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夢の中の老人

第61話「チケットの仕入れ方法を教えてくれ」

チケットショップのノウハウは仕入れにある

いつも夢の中に現れる老人が現れてしゃべりだした

老人:「おれの知り合いのオヤジはとても面白い男だ。こいつは30年前、チケットショップが大繁盛しているのを見て、金になりそうだとチケットショップの列に並んだ。自分の番になると『チケット屋をやる方法を教えてくれ』と頼んだという。しかし、チケットをできるだけ安く、また人気のあるチケットを大量に仕入れるのが最大のノウハウであり、教えてくれるはずもない」

私:「そりゃそうでしょ。チケットは現金そのもので、それに僅かな利益を乗せて売る商売です。人気のあるチケットは新幹線の回数券で、それをバラして売る。株主優待券、ビール券など仕入れは多岐に渡ります。在庫を切らさぬように人気のあるチケットを集めるのはなかなか難しいといいます」

老人:「金もうけの核心を教えてくれというのだから誰も教えてくれるはずもない。そいつはしつこい男だから性懲りもなく並び続けたという」

私:「カメツキガメのような男ですね」

老人:「何度も何度も繰り返して並んでいるうちに、あるチケット屋のオヤジが、『そんなにやりたければやってみなはれ』とノウハウを教えてくれたという」

社長になりたいからと一流企業を辞めて仕事探し

老人:「その男は一流の上場会社に勤めていて、将来を嘱望される社員だった。国立の経済学部と工学部を出て、技術士と中小企業診断士の二つの資格を持っていた。しかし、子供が小さい時に突然、社長になりたいと会社を辞めて仕事を探した。携帯ショップ、団子屋、靴修理の店さらには化粧品の安売り店などをやった。それらの商売は、いわゆるフランチャイズだった。

仕事をしていて、フランチャイズの寿命は3年だと悟ったという。流行り出して3年もすると勢いが落ちてくる。無論、5年でも10年でも続けようと思えば続けられるが、先細りしていく。勢いのある3年が過ぎるまでに次の仕事に乗り換えられる商売を見つける必要があると悟ったという。チケット屋は、当時は個人商店でフランチャイズはほとんどなかった。そこに目をつけたのだ」

私:「フランチャイズは自営業とはいえ大きな会社の下請けで、儲けをピンハネされますから自分での工夫はできません。チケット屋は現金商売で、信用できる人しか雇えませんので、家族経営で、フランチャイズはほとんどなかった。いいところに目をつけたものですね」

お金は道具で、その道具を使う借り賃が金利

老人:「そいつは、お金は道具で、その道具を借りる借り賃が金利だという考え方を持っていて、全額借入金で商売を成功させてきた。

チケット屋を始めると経営の知識を活かしてその日に雇ったオバチャンでも店番をできるシステムを開発して営業をはじめた。チェーン店を15〜20店舗まで広げた時、新しい管理システムが必要になったので、AIを使った管理を始めた。

なにせ技術士だからな。60店舗以上になると、毎月、新しく3店舗を出店し、営業成績の悪い3店舗を利益が出ているかどうかに関わらず閉鎖していった。」

私:「売り上げの悪い店舗は利益が出ていても閉鎖するのは面白いですね。儲けが増える見込みがないので、【見切り千両】というわけですね。全額借入金経営が厳しい経営の基礎になっているのだと感じます」

老人:「これがオヤジの不動産を見る目を養った。通りが一筋が違うだけで収入が桁違いに変わる。この時、不動産の面白さに目覚めたという」

魚を釣るときは釣り人が多くいるところで釣れ

老人:「オヤジは場所の選び方についてヒントをくれた。場所は川釣りと一緒だ。素人は人のいないところで釣ろうとするが、釣り人の沢山いるところで釣りをしろという。下手でもソコソコ釣れる、そう俺に教えてくれた」

