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臨床日記

【 漢方・整体施術 治療症例 】
9. 原因不明の慢性膵炎:56歳女性

1年半前、慢性膵炎と診断された。腹痛と疲労、食欲減退があり、この症状が何度もぶり返して起こってくる。原因不明。医師に薬を出さないと言われたという。

原因不明の慢性膵炎は難しい病気で治療法がない。
脂っこい食事を避け、酒を飲まないように指導されるが、もともと酒を飲まない人には有効な手段がない。炎症を繰り返して次第に膵臓が線維化して膵臓の機能が低下してくる。何とか炎症を止めなければならない。
薬を出さないと言われたというが、じつはこの炎症に効く西洋薬がない。

要は炎症を止める生薬を見つけることができるかどうかにかかっている。黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)、柴胡(さいこ)、生地黄(しょうじおう)、竜胆(りゅうたん)などの抗炎症作用を持つ生薬があるが、どれがいいかは分からない。

山本巌先生の弟子の坂東先生の「病名漢方治療の実施」を読むと、大柴胡湯去大黄合桂枝茯苓丸が使われている。この中に含まれる炎症に効く生薬は柴胡、黄芩、牡丹皮だろう。牡丹皮は駆瘀血剤に分類されることが多いが、本によっては抗炎症剤に分類されている。いろいろ悩んだ結果、牡丹皮や生地黄、竜胆など、まったく従来とは違う抗炎症作用を持つ生薬で丸薬を作り投与した。

すると2週間でお腹の痛みがましになった。だが、タンパク質を取ると膵臓のあたりがチリチリする感じがたまにあるという。1ヵ月後には腹痛は消失した。3か月後には検査値が半分になった。慢性の炎症が続くと線維化が進行して膵臓の機能が落ちてしまうので、瘢痕を抑える薬をこれから投与していかねばならない。私の作った抗炎症剤は効いてはいるが、もっと効く生薬を探していく必要がある。

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