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香杏舎ノート

第125回「漢方薬で癌は治るか?」

私は漢方の師である山本巌先生が癌患者を何人も治しているのを見て、父にその話をした。すると父は「お前も知っていると思うが、進行癌であっても何十万に1例は何もしなくても癌が無くなり治癒することがある。だからむやみに漢方で癌が治るなどと言ってはいけない」と言った。 父は公衆衛生のエキスパートで兵庫県の衛生部長を務めながら神戸大学医学部で教鞭をとり、その後、衛生研究所の所長を務めた。その業績から晩年、勲三等瑞宝章を授与された。確かに漢方薬で癌が治ると証明するためには、西洋薬を使わずに漢方だけを使うグループと何も使わないグループに分けて漢方の効果を確かめねばならない。父に言われて私は漢方での癌治療について話をしないことに決めた。

そんな父に大変なことが起こった。親族(私にも身近な親族)が癌にかかり一度は治ったが、また再発したのだ。私は「山本先生の所に連れていって西洋薬の治療に加えて漢方での癌治療をしてみよう」と父に言った。 山本先生は親族を診ると、1枚の紙を取り出して、サラサラと処方を書いた。そして私に「この処方を出してください」と言って私に処方を教え、親族の治療を委ねた。

「医師は親族を診てはいけない」というのが母の口癖だった。母の父はハーバード大学を出た優秀な外科医だった。ある時、父方の祖父から叔母の診察を依頼された。叔母は乳房にしこりがあり、癌かどうかの判断をゆだねられた。その当時、触診でしか悪性かどうか判断できなかった。祖父は良性だと判断したが、誤診だった。その後叔母は亡くなり、母は祖父からずいぶんと責められたのだった。

山本先生は秘伝の処方を教えるとともに、癌患者を治す試練を私に与えた。その後、親族は順調に回復し、5年が過ぎた時、私は嬉しさのあまり、親族に海外旅行をプレゼントした。自分に長い間のしかかっていた重荷を下すことが出来た瞬間だった。それから10年以上の年月が流れたが親族は今も元気に過ごしている。

私はこの処方で多くの癌患者を治してきた。一番印象的だったのは12年前に来られた43歳の女性だ。厚生省にお勤めのご主人と一緒に来られた。大腸癌の腹膜転移があり、東京の国立癌センターで余命5ヶ月と言われた。私は西洋薬も続けながら漢方での治療を受けるように指示した。その後、癌は消え、今も元気に暮らしている。

もう一例、最近のケースを紹介しよう。2年前に80歳の男性が受診した。腎盂癌で頸部リンパ節転移があった。抗がん剤で治療中だが癌の陰影が消えず、転移もあるので漢方での治療も希望して来られた。私は漢方薬で治療する場合、必ず西洋医学の治療も併用するようにしている。手術は癌の細胞を綺麗に取り除く可能性が高いし、そうでなくても癌細胞を大幅に減らせる効果がある。放射線や抗癌剤の治療に関して否定的な意見を持つ研究者もいるが、やはり効果があり信頼性も高い。漢方治療のいいところはそういった西洋医学の治療を邪魔しないところだ。併用して治療しても何の問題もない。22年の8月に受診され23年の5月には化学療法では消えなかった癌の陰影が消え、それ以後癌は見つかっていない。

勲章厳格な父は9年前に亡くなり、昨年、母も亡くなった。遺品を整理していると父の勲章が出てきた。その勲章を見ながら還暦を過ぎた開業医の私に漢方の効果を科学的に証明する時間はないと思った。私に出来ることは山本先生から教えてもらい多くの人に効果のあった処方を洗練し、治験例を書き残しておくことだ。厳密な調査は後世に委ねるしかない。

山本先生が私に教えた処方は通導散という薬だ。もともとは重症な打撲の薬として使われてきた。馬に蹴られたり、馬車にひかれたりして内出血が起こり、ショック状態なって死に至る者を治す薬だ。この処方を山本先生は先生の師である中島髄象先生からおそわったのだという。ある日、中島先生から山本先生に電話がかかってきて一人で会いに来いと言われた。「他の弟子にも声をかけましょうか?」といっても「いや、一人で来い。」と言われた。出かけていくと「癌には通導散を使え。これが私の遺言だ。」そう言われたのだという。

漢方の世界では弟子の中で一番優秀な者に自分の処方を残してきた。これが一子相伝ということなのだが、一人だけに教えず、多くの弟子に通導散を教えればいいのではないかと思うかもしれない。だが 病状や体質、癌の種類によって加減をしなければ本当に切れのよい効果を出すことが出来ない。薬の加減をできない先生が通導散を癌に使っていけば、より良い成果を上げることが出来ず、漢方は癌には効かないということになってしまう。一般に漢方が癌に効くと思われていないのはそんな理由からかもしれない。

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