私:「なるほど。魚の沢山いるところに釣り人が集まってくる。魚つまり、顧客のいないところでは結局売り上げも上がらないのですね」

老人:「土地にはケモノ道のように動物を引きつける不思議な場所がある。人も水場があるとか耕作地が広がっているといった要素以外に、上にオーラがある所に集まる」

私:「パワースポットのようなものですね」

老人:「それは土地だけの話だろ。そうじゃない。人間が集まって出すパワーのようなものと土地のパワーが合わさっているような場所だ」

私:「なるほど。おもしろいですね」

老人:「チケット屋は場所がすべてだ。チケット屋は路面店であることは当然だが、たった三坪でも場所がいいと信じられないくらい儲かる。流行っている店の近くでも、少し角を曲がるとまったく流行らない店になる。そうするうちにどの場所が流行るか解ってきた。

ある時、オヤジは商店街でいい場所を見つけた。しかし、そこにはさびれたうどん屋が商売をしている。そこでうどん屋に行って店舗を貸して欲しいと頼んでチケット屋を開いたことがあるという。この経験が土地を見る感覚を養った」

私:「なるほど。チケット事業を通じて不動産のノウハウが分かったわけですね」

M & Aでチケット屋を売る

老人:「チケット屋はオヤジの予想を裏切り17〜18年もつづいた。オヤジはチケット屋を日本一にしたが、新幹線の回数券などが無くなる頃に潮時と考え、チケット屋をM&Aですべて売った。この売却益には税金がかからないから、その資金を元手に不動産の売買を始めた」

地方の県庁所在地を狙う

老人:「不動産といえば東京と思う人も多い。しかし、東京の不動産は利回りが悪く、値段が高いので手が出せない。そこでオヤジは地方都市の県庁所在地の不動産に狙いを定めた。【東京には行けない、もしくは行く必要のない会社】でも県庁所在地には人も金も集まってくる。この考え方が当たって全国に数十の大きなオフィスビルを持つまでになった。50億円のビルも買えるようにもなった」

私:「なるほど。発想がすごいですね」

商売をするには経済の大きな流れを見落としてはいけない

老人:「そいつがチケット屋を始めたときはバブルが崩壊していくときで、大量のチケットが市場に出回り、景気が悪くなり始めた庶民が少しでも安い商品を求めてチケット屋に行列を作るという行動を起こした時だった」

私:「今もチケット屋はありますが、昔ほどの勢いはないですね。なるほど面白い」

老人:「1990年にバブルが崩壊して以降、日本は低金利が続いている。特にここ10年はマイナス金利の時代になった。不動産バブルで傷ついた人々は不動産を敬遠したから地方の優良物件でも不当に安い値段で売られていた。そこにオヤジは目をつけたのだ」

私:「商売は面白いものですね。代々続く暖簾を守っているうちに食えなくなっていく仕事もあり、時代の変革期にうまく商売をする人もいます。Outliers(Malcolm Gladwell)という本にインターネットといった新技術が現れるときに億万長者が出現すると書いてありました。アップルのスティーブ・ジョブズやマイクロソフトのビル・ゲイツは同い年の1955年生まれなのは、インタ―ネットの黎明期に生まれたからで、偶然の同い年ではないと書いてあったのが印象的でした」

老人:「ある時、オヤジに美味しい中華料理の店があると招待を受けた。連れて行かれたのは赤暖簾の町中華だった。小ぶりの餃子が皿一杯に出てきた。それを食べ終わると一緒に行ったオヤジの奥さんが、野菜が足りないといってもやし炒めを頼んで食事会は終了した。オヤジは贅沢には興味がなく、スシローや駅の立ち食い蕎麦ばかりを食べている。結局、自分の理論が正しいか実証実験しているのだと分かった」

我々は人生というゲームの中で、知恵を絞ってどう楽しく充実した人生を送るかが問われている。

このオヤジにとって財産は自分の理論が正しかったというトロフィーのようなもので、金には興味がない。そういった生き方も一つだろうが、自分にあった楽しみを人生の中で見つけたいものだ。

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