第277回「トラキチという名のピザ屋」
ピザは庶民の食べ物
アズーリ 神戸のピザ屋
私がピザに目覚めたのは14年ほど前、神戸のトーアロードに出来たアズーリという、今では予約の取れないほどの繁盛店に出会った時からだ。
あまりに美味しいので、毎週1度タクシーに乗って通った。500回はいっただろう。
特にお気に入りだったのは、チェポラ・エ・アチューゲというモッツァレアチーズ、玉ネギ、アンチョビのピザだった。それを食べながら、いろんなピザ屋を巡ってみたくなった。
ナプレ 南青山 ミネラルウオーターを買わされる
随分前だが、南青山にあるナプレに行った。昔はピザだけの店だった。名前は一緒でも違う店だったかもしれない。その時、食べたピザは固くて不味かった。
印象に残っているのはミネラルウオーターを買わされたことだ。高級なフレンチレストランでペリエを買うのとは違うのに!と、とても驚いた。イタリアではピザは庶民の食べ物のはずだ。
事情通に聞くと、ピザを焼くのに使う薪は煙の出にくい薪で、通常の3倍もの値段がする。繁華街でビザを焼くには必須の薪だ。土地の値段や人件費の高さを考えると、何らかの方法で収益を上げなければならない。ピザの値段を3千円にも4千円にはできないからだ。
代官山のイータリー(今は閉店している)や恵比寿のミケーレにもよく行った。初めは美味しかったが、イタリア人の職人が帰国して日本人だけのスタッフになると急に美味しくなくなった。
ダ・イーサ 中目黒
中目黒のダ・イーサにも行ってみた。ピザの具はアズーリの2分の1くらいなのに値段が高いのに驚いた。オーナーはピザの世界チャンピオンだという。
事情通に聞いてみると、イタリアのピザは庶民の食べ物で、そういった感覚でオーナーは出しているのだろうという。ただし、諸経費はものすごくかかるから、高い値段になっているのだろう。
どうも庶民の食べ物を地価の高い繁華街で出すのは難しいようだ。
トラキチ 庶民の店
名前から判断すると、あまり美味しい感じはしない。
噂によると真のナポリピッツア協会に入っていないが、ちゃんと薪でピザを焼いているという。
西宮の甲子園球場の近くの商店街にあるから中々近づけない。駐車場が少ないし、高校野球などもあるから、冬が1番行きやすい。
店の向かいには小さなスーパーがあり、庶民の食べ物を売っているピザの店にふさわしい環境だ。
店に入って座っていると、近所の人が注文したピザを取りに来る。夜の食事にするのだろう。ピザが冷えるような距離には住んでいないようだ。
私はカプレーゼ1つとマルガリータにアンチョビをのせたピザを2枚、それにミルクティーを2つ注文した。
ピザは1400円、カプレーゼは1200円、ミルクティーは400円だった。
2人で消費税込み5,000円ほど。
カプレーゼはトマトがフルーツトマトでとても甘い。それと対比するようにモッツァレアチーズとオリーブオイルの塩気が面白い。
ピザは食べやすい大きさで、味も良く、紅茶についてくるミルクは、なんとスティームミルクだ。価格といい、庶民的な雰囲気、気さくな若いオーナーなど、とても満足する出会いだった。
- 第277回「トラキチという名のピザ屋」
- 2023年08月25日
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