第213回「スポーツカーが無くなってきた」
フェラーリやランボルギーニがSUVを発売するとなると、スポーツカーは無くなったと言わざるを得ない。スポーツカーとは楽しく走ることを目的として作られた車だ。スポーツカーがSUVになれば、走る楽しみは失われてしまう。
ポルシェ911は代表的なスポーツカーとして世界中の人から愛され続けてきた。しかしポルシェは911を作り続けることによって、倒産の危機に至った。そこでカイエンという家族で乗れるSUVを作って倒産の危機から脱出した。今やポルシェの販売台数の3分の2はSUVだ。
なぜここまでSUVが好まれるのだろう。
経済評論家の増田悦佐が面白いことを書いていた。
アメリカでSUVがよく売れるのは肥満が原因だと言う。太りすぎてかがめないのだ。若者の3割が肥満で兵役につけないほどだと言う。
カイエンの車幅は1983ミリ、長さは4926ミリもある。日本では運転を楽しむどころか市街地の取り回しでも不便をする。
カイエンをスポーツカーと勘違いしている人たち
スポーツカーは運転を楽しむために特殊な形をしている。車高が低く、キビキビ走るために車長は短く作られているから多くの場合2シーターだ。車幅も広くない。911は最近まで1810ミリだった。オープンカーが多いのは走る楽しみが大きくなるからだ。2シーターは2人乗れるように思うが、1人乗りだ。2人で乗ると荷物を置く場所さえないからだ。
ただ走る楽しみを追求したスポーツカーだけでは日常の足としては使えない。もう1台セダンがいる。二台も車を維持していくのは大変だから、SUVを1台だけ買ってスポーツカーを持っている気分になっている人が多いのかもしれない。
最新のスポーツカーに乗る
最新のスポーツカーを販売店が貸してくれたので、数時間乗ってみた。ドイツ製で 3000CC のツインターボでエアサスがついていた。無論オープン2シーターで値段は1000万以上する。
幅が 1900ミリほどあるので、山道では飛ばしにくい。
サスペンションを固めにすると、突然排気バルブが開き、排気音が不自然に大きくなる。アクセルの踏み具合には比例しないで排気音が大きくなるのが面白くない。1番嫌だったのはアイドリングストップだ。
メーカーは顧客の好みに合わせて車を作るわけだから、これが最近のスポーツカーが好きな人の希望する形だと思うと、とても寂しい。
もう1台乗ったのは、2シーターだがオープンカーではなかった。
エンジンは 4000CC のターボ、車幅は1950ミリもある。フロントガラスが寝ている上に窓が狭いのでコーナーが見にくい。値段は2千万まではしなかったと思う。
この車にも排気バルブが付いていてアクセルを踏み込むと凄い音がする。最近はポルシェにも排気バルブが付いているらしい。
フェラーリやランボルギーニといった特殊な車も低くて幅が大きすぎるために日本では運転していても楽しくないだろう。
フロンテクーペ
ふと学生の頃乗っていたフロンテクーペを思い出した。
車高は1200ミリ、全長2995ミリ幅1295ミリ、ダンプの近くに行くとひき殺されそうだった。それでも 360cc の水冷三気筒エンジンが面白かった。意外と軽四輪のオープン2シーターがスポーツカーとしての面白みをもっているのかもしれない。

フロンテクーペとダンプカーのサイズの比較。
昔、乗っていたフロンテクーペ。とてもとても小さかった。
- 第213回「スポーツカーが無くなってきた」
- 2020年02月20日
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