第210回「顔認証システムによる出欠確認」
もう20年以上兵庫医科大学の薬理学で非常勤講師をしている。
教えているのは漢方薬理だ。
数年前、新しい教育棟ができてからは、教育棟に入るにはICチップを埋め込んだ身分証を読取機にタッチすることになった。無論、学生も学生証をタッチして中に入る。
私の身分証は古すぎて、ICチップが入っていないので、ガードマンに講義の目的を伝えてサインしてから入室する。
今年の6月、大学に講義に行ったら、講義前に教務課の職員が来てタブレット端末を私に見せ、自分の顔が写っているタブレット端末をしばらく見ろと言う。見ていると赤い丸い輪が動き出して数秒で輪が元に戻ってきたところで、「終わりました。」と言う。
これが今年から取り入れた顔認証による出席簿だ。昨年までは出席票を学生に配っていたが、今年からこの方式に変わった。
講義が始まるとそのタブレットは学生に渡され、一人一人が顔認証の登録をしながら回されていく。 日本で初めてのこのシステムは話題になり、地方紙にも取り上げられた。
それにしても、大変な時代になったものだ。講義を行った講師の顔も登録され、出席した学生の顔も全て登録される。
ただし、職員の出勤簿は別にあり、そこに印鑑を押すのは昔と変わらない。
講義後に教授に話を聞いた。とても便利だと言う。講義が終わる前に出席簿が出来上がり、休みがちな学生は一目でわかる。そういった学生に早めの指導が行える。また午後から行う薬理学の実習についても欠席の人数を把握上した上ですぐ準備ができるという。
私が学生の頃、代返を友人に頼むのは普通のことだった。代返を頼まれたら、声色を変え、声の高さも変えて返事をする。
ある時、ドイツ語の講義をいつもサボっている学生がいることがばれてしまった。教授が怒って、「 〇〇君は一体どこに行ってるんだ!」と叫んだ。
すると学生の中から「カナダにスキーに行っています。」という返事が返ってきた。
- 第210回「顔認証システムによる出欠確認」
- 2019年11月20日
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