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香杏舎ノート

第262回「中国から私の漢方治療を求めて」

モンゴルではラクダに乗った

(私の先生は鄧小平の主治医)

42歳、女性 中医師

1ヵ月前に中国から日本に来た。
飛行機を降りた後、耳閉感が取れないといって来院した。私がホワイトボードに耳管狭窄の説明を始めると、本人は恥ずかしそうに自分は耳鼻科が専門の中医師だという。

2週間後に来院すると、耳は良くなったが、今度は腰が痛いという。そこで独活寄生丸を出して15分テストをすると、その場で痛みが取れた。中医師はとても驚いて信じられないという顔をした。

山本先生から教えられた15分テストは経験した人にしか信じてもらえないが、中国では漢方薬はそれほど早く効くとは思われていないようだ。

腕のある漢方医を探す中国人

今度は中国本土の友人からの依頼で日本在住の中国人が来院した。
腎臓が悪いために中国で中医師にかかっているが、まったく良くならない。日本にいる腕のいい漢方医を探して欲しいという。

尿に多くのタンパクが出ているから、おそらくネフローゼだろう。だが、検査データが足りない。
私は「日本から国際郵便で薬を送ることはできるが、もう少し詳しい情報がないと治療できない。だから、友人に電話をかけて聞いて欲しい」と頼んだ。私のブログは日本語のできる中国人の間で読まれているようだ。

人の生首

友人の話が終わると、その中国人は漢方治療の話を始めた。網膜剥離を治せる名医がいるという。高齢で誰にも治療を教えていないが、治療には人の生首がいる。モンゴル平原に行くと生首が捨てられているので、新鮮な生首を拾ってきて、その脳膜を治療に使うという。

私はモンゴル平原に行ったことがあるが、無論、生首など落ちているはずもない。もし生首が実際に治療に使われているとしたら本当に恐ろしいことだと思う。

中医学院

中医師を育てる中医学院は簡単な解剖学や生理学を教えるが、講義の基本は鍼灸や中医学の古典だから3年間学んでも日本の医者のような西洋医学の知識はつかない。

漢方の故郷は中国だから、ものすごく腕の良い中医師もいるが、大半の中医師は腕がいいとはいえない。

私の先生は鄧小平(中国の国家主席)の主治医

今から30年ほど前、私は鄧小平の主治医を、私費で1ヵ月招聘して中医学を教えてもらった。当時、鄧小平の主治医であることは国家機密だった。暗殺の危険があるからだ。全人代の代表で、外交官パスポートで入国した。

その人は中山服を着て現れた。当時、中国本土でも中山服を着ている人は皆無だった。
大変腕の立つ先生で、患者さんを前にいろいろと教えていただいた。

今までブログに書かなかったのは、私の不用意な情報発信で関係者に迷惑をかけてはいけないと思ったからだ。でももう30年も前のことだから今回は写真だけ掲載しよう。神戸のクリニック前の写真も本当に来てもらったという証拠として載せておこう。

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