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香杏舎ノート

第56回「汗と表虚(ひょうきょ) 」

真夏の昼下がり、喫茶店に入ると中年の男性がおしぼりで顔の汗を拭いていた。汗をかいてこの店に入ってきたのだろう。ネクタイを緩めて首の汗も拭き始めた。行儀は悪いが、熱いタオルを使って気持ちよさそうだ。連れの女の人は化粧をしているので、顔の汗は油取りの紙でおさえ、おしぼりは手を拭くだけ。汗を思いっきり拭けないのは、とても気持ち悪そうだ。

汗を止める漢方

男性に汗かきの人が多い。だが汗をかいて困ると相談をうけるのは、たいてい女の人、しかも中年以降の太った人に多い。
「最近、のぼせるんです。更年期なんでしょうね。顔がほてって電車に乗ろうと小走りしただけで滝のように汗がでます。漢方で何とかなりませんか」と言う。幸いなことに漢方には汗を止める薬がある。体が弱って汗がどんどん出ていくような状態、こんなときには玉屏風散(ぎょくへいふうさん)という漢方薬がよく効く。また更年期ののぼせには加味散逍遥散(かみしょうようさん)がいい。上半身に昇った 熱を下げ、体を冷やしてくれる。だが、こういった薬を飲んでもよくならないこともある。

病的な汗か

そもそもなぜ汗をかくのだろう。それは体温を下げるためだ。皮膚の表面にある汗が 蒸発するときの気化熱が体温を下げる。だから暑い日に汗をかくのは当たり前だ。問題はどこまでが異常な発汗で、どこまでが正常かということだ。更年期になって顔が のぼせるようになれば、たしかに汗をかきやすくはなる。だがこれを病的と考えていいのだろうか。
汗で悩んでいる女性をじっくり観察すると面白い。汗をかくような運動をしたことが ない人が多い。つまり、普段からほとんど汗をかかない生活をしている。さらに家では汗をかかないようにエアコンをつけっぱなしにしている。そういうふうに汗を止めている一方で水分をよく飲む。顔がのぼせるから冷たい飲み物を好む。とくにジュースやアイスコーヒーなど糖分の多い飲み物が好きだ。甘いものは体に水をためる作用があるのでますます汗をかきやすくなる。結局、水をいっぱい体にため込んでおいて、急に暑いところに出れば汗が吹きだしてくるのも無理はない。

運動で汗をしぼる

運動で汗をしぼれば汗は減るのだろうか。さっそく実験してみた。夏の暑い日、出勤前に運動して汗をかく。下着がびちゃびちゃになるぐらい汗をかいてからシャワーを浴び、下着を変えて診療する。すると汗が減る。のどが渇いたら水は飲むがジュース、スポーツドリンクなど糖分の多いものは避けた。すると体も絞まるし汗も減って快適だ。

話はすこし脱線するが、スポーツドリンクは汗で出た成分を補うのでいいと思っている人が多い。確かにそうなのだが、それにしては糖分が多すぎる。昔に発売されたス ポーツドリンクは粉末を水に溶かして飲む代物だった。塩分が多く、奇妙な味だったので全然売れなかった。その後しばらくして缶入りになって出てきたスポーツドリンクは砂糖の多い甘い味に変わっていた。日常の運動は汗の成分を正確に補わなければならないほど激しいわけではない。だから水で十分だと私は思っている。

汗吐下

考えてみると、汗を止める必要はどこにもない。飲み過ぎた水分が汗として出ていき、おまけに体温を下げてくれているのだから有り難いことなのだ。正装しているような 時に汗をかくのは確かに不愉快だ。だから汗をかいてもいい状況のときに汗をしぼっておくとよい。
汗吐下という治療法がある。発汗剤、吐剤、下剤を使って体の老廃物や毒素を出す方法だ。発汗療法は麻黄や桂枝など発汗を促す生薬で体の水分を追い出し、風邪や浮腫を治療する。重金属は汗でしか体の外に排泄できないのだから、思いっきり汗をかきたいものだと思う。

表虚

汗はすべて放置していいわけではない。病的な汗とは体力が弱ってかく汗のことで、 結核のときの寝汗などのことだ。こういう状態を漢方では表虚といい、上で述べたよ うに漢方が大変よく効く。でもそんな人はまれだ。ほとんどの人は水を満杯に入れた コップのようなもので、少し動かすだけで水がこぼれるような状態を自分で作っている。
汗も便や尿と同じく老廃物を出す排泄器官でもある。だから汗が出ることをこれから は善としよう。便秘が大腸癌の引き金になるように、汗をかかないことも体に決していいことではない。汗をかかないという快適さを追求していくと不自然になることは 否めない。汗止めスプレーなども本当に必要な時以外使わないほうがよいと思う。

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