもよく覚えている。」

「確かにネットの情報だけで知った気になる、分かった気になる、さらに体験した気になっている人って多いですね。実際の体験とはまったく違いますものね。」

「もう一つ大切なことは自分の業界以外の友人をたくさん持つことだ。裁判官はとても狭い範囲で行動している。家族が職業を明かすことは絶対にない。判決に影響を及ぼす、もしくは脅迫されることがあるからだ。我々のようにオネエチャンのいるような場所に飲みに行くのも危険だ。彼らは一生の間、慎重な行動が要求される。だから世間に疎い人間が出来上がるのだ。

昔、親戚の叔父から聞いた話だが、中央官庁の中で、世間的常識が一番あるのが大蔵省で一番ないのが文部省といっていた。ネットのない時代から人は職域の中で世間知らずにされてきたのだが、それに一層拍車がかかってきているのだよ。」

「なるほど。職域の壁ってありますよね。商社、銀行、メーカーの人などで感覚が違います。」

「一番大切な事は、人と付き合うのは色々と面倒でもあり、嫌なこともあるかもしれないが、生身の人間こそが大切で、直接の付き合いで信頼も生まれる。そしてそういった付き合いを通して人は自分に幸せを運んでくれるものだということを忘れないことだ。」

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