第141回「気分転換」
気の流れ
漢方では血液と同じように気という目には見えない物質が体の中を循環していて、気の流れが滞ったり弱ったりすると病気になると考えている。気の流れを良くして気を強める方法として呼吸法や小周天、房中術などある。
呼吸法はできるだけゆっくりと呼吸をおこない、吸気より呼気の時間を長くすることが大切だ。
小周天は丹田(下腹部)にボールのような球体をイメージしそのボールが背骨を上昇して百会(頭頂部)に到り、それが今度は胸側を降りて再び丹田に戻るというイメージを何度も繰り返す。
房中術はセックス中に女性から気を取る技術で、その効果がどれほどのものかはよく分からない。
以前、転地療法というブログを書いた。気には人間の気だけでなく、大地の気もあり、気のいい場所には大地から気が噴出している。最近はこんな場所をパワースポットなどと称しているが、こういう言い方をすると少しも霊験あらたかではないが、そういった場所に行くと確かに体の元気が増す。
私たちの気分は天気のように移ろいやすい。
仕事で失敗して落ち込んでいてもその晩に友達と飲みに行くと、とてもハッピーな気分になる。人に腹を立てていてもしばらくするとすっかり忘れてしまう。
もし気が落ち込むような状態が続くと体も心も壊れてしまう。それを防ぐために呼吸法や小周天をしてもいいが、一番簡単な方法は自分が本当に楽しいと思うことをしたり、爽快感が味わえる場所に足を運んだりするのがいい。
つまり上手に気分転換することが気の流れをよくし、また強くもする。
お気に入りのカフェレストラン
私は忙しく働いているのであまり時間をかけて気分転換する余裕がない。また人と会うと気疲れするほうなので、友人と会ったりすることもほとんどなく、いつも一人だ。有効な気分転換が出来ない中で、気にいっているのが六甲山の中腹にあるカフェレストランに行くことだ。
このカフェはログハウスの自宅を建てたご夫婦が、自分たちが気に入っている環境を他の人にも味わって欲しいと自宅の一部を開放してカフェにしたことに由来する。だからご夫婦はこのカフェの2階に住んでいる。
女主人はアダムスファミリーのママのような雰囲気の人で、いつも綺麗な格好をしていて、客にもそれなりのドレスコードを要求していた。
私のところで働いていた従業員が半パンツで行ったところ、ママに「今日はいいけど次から半パンツは止めてね。」と注意されたという。また12歳以下の子供さんも店に入ることはできない。
一流レストランやホテルでもドレスコードを守り、子供の立ち入りを禁止しているところは、ほとんどない。ここのカフェは自分たちの家にゲストを入れる感覚なのだからそういった基準が設けられていても納得できる。
今は女主人は亡くなり、ご主人が店をみている。高齢だがノリのきいたおしゃれなシャツを着てカフェの隅っこの椅子に座っている。ここに来るとベビーカーを押したママたちに合うこともないし、子供が客席を走り回ることもない。
テラスは木製でウエイトレスが歩く振動がかすかに伝わってくる。食事は一流レストランに引けをとらない。
私は双眼鏡を持参して食事をしながらバードウオッチングを楽しむ。ヒヨドリやヤマガラ、燕を見ることが出来る。
もう一つの楽しみは眼下に大阪国際空港を望むことが出来ることだ。空港に駐機している機体を見ることが出来るし、飛び立つ飛行機が大きく左旋回していく姿を楽しめる。
双眼鏡を使って、こんどの飛行機は、全日空だとかやっているうちに私の元気が回復してくる。
冬は店内で我慢しなればならないが、初夏から晩秋まではテラス席で鳥のさえずりを聞きながら自然を楽しめる。
大きな欅が日陰を作っているので、その下で食事をしたりカフェを楽しんだりするといい。欅の木の下にさらにパラソルがある席もあるので、日焼けの心配な女性でも大丈夫だ。写真はパラソルを通してみた欅の枝だ。
元気を保つ秘訣は要するに自分が楽しいと思うことをすることで、もしそれが仕事ならそれに越したことはない。
- 第141回「気分転換」
- 2014年08月20日
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