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香杏舎ノート

第116回「漢方医の変遷」

漢方医とは一体何なのか。どんな教育を受けて漢方医になるのか。日本の漢方医はどう変遷を遂げてきたかをみることで、漢方医について考えてみよう。

漢方医の受難期

江戸時代には漢方を専門にする漢方医とオランダ医学を中心とする蘭医が混在していた。明治維新後1883年(明治16年)に西洋医学を学び国家試験に合格したものだけに医師免許が与えられるようになった。漢方のみを医業としていた人々は漢方医継続許可復興運動を起こしたが、1895年に否決された。つまり、これ以降、西洋医学を学んだものでなければ西洋医学にしろ東洋医学にしろ医療行為ができなくなった。西洋医学が急速に進歩し、1895年にレントゲンが発明され、結核がペニシリン(1928年発見)で治るようになると、誰もが漢方医学を顧みなくなった。

昭和40年(1965年)頃、煎じ薬で治療できる医者はわずかに100人、煎じ薬と鍼灸もできる医者にいたってはわずか30人にまで激減した。つまり漢方はわずかな開業の医者と相談薬局で煎じ薬を処方する薬剤師によってほそぼそと受け継がれてきた。ただし、この人たちは大変な腕の持ち主たちだった。西洋医学が全盛の時代、しかも国民皆保険の時代に自費診療で生き残ってくるというのは並大抵のことではない。伝説的な名医はこの漢方迫害時代を生き抜いてきた人たちの中から生まれている。

漢方の全盛期へ

1967年漢方薬がエキス化されて保険薬として使用できるようになると漢方ブームが起こってきた。煎じる手間がなく、保険で飲める漢方は確実に人々の間に浸透していく。だがブームは同時に大きな問題も抱えていた。漢方薬はあっても漢方を教える人がいないことだ。そこで数少ない漢方医を招いて日本各地で盛んに漢方の勉強会が開かれた。漢方に興味のある医者はそういう勉強会にこまめに出席して漢方の知識をつけていった。そして次第に漢方薬は大学病院でも使われるようになり、漢方外来、漢方研究所も日本各地の大学や県立病院に併設されるようになった。

漢方の伝承

漢方が受難の時代、どういう風に漢方は伝承されてきたのだろう。それは開業している漢方医の側で診察を見学するという、昔ながらの徒弟制度のなかで伝承されてきた。
私もそういう徒弟制度の中で漢方を学んだ一人だ。大阪で開業していた山本巌先生の診療所に見学に行き、漢方のみならず鍼灸も教えてもらった。臨床はベッドサイドでの研修が大切だが急に漢方がブームになったために多くの人たちはそういう機会に恵まれなかった。山本先生は名医との評判が高く、中医学(中国の漢方医学)、古方(日本の漢方医学)にも詳しかったから直接指導を受けることができた私は幸運だった。いま様々な方面で活躍している漢方医はこういった受難時代にも生き残ってきた漢方医から直接指導を受けた人たちだ。

中国の漢方

日本は中国から漢方を学んできた。だが戦後しばらくは中国から漢方(中医学)を学ぶことは出来なかった。国交を断絶していたからだ。1972年の日中友好条約が結ばれると、新しい漢方の考え方が中国から入ってくるようになった。今から十数年前、私は中国の要人(名前を明かすことが禁止されているような要人)の主治医を務める老中医を日本に1ヶ月招いて臨床を教わった。その老中医は自分自身が外交官パスポートを持つような人だった。以前は漢方を学ぶこと自体、大変な努力と費用を要した。だが今では日本各地に漢方研究所や漢方外来があるため、そこで修練を積むことができるようになった。

漢方医とは

日本には中国のように漢方だけの医学校があるわけではないが、現在、ほとんどの大学では漢方について何らかの講義が行われている。エキス漢方は一般の医者にも広く定着して、各科の先生は漢方薬を使っている。だから日本の漢方医をどう定義すればいいのか分からない。しいて言うならもっぱら漢方薬で治療している医者をそう呼ぶのが適当ではないかと思う。漢方を自由に使いこなすためには、実際に診療を見学しながら漢方を学ぶ必要がある。また漢方医には西洋医学にも幅広い知識が要求される。漢方外来には内科のみならず婦人科、外科、精神科などの患者さんが来院するからだ。西洋医学を学び、さらに漢方医学も学び、鍼灸にも造詣を深めようと思えば長い時間がかかる。

私の感想

エキス漢方は手軽にしかも保険で漢方が飲めるという大変大きな利点がある反面、体質や症状に応じて中身を加減することが出来ない。また煎じ薬より効果の点で劣る。漢方は医療として十分認識されるようになった反面、エキス漢方だけが漢方と思っている人が多い。漢方には煎じ薬もあり、丸薬もある。さらに鍼灸、刺絡(血を吸い出す治療)、推拿(按摩のような治療)も漢方治療だ。これらを駆使すれば多くの病気に相当の効果を出すことができる。エキス漢方が広く使用されるようになっても、症状に合わせた煎じ薬の加減ができ、鍼灸もできるような本当の漢方医は意外に少ない。漢方治療は広く認識されたが、本来の漢方医学の姿は返って見えなくなってしまったのではないだろうか。

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