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香杏舎ノート

第101回「背中の凝りと自律神経失調症」

私は虫歯になって近所の歯医者さんで治療を受けていた。何回か通院し、治療が最後という日、歯医者さんが「ちょっと相談があるのですが」という。

「最近、とても体の具合が悪いんです。半年くらい前から体調を崩していて、診療中に気分が悪くなる。そうなると診察を続けることができなくなって、30分ほど横になって休みます。体調を崩してから体が冷えて困るようにもなりました。下着を何枚も重ね着してストーブの前に座っても温もらない。以前は大変な暑がりだったのに、どうしてこんな体になったのか不思議です。血圧も180台に上がって、薬を飲んでも下がらない。あまりに体調が悪いので一週間入院して調べたが異常がなく、自律神経失調症だといわれました。漢方で治療できないですか」と聞く。

私は治療中にその先生から何科の医者ですかと聞かれたことがあり、漢方で開業していると答えた。だから漢方で病気が治らないかと思ったのだろう。

歯医者さんは、筋肉質のがっちりした体をしている。こんな体質の人がどうして冷え症になってしまったのだろう。

「診察させてください。」そういって歯科用の椅子を倒して横になってもらった。私は治療される立場から治療する立場に変わった。歯医者さんの腕に触ると、ひんやりするほど汗をかいている。気分が悪いらしく、顔は青白く、脈はよどんだように流れが悪い。背中を触ると筋肉がカチカチに固くなっていて、その筋肉に引っ張られるように背骨が左右にずれている。

「先生、過労ですよ。先生は背中の張りを感じていないようですが、体全体が固くなっています。御存知のように背骨と背骨の間からは自律神経が出ています。背中の筋肉が固くなって自律神経を圧迫し、体調不良になっているのでしょう。背中の筋肉を緩めれば治ると思います。もしよければ私のクリニックに来てください。柔道整復師や鍼灸師の先生が居ますので。」

「先生の診療所まで行くだけの元気がありません。とても辛いのです。家から診療所までの500メートルも歩けないほどです。先ほども診察室の奥で30分ほど休んでいました。何とかなりませんか。」と言う。

「わかりました。では診察が終わるころにまた伺いましょう。」そういって私は家に帰った。

8時過ぎ、診療の終わる時間を見計らって出かけた。待合室の床にバスタオルを引いて横になってもらい、改めて先生の背中を診た。筋肉は石のように固くなり、簡単には緩みそうもない。そこで持参した長さ30センチほどの木の棒で背中を押していった。この棒は真ん中あたりに飛び出した部分があってこれで背中の筋肉を押してゆるめるように作ってある。背中が凝ったとき、タンスの角に背中を押しつけてゴリゴリやるようなものだと思えばよい。背中の筋肉は堅くてとても指の力では緩まない場合がある。だからそんな棒を用意してあるのだ。

受付窓口から受付の女の子や歯科技工士が待合室の板の間に寝ている歯科医を見ている。先生は時々痛くて悲鳴を上げる。私は、「マッサージじゃないからと我慢してください」といって治療を続けた。15分ほどの治療が終わると、青白かった先生の顔に生気がもどってきた。「楽になった、息がしやすくなった」と言う。

「背中の筋肉が緩むと肋骨が動きやすくなって息がしやすくなるんです。それほど筋肉が硬くなっていたということです。1回の治療では良くなりませんから、しばらく治療を続けてください。最低でも週に1~2回は治療が必要です。治療に来てください。」そういって私は家に帰った。

翌日、歯科医から電話がかかってきた。調子がよかったのだが、また気分が悪くなったので、申し訳ないが往診してほしいという。結局、三日連続して往診するはめになった。そして幾分元気になった歯科医は私の診療所に通院し、漢方薬の内服と整体で元気を取り戻した。

自律神経失調症

自律神経失調症という病名を口にする患者さんが多い。のぼせ、ふらつき、疲労感など、もろもろの不定愁訴を自律神経失調症といっているようだ。だが実際にはそういう病名はない。訳がわからない症状を自律神経失調症といっている。こういった病状の多くは漢方的に説明がつく場合が多い。

この先生の場合の自律神経失調症は背中の筋肉の凝りが原因だった。背中の治療で喘息がなおったり、胃炎がよくなったりすることもある。面白いものだと思う。

私の感想

医者で鍼灸や整体、カイロプラクティックなどの治療に詳しい人は少ない。よほど積極的に学びに行かねば学ぶ機会はないし、民間の治療家に頭を下げ、教えを請うことは、プライドの高い人には難しいのかもしれない。また実際に治療をしてみると、結構きつい仕事なので挫折する人もいる。だが医者の目からこういった治療を見ていくと、今まで見えなかった治療の中の理論が見えてくるような気がする。治療を洗練して臨床に応用していくことは大切なことだと思う。

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