第165回「2シーターは2人乗りか?」
最近スポーツカーの2シーターが中高年に受けているという。
ユーノスロードスターは1ヶ月で10倍のバックオーダーを抱えている。
ユーノスが初めて発売されたときは全世界に衝撃を与えた。これを機にベンツはSLKという従来のスポーツカーより小さな車を作った。BMWもZ4という2シーターのスポーツカーを作った。
つまり忘れ去られていたライトウエイトスポーツカーというジャンルを欧米の人に思い出させる働きをした。
スポーツカーって何?
スポーツカーを定義するのは難しい。レースをするわけでもなく、日常に使われる車だからだ。
自動車メーカーはどうしたら普通のセダンと違う感覚をスポーツカーに持たせるかに苦労している。車体を低くして流線型のボディを強調して見せ、エンジンをデカくして最高速をアピールする。
メルセデスにはAMGというチューニングメーカーがあり、特別な車であることを強調するために車高を下げ、エンジンを大きくし、足回りを固くしていた。ギアをすごく下げて、ちょっとアクセルを吹かすと急に飛び出し、慌てて戻すと今度はエンジンブレーキがかかり、慣れないとギクシャクした運転になるような設計をしていた。これもスポーツ性を強調するためだったのだろう。
AMGがメルセデスに買われてからは、このローギアードな味付けは無くなり、運転しやすくなったが、スポーツ性を感じられないとか女性でも運転できる普通の車になってしまったという文句を言う人もいる。
日常の運転を考えると、スピードを出すような場所はない。街で運転していて普通のセダンと違う感じにするにはどうしたらいいのだろうか?
2シーターにすると全長が短いからハンドルを切ると素直にその方に進んでくれるからスポーツ感が増す。
次は排気音をよくすることだ。
低音で腹に響くが、決してうるさくない音にしてやればスポーツカーを運転している気分になれる。排気音を良くするためにはある程度排気量を大きくしなければならない。何故かというと小さい排気量では低音が響かないからだ。私の経験では3500cc以上必要だ。小さいエンジンで回転を上げると高音質の音がする。あまりエンジンが大きくなると今度は車体の回旋性が悪くなる。
最近、メルセデスAMG GTに試乗した。4000ccのV8でツインターボがついている。市販車では最も早い加速性能を誇っている。確か最高速も300キロを超えていた。アクセルを床まで踏みこむと、怒涛の排気音がする。アクセル全開にするとマフラーについた排気弁が開き、より大きな排気音が出るように仕組まれていた。
3番目は、オープントップにすることだ。この3つが揃えば飛ばさなくてもスポーツ性を感じられる。
日常を忘れさせるために犠牲にされるもの
2シーターのスポーツカーは2人乗りのイメージがあるが、本当は1人しか乗れない。手に持ったバック、傘、ジャケットを置く場所がないので、助手席にしか置けないからだ。何時間も走れそうだが、疲れてもシートを後ろに倒して休むことができない。だから長距離には向かず、精々200キロ程度しか走れない。
メルセデスにはSLKという安いスポーツカーと上級クラスのSLという種類のスポーツカーがあった。よく似た車だが、SLの方は後部に荷物を置く場所があったので、夫婦で乗ることもできたが、SLKは荷物を置く場所がなかった。
左の写真はSLKの写真とよく似ているが、現在発売されているSLだ。
スタイルを優先したのか、後ろのスペースがなくなっている。もともとメルセデスはそんなスタイル優先の会社ではなかったのだが、最近はフロントウインドウの傾斜のきつい車が多い。スポーティー感を出さないと車が売れないのかもしれない。
- 第165回「2シーターは2人乗りか?」
- 2016年08月10日
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