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夢の中の老人

第59話「中国がもたらしたデフレ GDPは国力を表さない」

日本では、どうしてデフレが30年も続いているのだろうと考えていると、夢の中に老人が現れてしゃべりだした。

老人:「フランスが一枚40万円のドレスを中国に売るとしよう。
中国は1枚千円のドレスを400枚フランスに売る。GDPで考えると貿易は40万円で均衡しているが、1枚40万のドレスを売っているフランスに1着千円のドレスが400着も流れ込めば価格破壊が起こり、1着40万円のドレスをつくっていた会社は倒産してフランスのアパレル産業は死んでしまう。
つまり、GDPのバランスだけで経済を考えていた経済学者は、中国のもたらした価格破壊を予言できなかった」

私:「なるほど。GDPだけで考えていると、貿易収支がとれているからと安心していたら、自国の産業が根こそぎやられてしまったわけですね」

2001年中国はWTOに参加

老人:「中国は2001年WTOに加入してから最恵国待遇を利用して世界中に価格破壊をもたらした。中国が豊かになれば民主的な国になると考えたアメリカの政策の失敗だった。プラスチック製品、マスク、家庭用品などを信じられないくらい安い値段で世界中に売った。あまりに安いので大量に輸出されてもどの国も気にしていなかった。ところがコロナ禍の中でマスクや手袋、アルコール、防御服などが中国で作られ、もはや先進国にはそういった産業そのものが無くなっていることに初めて気づいた。

そんな中、医療に使う消毒用アルコールがなく、強い酒での消毒を政府は勧め、マスクは不織布で作るものだが、それがないので400億円をかけて布でできたアベノマスクを配布した」

私:「布のマスクは国民が自分たちで作っていましたから馬鹿なことをしたと思います」

2001年のWHO加盟から中国は成長速度を速めていく。
出典:世界経済のネタ帳

老人:「もっと恥ずかいことがある。世界中の先進国が、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)といったコロナウイルスの感染に備えてPCR検査の試薬を備蓄していたのだが、日本だけは備蓄をしてなかった。だからコロナ感染の診断を38.5度以上の発熱が3日以上続くという、あいまいな診断基準でコロナ感染と定義した」

私:「恥ずかしい限りですね。中国は不織布のマスクを日本に渡す契約をしていたのですが、日本には売らずに発展途上国に人気取りのために無料で配っていました。また中国ではPCR検査がありあまって、動物にもPCR検査をしていましたから本当に馬鹿にされたものですね」

GDPで国力を測ってはいけない

ロシアはGDPが140兆円と日本の3分の1しかなく、人口も日本とそれほど変わらない。だが天然ガスと石油の埋蔵量、さらには小麦の生産量などは世界のトップクラスという豊かな国だ。

女性の地位も高く、工学部出身者が多い。宇宙開発や核兵器などは今でもアメリカに匹敵する超大国だ。つまり、国力をGDPだけで考えると大きな間違いを犯す。日本のGDPは500兆円だが中国のGDPは1900兆円もある。人口の多い国のGDPは誇張されるからGDPは少なくとも一人当たりで考える必要がある。

さらに日本では老人の高齢化から介護費用や医療費に何十兆円も支出していて,この費用はサービス業としてGDPに換算されるが国力の強さではなく、反対に国の弱さを示すものであることに注意してほしい。サービス業のほとんどは国力の基準としては使えない。

安値に農民工の存在

私:「ところで中国は、どうしてそんな安値攻勢をかけることができたのですか」

老人:「いくつかの理由がある。
まず都市部の土地を国有化した。そして70年の借地権を設定して住民に貸し出すことで金を作った。つまり、中国は土地を基本とする土建屋国家だ。次に農民戸籍をつくったことだ」

私:「農民戸籍って何ですか」

老人:「農民は自分の土地を持っていて作物を作って生計を立てていたが、1958年、農民が都市に流れ込むのを防ぐことを目的に農民戸籍を作った。農民には都市戸籍の住人のような健康保険もなく、農民は都市に合法的に住むこともできない奴隷のような状態になり、農民工と呼ばれている。つまり、極めて安い賃金で働く労働者を作った」

