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香杏舎ノート

第298回「整体師は無資格の代名詞」

整体師とはマッサージ師や柔道整復師といった免許を持たない人を指す言葉になっている。
無資格者が施術してお金をもらうことは法律で禁止されていたが、医療事故が起こった場合、施術によって事故が起こったことを客観的に証明しなければ責任を問われなくなってから整体師が急増した。

つまり、整体師とは無資格者の代名詞になった。ちなみに鍼灸師やマッサージ師は国家資格だが、柔道整復師は国家資格ではなく、厚生労働省の通達で規定されている。

無資格者の若い女性を雇ってみた

整体施術以前、クリニックに施術を受けにきた若い女性が私に「私は資格を持っていません。でも先生の施術をどうしても学びたいのです」と懇願した。私は有資格者しか雇って来なかったが、その必死な様子を見て試しに雇ってみることにした。

しかし、すぐに問題に直面した。解剖学や病理学を学んでいないので、病気が理解できない。そんなまったくの素人でも根気よく病理や解剖を学んでいけば治療できるようになるのだが、彼女は努力する前に辞めてしまった。

鍼灸師やマッサージ師の知識も不十分

一般の人は、鍼灸師やマッサージ師は病理学と解剖学を学んでいるから専門家と勘違いしているが、解剖や生理を習う時間は短く、臨床実習もないからほとんど病気を理解できていない

理学療法士や看護師は十分な医学知識を持っている

理学療法士、看護師は3年から4年かけて医学を学ぶ。鍼灸師やマッサージ師のように1日3時間だけの講義で3年間学ぶのではないから十分な医学知識を持っている。
もう何十年も前だが、プロ野球のコンディショニングコーチを呼んで勉強会を開いたことがある。しかし、その人物は十分な知識を持っていなかった。

理由は2つある。コンディショニングコーチは選手がいつものように十分な能力を出せるように体を調整してあげるのが仕事だ。私のようにもともと悪い体を治す治療とは出発点が違う。

具体的な例で説明しよう。スポーツマンが膝を怪我した。コンディショニングコーチは膝をいつもどおりの能力が出せるように治療してあげる。私の治療は老化で痛くなった膝をどうにかして痛くないようにする治療だ。

運動部の追っかけをする整骨院

多くの整骨院は近くにある中学校や高校の運動部の追っかけをしている。運動部の対外試合があるとボランティアで出かけて救護活動をする。そうすることで普段の怪我などで選手が整骨院を訪れるようになる。親や兄弟も来てくれる。

ただし、保険の治療では治療できる部位が3ヶ所とか決まっていて、儲からないから宣伝活動の一環として取り組んでいる。肩凝りを【頸椎捻挫】などと嘘の病名をつけて保険治療にする。

何故、こんないい加減なことを国が許しているのは、柔道が国技として戦前から優遇されていた名残りだといっていい。柔整師はたくさんの患者を治療しないと収益が上がらないから1人15分以内に治療を終える。忙し過ぎて治療の研究する時間がないのだ。

コンビニより多い整骨院

コンビニは全国に5万5千軒ほどあるが、整骨院はその倍の10万軒を超える異常な状態になっている。

そこで柔道整復師会は妙案を考えた。整骨院を新たに開業するには3年間整骨院に勤めなければ新規開業出来ないと決めた。新規参入を防ぐとともに人手確保を狙った一石二鳥の妙案だ。

それだけしても既存の整骨院の経営は赤字で、介護資格を取って介護の仕事にも手を出している。

看護師は深い医療知識を持っているだけではない

鍼灸師、マッサージ師、理学療法士、トレーナーなどと看護師が決定的に違うのは人が亡くなる現場に身を置いていることだ。

亡くなる人を看取ることは大変なことで、清拭して衣類を着替えさせねばならない。医者以外にそういう体験をしている人は看護師しかいない。看護師の多くは女性で細やかな気配りも出来る。

そんなことを考えると、看護師ほど施術をするのに適した人材はいないと言える。

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