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香杏舎ノート

第157回「珉珉(みんみん)漢方」

自然科学と経済学

医学という自然科学の中に身を置く私からすれば、経済学ほど不思議な学問はない。経済学では経済現象に対してできるだけ大風呂敷の理論をうち立てて世間を納得させることが評価される。しかしながらマルクスやフリードマン、ケインズの理論も完璧ではない。

一方の自然科学で証明されたことは、変わることのない真実だ。抗生物質が細菌に効いても人間に害を及ぼさないのは、抗生物質が細菌の持つ細胞壁の合成を阻害するからであり、人には細胞壁がないので害を及ぼさない。

自然科学を学んできた者が漢方を勉強し始めると、経済学に出くわしたような当惑を感じるはずだ。治療理論に日本漢方とか中医学とか複数の理論が存在する。何故だ?真実は一つしかないはずだと思う。

漢方を学び始めたころに中医学基礎という本を読んでいて、理論があまりに空虚、空論に満ちているので、腹を立ててその本を床に投げつけた記憶がある。漢方の師匠である山本巌先生の診療所に初めて見学に行ったとき「中医学や日本漢方の理論を学ばなければ漢方は上達しないのか?」という質問した。もしそんなものを学ばなければならないなら漢方を学ぶのをやめようと心の中で思っていた。

まずは治療から

山本先生は「学ぶ必要はまったくない。自分の経験だけを信じろ。」と安心させてくれたのだが、見学を続けるうちに先生自身は様々な古典にも通じていることが分かった。

山本先生の治療を見ていると、どうしてこんなに病気が治るのだろう?それは多分に古典の知識があるのではないか?先生が本を読むなと言ったのは、未熟な私にはそんな古典がまだ早いという意味だったのかと思ったりもした。

漢方理論をどう理解したらいいかを分かるためには、やはり臨床を積むしかなかった。科学が発達していなかった時代、どうしたら効率よく患者さんを治せるのか、どうしたら上手く病気を予防できるのか?そういった問題を解決するために漢方の古典は発達してきた。現在の医療からみればおかしなことでも、その当時の人は必死で病気と闘ってきた方法論が漢方の古典ということになる。

こういった理論の中には荒唐無稽なものばかりではなく、重要な考え方、所見も含まれていて、これを現代にどう解釈して使える物にしていくかが、現代の漢方医の仕事といえる。
山本先生の言いたかったことは、自分の経験したことで漢方に理解を深めていけば、そのうちに本もわかり、理論がどうしてできたかもわかってくるということだった。

私は中医師です

珉珉もう20年も前のことだが、ある漢方研究所の所長が「自分は中医学で患者さんを治療している。」と主張していた。その先生の診療は保険の漢方薬を2種類か3種類合わせて治療するだけで、そこに勤める医者の間では、珉珉漢方と呼ばれていた。
どういう意味かというと、本格中華(ちゃんとした中医学)ではないという意味だ。珉珉とは関西にある赤暖簾の中華料理屋のことで、美味しくても確かに本格中華ではない。

自分が中医師というからには、一つ一つの生薬を中医理論に従って組み立てて患者さんに投与しなければならない。それをせずに中医学で患者さんを治しているとは言えない。

中国の中医学校を出た人に聞いたところ、日本で言われている中医学はいわゆる中医学基礎という、学校で学ぶほんの一分野でしかなく、その後は様々な古典や理論も学んでいくという。その人の卒業論文は不妊治療に使われた生薬を個々の古典の中から集め、その薬能から当時の理論、薬の効果などを吟味するもので、その手法は私の生薬の解析と何ら変わらない。

病気を治すためには中医学であれ、古方であれ、口訣(言い伝えによる治療法)であれ何でも知っていた方がいい。そして経験を積めば病気を治す方法が分かってくる。中医学の基礎理論だけが飛び抜けて病気を治せる確率が高いわけではない。経済学でいえばケインズの理論(ケイジアン)だけで経済が上手く回るわけではない。

20年前ならいざ知らず、現在でも自分の専門は中医学などと主張すると、珉珉漢方と皮肉られる結果になるのではないかと思う。

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