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香杏舎ノート

第152回「丸剤製作」

原材料を混ぜ合わせて練る私は開業医だが、町工場の親父でもある。それは自分で丸剤を製作しているという意味だ。
丸剤を作るのはとても手間がかかる。とくに私のところでは仁丹や正露丸のように決まった成分の丸薬を作るのではなく、様々な生薬を丸剤にしていくので、製丸は本当に容易ではない。
右の写真には油のような物が機械の上に浮いている。これは原材料を混ぜ合わせて練っているところだが、油性成分の多い生薬は油が浮き出てきて丸剤にならない。

油性成分の多い生薬として有名なのは桃仁(とうにん)、つまり桃の種の中にある仁(さね)だ。桃仁泥という言葉があり、潰すと泥のようになる。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の中に桃仁が入っているが、丸薬に出来ているのは他の牡丹皮(ぼたんぴ)、桂枝(けいし)などの生薬の比率が高いからだ。油性成分の多い麻子仁(ましにん)、麦門冬(ばくもんどう)、天門冬(てんもんどう)なども丸剤にできない。

数珠譲に繋がった丸剤左の写真は、本来なら丸剤が丸くなって出てくるはずなのだが、材料に粘りがありすぎるために玉が数珠状に繋がっている。

生薬末を丸剤にするには蜂蜜やもち米の粉などを使うが、どうしても丸剤にならない生薬もある。また気温や湿度の影響もうけるので、前回はこの配合で丸剤になったのに今回は駄目だということもある。機械の調整、粉の配合、生薬の性質などをよく知らなければ丸剤はできない。

丸薬製造のスタッフはクリニックのスタッフより多い4人、それに顧問が1人、それと私の6人で丸剤を作っている。
丸剤を作るためには、生薬を粉にしてハチミツなどと混ぜ合わせて丸剤を作り乾燥させる。それを水研ぎしてまた乾燥させコーティングする必要がある。仕上がった丸剤の中から形の悪い丸剤を選別する必要もある。

丸剤製作顧問顧問は薬剤師で中国語が堪能だ。
上場会社の役員の経験があり、製品管理や衛生管理にも詳しい。生薬にも造詣があり、中国の大手の漢方メーカーの顧問をしていた。
これだけの人物からアドバイスをもらえるのだからとてもありがたい。20年以上前からの友人だから助けてくれていると思う。この人なら慶応大学や東大の薬理学の教授でも何らおかしくないと思う。

スタッフのリーダーは15年以上、漢方の診察と丸剤作りに関与してきた。生薬の性質や漢方の名前に精通している。

私が丸剤作りを通して感じていることを幾つか述べてみたい。

日本で数少ない漢方の研究所

日本の大学の漢方講座の多くは、大手漢方メーカーの寄付講座で保険漢方の診療しかしていない。また煎じ薬を使って診療している所もないではないが、ほとんどが古典に書いてある決まった処方しか使用していない。つまり大学の漢方外来と聞くと最先端の漢方の臨床研究をしているように聞こえるが、臨床に関してはほとんど何もしていないと言っていい。

丸剤製作もし煎じ薬で臨床研究しているとしても、潰瘍性大腸炎に芎帰調血飲第一加減が効くかどうかといったたぐいの研究だ。もしその処方が効いた場合、その中の生薬のどれがよく効くかと分析していくと、一部の煎じ薬だけを取り出して煎じて患者さんに飲んでもらう必要が出てくるのだが、一部の煎じ薬だけでは味が悪くて飲めないということが起こってくる。
その点、丸薬は黄連(おうれん)、乳香(にゅうこう)、没薬(もつやく)といった単独では飲めないようなまずい生薬でも味を完全にマスキングすることができるので、個々の生薬にさかのぼってその効き目を確かめることができる。
本来、私の仕事は開業医ではなく、大学で行うべきものだ。そういう観点から見れば、私のところはクリニックというより、日本でも数少ない漢方の臨床研究所だといえるだろう。

難病の患者さんに対して

丸剤製作クリニックには治療が困難な患者さんばかりがこられる。残念ながら特殊な丸剤を使っても治りにくいケースもある。
そんな場合、一人だけの患者さんのために丸剤を作る。経営的にはかなりの赤字になるが、これは研究開発費だと割り切っている。

飲みやすくて携帯に便利、そして煎じる手間のかからない丸剤のメリットを生かすには機械の購入費、人件費、それに開発費など多くの費用がかかる。
巷の漢方医院や薬局は煎じ用の生薬を問屋から買って、それを単に混ぜた物を私の丸薬の値段より高く売っているところがほとんどだから、私のところの薬の値段は決して高くはない。

日本の東洋医学を標榜する医療機関で、薬を作り、鍼灸、指圧などの物理療法を加えて総合治療しているのは私のクリニックだけではないかと思う。
ともかく病気を治すのにどれだけ私が必死なのかはわかっていただけると思う。

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