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香杏舎ノート

第132回「漢方の資格」

葛根湯は、桂枝(けいし)、生姜(しょうきょう)、葛根(かっこん)、麻黄(まおう)、芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)という7つの生薬から出来ている。
桂枝はシナモンのことで、葛根はくず湯につかうクズ、生姜はショウガで、大棗はナツメの実だから、この4つは日常で食べられているものだ。
残りの3だが、甘草は醤油など食品の甘みをつけるために広く使われている生薬、芍薬はシャクヤクの根で、麻黄だけが我々に馴染がない。

登録販売者

漢方はそんな馴染のある食品のようなものだから、一般の人が生薬を組み合わせて病気を治してみたいと思っても不思議ではない。漢方は安全で副作用も少ないからどんな資格を取れば漢方が使えるのだろうと考える。医者や薬剤師になるには時間もお金もかかるし、試験が難しい。そこで思いつくのが登録販売者という資格だ。

1年間ドラッグストアに勤めたら受験資格が出来て、試験をパスするとドラッグストアで売られている97%の薬を売ることが出来る。残りの3%は危険な薬なので、薬剤師しか売ることが出来ない。漢方薬は安全な薬だからそのほとんどを売ることが出来る。
登録販売者の資格を目指す人の夢は自分でドラッグストアを開店し、風邪の人が来たら葛根湯を出し、浮腫の人には五苓散(ごれいさん)を出すことだろう。生薬も売ることが出来るが、混ぜ合わせて売ることは許されていない。
鍼灸師の学校では登録販売者になることを勧めている学校もある。鍼灸で病気を治し、漢方でも病気を治せますよというのが学校の売りだ。確かに魅力的に聞こえる。

もともと登録販売者はドラッグストアの要請で出来たものだ。ドラッグストアは薬剤師を確保するのが難しく、人件費も高いので何とかしてほしいと政府に圧力をかけて登録販売者の資格ができた。簡単に取れる資格ほど価値がないのは世の常だが、日本では近年、資格の価値が暴落している。詳しくは夢の中の老人の「平成士族の没落」を読んでいただければ分かるのだが、暴落の原因は資格を取る側のニーズを無視してサプライサイドのことばかりを考えた行政が行われているからだ。
そういった中で登録販売者になればどれだけのメリットがあるのだろう。

めでたく登録販売者になったとして、漢方薬を売っていくことが出来るのだろうか?
ライバルとして考えられるのが、薬剤師だ。薬剤師が相談薬局を開いた場合、薬剤師は様々な漢方薬を小分けして売ることが出来、煎じ薬も混ぜ合わせて処方できる。ただし生薬を混ぜて煎じ薬を処方する場合は規定された210処方の中の処方でなければならない。
最大のライバルは無論、お医者さんで、お医者さんは保険で多くの漢方処方を出すことができるし生薬を自由に組み合わせて出すことが出来る。保険がきくということは登録販売者が売る値段の7割引きで売るグループが存在していることを意味している。
7割引きセールの中で、登録販売者の資格で正価販売していくことはとても困難だろう。
登録販売者以外に民間会社が作った漢方スタイリストとか漢方養生指導士といった資格があるのだが、それがどれほどのものかは説明するまでもないだろう。

漢方専門医

私は20年近く医学部で漢方の講義をし、漢方専門の医院を開いているが、日本東洋医学会の認定する漢方の指導医でもなければ漢方の専門医でさえない。こういった制度は私が漢方医になってから出来たもので、ある事情から私はこういう資格を取らなかった。

資格とはその人がどんな能力や知識を持っているかを一言で言い表すことが出来る便利なものだ。国家資格である弁護士や医師の資格は、国家資格を持つ人がその分野の仕事を独占する権利を与えている。
しかしながら資格で人の能力を測るのはなかなか難しい。例えば漢方の専門医や指導医でも煎じ薬を使ったことのない人や鍼を出来ない人も多い。
知識は試験で問えても技量を問うのは困難なのだ。

もし漢方に興味を持つ人がいたらどうしたらいいのだろう。
私なら漢方専門の医院や薬局に勤めることを勧める。受付業務での求人もある。私の従業員を見ていると、門前の小僧ではないが、何年か勤めるうちにこんな患者さんにこんな薬が出ていると分かってくる。そのうちに体質も分かるようになる。そうなるとこの患者さんにはこの薬と、勉強しなくてもおおよその薬を言い当てることができるようになる。そうなってから登録販売者の資格を取るなり、薬剤師や医者になるための学校に行ってもいい。別に資格がなくてもどんな薬がいいか分かるからそれを利用すればいい。

先日、10年以上私のところに勤めていた女性が子供を連れてきた。アトピーなので黄耆建中湯を欲しいという。黄耆よりも晋耆のほうがよく効くからとメーカーまで指定してきた。
それでいいのだと思う。自分で処方できなくても漢方を買うことが出来るし、依頼してもらうこともできる。
資格が先ではなく、興味が先にあるべきで、本当に漢方をしたいということになればどうすればいいかが分かってくる。

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