第63話「ダイハツとスズキ自動車の運命」
ダイハツはここ何十年もの間、車を作る時の安全テストを誤魔化してきた。エアバッグをタイマーの火薬で爆発させたり、衝突テストをパスするため助手席だけのテストを運転席側と同じだと言ったりしてきた。
このニュースを聞いて、私は、ダイハツは果たして生き残れるのだろうか?と思った。すると例の老人が夢の中に現れて話し始めた。
カルロス・ゴーン
老人:「カルロス・ゴーンという男を知っているか?」
私:「確か20年ほど前に日産自動車の社長になったフランス人でしょ。」
老人:「そうだ。彼はブラジルで生まれた。人殺しの息子だ。それがレバノンに行ってからフランスにも住み、グラン・ゼコールというエリートの学校を出た。頭のいい男で6ヶ国を流暢に話すことが出来る。それからミシュランというタイヤメーカーで成功をおさめて20年ほど前、日本の日産自動車の社長になった。」
私:「私の上司はフランス人という歌も流行っていましたね。」
老人:「苦境に陥っていた日産と三菱自動車の救世主として迎え入れられた。しかし、様々な犯罪を起こした。自分の給与を高くするために退任後に50億円の給与を後払いすることを約束させていた。経理責任者は部下の外国人だ。
それだけじゃない。レバノンの自宅や別荘などを日産に買わせてそれを自分のものにした。日産内部にはそういった事情を知る日本人の会計責任者もいたが、絶対的な権力を握っているカルロス・ゴーンに逆らうことはできなかった。
無論、彼は頭がいいから思いきった改革をして日産・三菱自動車連合を再生させたのも事実だ。だが、こういった事情がゆっくりと漏れ出してくるとカルロス・ゴーンは日本に近づかなくなった。ある時、決定的なことが起こった。それはマクロン大統領が日産・三菱連合をフランスの自動車会社に吸収しようとしたのだ。それを聞いた日本の特捜部は、日本に近づかないカルロス・ゴーンが日産所有のプライペートジェットで日本から別の地域に移動する情報を聞きつけ、カルロス・ゴーンを機内で逮捕した。」
私:「国益を守る為の逮捕だったのですね。」
老人:「その通りだ。カルロス・ゴーンは優秀な弁護士を探した。大手弁護士事務所は、そんな案件は受けないから無罪請負人として有名だった弘中弁護士に依頼した。
私:「なるほど。日本にはニューヨーク州の弁護士資格を持つ一流弁護士が沢山います。ただ英語でニュアンスまで伝えるのはとても難しいようです。俺の知り合いでハーバード大学にいたアメリカ人はラテンを自由に使えるほどでしたが、そういったエリートでもカルロス・ゴーンには敵わないだろうと思います。」
老人:「日本の一流弁護士事務所に勤めて何年かするとハーバード大学などに留学させてくれる制度があった。そこに留学するとニューヨーク州の弁護士資格をもらえて、国際弁護士と名乗ることが出来る。恐らく弘中弁護士も留学していると思うが、1年では英語を上手く話せるはずもない。日本ではあまり知られていないが、この資格ではアメリカの法廷に立つことはできない。」
私:「本当ですか?」
老人:「本当だとも。アメリカのロースクールを出ていないとアメリカでは法廷に立つことのできる弁護士にはなれない。外人専用の金儲けの資格だ。カルロス・ゴーンが『通訳を通しての会話では上手く意志を伝えられなかった。』と言っているぐらいだから弘中弁護士は彼の立場を理解できなかったはずだ。6ヶ国語を話す人から見れば、相当バカに思えたはずだ。
また、弘中弁護士はパソコンを自由に閲覧させていた。これが逃亡に繋がったわけだが、もし、フランス語でメールをやり取りされたら、フランス語が得意な弁護士は日本には、まずいないから誰も逃亡を阻止できなかっただろう。」
私:「弘中弁護士はどうしてメールを禁止しなかったのですか?」
老人:「まさか逃げ出すとは考えなかったのだ。脱出請負人と悪口を言われるほどに評判を落とした彼のプライドは相当に傷ついたはずだ。
だがカルロス・ゴーンの近況は惨めなものだ。フランスからもブラジルからも国際手配されていて、レバノンから出ることは不可能になった。日産の邸宅も取り上げられて惨めな生活を送っている。」
スズキとダイハツの話
老人:「スズキとダイハツの話に戻ろう。スズキ自動車は前社長が長く統治していたが、今は息子が跡を継いでいる。フォルクスワーゲンはフォルクスワーゲンを創設したフェルディナント・ピエピの3代目が跡を継いでいる。どちらも創業家だ。
スズキはインドではシェアの50%を占めているが、フォルクスワーゲンは排ガス規制を誤魔化していたので評判が悪く、売り上げがひどく落ちている。何を勘違いしたか、フォルクスワーゲンはスズキを自分の会社の子会社にすべく、スズキの株を買い占めている。これを止めるにはカルロス・ゴーンの時のように日本の特捜部が動いて日本の利益を守らねばならないのだが、特捜部は岸田政権の政治資金のことで忙しいからスズキ自動車の親会社のトヨタ自動車の豊田章男社長にお願いするしかない。これが日本の国益を守ることになるからだ。」
(注釈)スズキもダイハツもトヨタの子会社
私:「なるほど車の販売は貿易戦争なので国の関与どうしても必要なのですね」
老人:「その通りだ。ぼやぼやしているとすべてを持っていかれる。
それにしてもダイハツやフォルクスワーゲンは検査を誤魔化した、似たような会社のところが面白い。」
- 第63話「ダイハツとスズキ自動車の運命」
- 2024年03月10日
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