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香杏舎ノート

第288回「漢方丸薬の作り方」

最近、私の本を読んで丸薬に興味をもって連絡をしてくる医者が多い。
私の著書【漢方丸薬で難病を治す―山本巌漢方を発展させたら丸薬にたどり着いた!】を読んで興味を持ってくれるようだ。だが、読者が想像するほど丸薬作成は容易ではない。

丸薬工場

まず小さくてもいいが、丸薬工場を作る必要がある。費用は2000万くらいかかる。工場の中は清潔を保つ必要があるので、専門家に設計を頼んだ。

その専門家は中国本土の漢方工場の指導にも当たった人物で、換気扇の外側には虫が入らないように非常に細かいメッシュの金網がついている。また水流す洗い場には下水からゴキブリなどが入らないようにやはり細かい網を付けている。

乾燥機は乾熱乾燥機だが、2台重ねて置くと熱を持つので、間隔を離して熱が伝わらないようにするだけではなく、火災を防ぐために念の為に鉄のテーブルにしている。また丸薬を乾燥させる棚は、低温で長時間乾燥させるので、温風が通り易いようにメッシュの棚を作る必要があり、1枚15万、20枚で300万かかった。

厄介なのは丸薬をコーティングするセラックという薬品だ。天然のラッカーとして使われてきた。これは強力なコーティング剤で、強アルカリ液にだけ溶ける。これが固まると取れないので、家庭用のスチーマーで毎回洗浄している。

私の機械は生産機では無く、試作機の性能の良いものだ。丸薬の生産能力は2時間で3キロほど。連続運転すれば、すごく作れる気がするが、生産しながら丸薬の形の悪いものを手で選別するから生産量は、1日3キロが限界だ。労働集約型なので、最低4人の人が必要だ。

丸薬作成動画

あまりに丸薬作成についての質問が多いので、ビデオを見てもらうことにした。丸薬を作るためには寒梅粉(もち米を焼いて餅にしてから粉末にした物)とうるち米の粉末の比率を変えて丸薬を作っている。丸薬がローラーにひっつかないように、エタノールを使用している。

機械を使うのはとても難しい。正露丸のような1種類の丸薬を作るのは簡単だが、200種類もの丸薬を作るにはその都度配合を変える必要があり、経験がなければ丸薬を作ることは不可能だと考えて欲しい。

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