第220回「オープンカーと帽子」
オープンカー好きの私は15年も同じ車に乗ってきた。屋根を開けて走るのが趣味だから雨の日は乗らない。車の少ない夜中に走るのが好きだ。3時間くらい走っていることもある。3500ccのⅤ6エンジンだがそれほど速い車ではない。
真冬の夜中も路面の凍結さえなければ車を走らせる。
車に温度計がついているので、外気温を見ながら走る。外気温は予想以上に目まぐるしく変わる。市街地が9度でも郊外は零下のことが多い。地形によって2~3度違うことはよくある。
なぜ路面温度計がついているのかといえば、橋などは温度が低くなって凍結していることがあるからだ。橋の下には地面がないから冷えやすい。
車にはエアスカーフといって椅子の首のところから暖かい空気が出る。シートヒーターもついているから寒い思いをすることは少ない。マイナス2度くらいまでは平気だったが、歳をとると少しずつ耐えられる温度が上がってきた。
そこで風の巻き込みを防ぐオプションのプラスティックの板をシートの間につけてみた。確かに風の巻き込みは少なくなるが、排気音がこもったような音になる。
牡丹雪が降っていてもオープンで走る。
雪の降る時はそれほど寒くない。
空が綺麗で星が輝く放射冷却の日が寒い。
風が強い日はどうしても帽子が必要になる。
オープンで走る時に帽子を被ると解放感が減ってしまうが仕方がない。
耳を覆うと解放感がなくなるだけではなく、風の音やエンジン音も聞きにくくなる。
様々な帽子を試してみた。
一番良かったのが内モンゴルで以前に買った山猫の毛皮の帽子だ。耳が出ているが不思議なくらい寒くない。
ほとんどのオープンカーの屋根がソフトトップ、つまり金属の屋根ではなくなった。そうなると機械洗車はできない。夏の夜中に田舎道を走ると虫が飛んできてボディを汚す。その都度、手洗い洗車はできない。
高級ブランドのスポーツカーでもエンジンは1600から1800ccが主流になった。エンジンは少しばかり大きいほうが車の重量感が出るので私は好きだ。
オープンカーで右ハンドル、エアスカーフは諦めるにしても、できれば少しばかり大きいエンジンで、シートヒーター、そしてメタルトップとなるとほとんど条件に合う車がない。今の車は一度も壊れていないが、壊れることを恐れて燃料ポンプなどを変えてきた。夜中の人里離れた田舎道でエンジンストップすることを恐れてのことだ。
新車はもはや手に入らないし、高い車はもったいなくて買えない。困ったことになった。自動車会社は人の好みに合わせて車を作る。私の車の好みはほとんどマイナーな好みになったのだと思う。
さてこの記事を書いている時に外気温4度の中、田舎道を走っていた。
ふと左の上空に鳥が飛んでいるのに気がついた。まさか夜中の12時過ぎに鳥が飛んでいるのだろうか?そう思っていると電子柱に停まった。
野生動物観察用の明るい懐中電灯で照らすとフクロウだった。写真を撮りたいのだが、車は電信柱を行き過ぎている。体を捻じって懐中電灯で照らしながらスマホで写真を撮ろうとしたが、光の当たっているところは手元で光が入ってしまう。両手を交差させてやっとの思いで撮ったのがこの写真だ。フクロウの目の明るさは有名だから目だけが光って見える。車を降りて写真を撮ろうとしたらすぐに飛んでいった。
オープンで走っていなければ上空の鳥に気づくはずもない。
これがオープンカーの楽しさだ。
- 第220回「オープンカーと帽子」
- 2020年09月20日
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