私:「農民にも都市に住んでもいいという自由をなぜ与えなかったのですか」

老人:「中国は耕作地に適した土地が少ない。農民が食料生産を止めて都市に住んだら餓死者が出る。毛沢東は集団による農業改革に失敗して2000万人もの餓死者を出しているから、その経験もあって農民を農地に縛り付けたのだ」

私:「なるほど。一人っ子政策もその影響ですか」

中国の為替操作

老人:「さらに中国は為替操作をして、人民元をドルに対して安く維持して輸出攻勢をかけた」

私:「どうしですか?自国の通貨が強ければ海外から安く物を買うことができるじゃないですか」

老人:「おそらく製品の値段が上がると他の発展途上国に生産が移るのを恐れたのではないか。結果として先進7カ国の倍の14億人が一斉に安い製品を作りまくったので世界中がデフレにおちいってしまった」

人民元/USドルの為替レートの推移(1980~2023年)
世界経済のネタ帳

私:「確かにデフレの原因は中国ですね」

老人:「日本は人件費の高騰に悩まされていたから人件費の安い中国にどんどん合弁会社を作っていった。だからますますデフレになった。中国の近くにある日本は中国のデフレ政策で長期の低成長に陥ってしまった。欧米が中国の価格破壊に気づくのは日本より10年遅れることになる」

私:「なるほど日本は中国に近いという地政学的な理由から先にデフレになったのですね」

中国のあまりに異常なコンクリート生産量

中国の3年間のコンクリート使用量、アメリカの100年間を超えていた
出典:GIZMODO

老人:「中国の異常さを示すデータがある。中国は2011年から2013年の3年間に6.6ギガトンのコンクリートを作ったが、それはアメリカが1900年間から100年もかかって作ったコンクリート量をたった3年間で1.5倍上回った。このコンクリートはどう使われたか?

中国を支配する7人の指導者をチャイナセブンという。このポストに就くためには激烈な競争がある。競争は共産党の書記として支配する、広東省や四川省の経済発展を成し遂げたという実績が必要だ。

そのためには農民から土地を取り上げ、そこに新しい街を作ると称して巨大な住宅団地やショッピングモールを作る。そうすることでその省のGDPは上がるが、もともとニーズのないところに無理やり建物を建てるのだから、その建物は誰も住まない鬼城になってしまう。出世した後はその責任を問われることはないから涼しい顔でいられる。建物は30億人が住めるほどのものになった。一部の鬼城はダイナマイトで爆破された」

老人:「どんな独裁国家も独裁者とその取り巻きだけが幸せになればそれで満足するのだが、中国は支配者が一人ではなく、チャイナセブンという7人の合議制になっているからこんな不思議な現象が起こったのではないかと思う」

今後も中国のデフレ攻勢は続くのか?

老人:「中国は人口でインドに負けた。また老齢化が急激に進むので医療介護費が膨らみ、経済発展が難しくなってきている。シカゴ大学のルイス・マルティネスは人工衛星で地上の明るさからその国のGDPを推測する方法で推測すると、中国のGDPは公表の6割程度だという。だから今後どのくらい中国が安値攻勢をかけてくるかどうか知らないが、インド、ベトナム、ブラジル、インドネシアといった国が安値攻勢をかけてくることは間違いない」

私:「なるほど。安値攻勢が世界中にひろがるわけですね」

先進国に価格決定権はない

老人:「G7の8億ほどの国の人達の満足するような品物や食べ物は次第に供給されなくなる。インド、中国、ブラジル、インドネシア、ベトナムなど40億人の中間層が憧れる品物が世界のスタンダードになる。インドではスズキが自動車販売の半分を占め、ユニクロが先進国でさえ上質の衣服と考えられるようになってきた。こういった安くて合理的な品物が世界に溢れ、ベンツやポルシェといった高級車、エルメスやシャネルといった衣服は信じられないくらい高価な品物になるだろう。先進国では牛肉が好まれるが飼育には2年以上かかる。豚は3か月で出荷でき、鶏は40日で出荷できるし、卵をとることもできる。

日本でもチキンを使った料理が増えている。先進国も老齢化から貧しい人が増えてきているから、先進国にとってのデフレはこれからも続くことになる。それにしてもポール・グルーグマンやベン・バーナンキ(ヘリコプター・ベン)はどうして札を刷ることしか考えていなかったのだろう」

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