第281回「地球上に100億人は住めない」
伝染病、飢餓、戦争で人口爆発は抑えられてきた
14世紀にヨーロッパでペストが流行し、4億5千万人だった人口の30-40%が死亡したといわれている。
1918年から起こったスペイン風邪で当時の人口の18-19億人のなかで5000万人が死亡した。1951年、中国では大飢饉で2000万人が死亡している。第2次世界大戦では8000万人が死亡した。
表を見れば明らかなように戦争が終わった1950年、世界の人口は25億人しかいなかった。もし現在の人口が25億人なら、CO2を削減しての温暖化対策は楽にクリアできるし、食料危機も環境汚染も何の問題もなかったはずだ。
では、何故この70年間で人口が3倍の75億人になったかというと、大きな戦争が起こっていないこと、世界食糧援助(WFP)が8000万人分の食糧援助をおこなってきたことや医療の発達で人の寿命が延びたことが大きい。
人口が25億から3倍の75億になった理由
- 70年間大きな戦争がなかった
- WFPの毎年8000万人分の食糧支援
- 医療の発達で、長寿になったこと
地球上で100億の人間が暮らしていくのは不可能
もう25年もすれば人口が100億人になるというが、100億人が地球上に住んでいくのは間違いなく不可能だ。水資源や耕作地、石油などのエネルギー、コンクリートを作るための砂、材木には限界があるからだ。
いくら科学が進んでも資材を作り出すことは不可能だ。
人口が多いことは国力だった
人口が多いと穀物の生産性があがり、国が豊かになる。戦争が起こっても沢山の兵隊を動員できる。未開の土地を開発してますます領土を広げることができる。
19世紀まではそういった考え方で植民地をつくり、黒人を奴隷として使って産業を盛んにしてきた。
しかし、現在では穀物を作るだけでは豊かには暮らせない。これからはどううまく人口を減らすかが生きていくのに必要な知恵になる。
国力を落とさないように人口を減らしていく
先進国では子供に投資して学歴をつけても親の面倒は見てくれないこと、さらに高学歴でもAIの進歩により高い収入を得る機会が減っていることが明かになった。だからすべての先進国で出産する数が減っている。
人口が力だと信じる経済学者は移民を増やせというが、移民は様々な問題を起こすから避けなければならない。
そうなると、人口減をうまく扱った国が勝者になる時代になった。
国 名 | 出生率(人) |
---|---|
フランス | 1.9 |
アメリカ | 1.7 |
イギリス | 1.6 |
ドイツ | 1.5 |
ロシア | 1.5 |
カナダ | 1.4 |
日本 | 1.3 |
イタリア | 1.3 |
中国 | 1.3 |
人口減に対する対策
1.労働人口を増やす
定年制をやめて労働人口を増やす(労働人口の定義は15歳から65歳)
労働人口はまだ増やせる。65歳の定年制を廃止して、できるだけ長く働いてもらう。女性の103万の壁を取り払い、労働参加率を増やす。保育所を増やして賃金も上げる。
2.専守防衛を止めて敵地攻撃力もつ
相手が攻撃してくるまで待つのはおかしいし、膨大な費用がかかる。憲法を改正して先制攻撃ができるようにする。そうすることで自衛隊員を大幅に削減できる。
3.インバウンドで外国人を呼び込む
人口が減ることは消費者が減ることになるから景気は悪くなる。それを補うためにはインバウンドで観光客に来てもらう。
特に医療ツーリズムで稼ぐことが大切だ。保険医療は海外に比べて安いので、チャンスが大きい。
4.すべての事業を減らしていく
人口が減る時には住宅、駐車場、公共施設、役所なども縮小していかねばならない。
公務員以外の兼業を認め、議会は議員を減らして地方議会は土日に開催して議員の専門職を廃止する。
5.大卒の一括採用をやめる
企業に就職する3割の人が3年以内に辞める。それなら随時採用にしてやる気のある人だけを選抜していけばいい。無駄な大学は排除され、意欲のある人が学ぶことができ、さらに学びなおしができる環境を作ることに繋がる。
これはある意味生き残りの戦争だから過激に思えてもそれを実行する国が勝者となる。
幸いにも日本は水資源に恵まれ、木材も豊富にある。海に囲まれ海産物も取れる。エネルギーは当分原子力に頼らざるをえないが、生き残りの環境としてはかなりいい状況の国といえる。
- 第281回「地球上に100億人は住めない」
- 2023年10月20日
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