【 漢方・整体施術 治療症例 】
66.脱肛と痔の嵌頓(かんとん)の治療:27歳男性
腸の粘膜が肛門から出てしまうのを脱肛という。
上着を脱いだ時に袖が裏返ってしまうように、腸が反転してウインナーのような形で肛門から飛び出すこともある。指で押し込むと肛門の中に入るがまた出てくる
脱肛
患者さんは脱肛と肛門部の灼熱感を訴えて来院した。
漢方医は脱肛と聞くと多くの場合、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を思い浮かべる。補中益気湯の中の柴胡、升麻、黄耆は升提(しょうてい)作用と言って脱肛を治すと言われている。
残念ながらエキスの補中益気湯ではその作用は弱いので通常投与量では効果が出ない。
私はこの3種だけの丸薬を作り試してきた。確かに良く効く。四川省の陸先生は升麻や柴胡は要らない、効くのは人参と黄耆だといっていたので、この2つで丸薬を作っても脱肛に効く。これらの生薬に筋肉を丈夫にする薬を加えるとさらに強力になる。
治療で重要なのは便を柔らかくすることで、そうでないと気張って便を出そうとするとまた脱肛が起こってしまう。しばらく脱肛がない状態を続けると脱肛が起こらなくなる。
脱肛の患者さんにも15分テストは使える。30分ぐらいすると肛門が持ち上がる感じがすると言う人が多い。
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痔核
肛門の周囲には静脈叢(じょうみゃくそう)と呼ばれる静脈が、網の目のように集まった場所がある。その静脈の一部が大きくなったものが痔核だ。肛門より上にあるのが内痔核、外にあるのが外痔核だ。痔核は静脈瘤なので、血栓ができて血流が止まると腫れて痛みが出る。
嵌頓(かんとん)の痛みは以前書いたように麻杏甘石湯のような麻黄と石膏の組み合わせがいい。
そこでその丸薬を投与して15分テストをすると、患者さんは何か肛門がスルスルと上に上がるような気がして楽になったという。
もう一つ、牡丹皮丸を投与してみた。牡丹皮は瘀血を取る薬として有名だが、消炎剤に分類されている。牡丹皮丸を投与すると同じくらい効くという。
単味の生薬丸は15分テストには極めて便利だ。それでも少しばかり痛みが残っていたので、施術で治るかどうか試してみることにした。
施術で痔の痛みを取る
仙骨と腸骨の間に歪みがあったので、そこを押すと「アアー、アー、そこそこ、響く」という。
施術のポイントを2-3分押すだけで痛みはかなり改善した。
痔が施術でよくなるとは信じがたいかもしれないが、頻尿や前立腺炎なども施術で治療することが多い。膵炎や不整脈を治すことも多い。にわかには信じられないかもしれないが、多くの人を治している。
何故、世間の施術師や鍼灸師が治せないかというと、治せないと思っていることに加えて患者さんも施術で治るとは思っていないことだ。
これは経験してもらう以外に証明のしようもない。以前は尾てい骨や会陰に鍼を打って治していた時期もあるが、服の上からの施術なら手間もかからず患者さんも気楽に診察を受けることができる。
痔の治療に1億円
誰しもお医者さんに肛門を見せたくない。昔はとくに恥ずかしがる人が多かった。
家伝薬として伝わっているシップ薬があり、肛門に貼ると楽になるという。でもしばらくするとすぐに効かなくなるので、また新しいのを貼る。それを繰り返すうちに1億円も使ったという噂をきいた。
どんな家伝薬なのか知らないが、その話が本当かどうか肛門科の先生に聞いてみた。するとそこの店で2千万円使った人が患者さんでいたという。やはりお尻は人には見せたくないものらしい。
その後、患者さんはすっかり回復していると聞いた。
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66.脱肛と痔の嵌頓(かんとん)の治療:27歳男性 - 2022年03月01日
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