【 漢方・整体施術 治療症例 】
57.進行癌の患者さんの施術
癌の転移がある患者さんを施術しても効果は期待できないように思える。
鍼をするのは怖い。鍼が病巣をついて転移を起こさないか心配になる。
そもそも体調の悪い癌患者さんのマッサージをしても効果がないし、もしマッサージが癌に効くならとっくにされていてもうよさそうなものだ。
筋肉をマッサージするのではなく、骨格を整える
患者さんを楽にしようと悪いところをさすっても効果がないが、私の所では不整脈の患者さんを施術で治すし、喘息や潰瘍性大腸炎の患者さんも施術をすることで症状が和らぐ経験をする。
私の治療は施術といっても単に筋肉を緩めるのではない治療をしている。
今から25年ほど前、オステオパシーという治療の大家の古賀正秀先生と出会った。
オステオパシーとは骨格を治す治療で、カイロプラクティックのように急速に力を加えて骨格を治すのではなく、ゆっくりと骨格を正常な場所にもどす治療のことだ。
この方法は単に骨関節疾患、つまり坐骨神経痛や変形性膝関節症に効果があるだけでなく、内臓疾患にも効果がある。
施術が内臓疾患に効くと言われてもにわかには信じられない気持ちになるが、毎日、内臓疾患の患者さんを治していると別に何の不思議もないように思える。医学的にも内臓疾患に効く理由があるからだ。
交感神経は背骨の間から出ている
内臓に分布している神経は交感神経と副交感神経(迷走神経)だ。迷走神経は脳から出て全身の臓器に分布しているが、交感神経は脊髄神経と同じように背骨の中を通って内臓神経に分布している。
もし交感神経が脊髄神経のように背骨に挟まれたら挫骨神経痛が起こるように膵炎や不整脈などの症状が出てもおかしくはない。
こういう理屈で背骨を取り巻く筋肉を緩めてから背骨を正常な位置にもどしてやると、様々な病気に効果がある。
癌患者の治療
こういった知識をベースにして癌患者の施術を始めたのは10年以上前からだ。体調のすぐれない癌患者さんを施術すると、驚くほどよくなる。急に食欲が出て元気になる。
印象的な症例がある。
抗ガン剤の副作用で食事が取れずに痩せてしまった。私のところで丸薬を出したが、それも吐きけが強くて飲めない。太ももは男性の腕くらいに細くなってしまった。
ただ施術をすると薬の副作用が軽減され元気になってご飯を食べられる。そして副作用も抑えられた。
ある時、末期がんのお母さんがお嬢さんに連れられて受診した。薬を2週間処方して施術を受けて帰った。それっきり連絡がなかったが、数か月してお嬢さんが訪ねてきた。じつは最近亡くなったという。
ただ、施術を受けてから急に元気になり、食欲も増して楽しく数か月過ごしていたが、容体が急変して最近亡くなった。お母さんが最後まで元気にできたのは治療のおかげだという。
多くの患者さんは元気になることが多いが、施術は抗がん作用があるようには思えない。
ただ、抗ガン治療の副作用で苦しんでいる人が施術を受けると楽になるなら、それは間接的に癌に効果があるといえるのかもしれない。
基本的に施術師は癌治療を嫌がる
鍼灸師もマッサージ師も進行癌の患者さんの施術を嫌がる。
彼らは健康な人が体の弱った人を施術すると自分の気(元気)を患者さんに吸い取られると信じているからだ。
水が高いところから低いところに流れるように気は流れていく。低ければ低いほど早く流れていく。無論、一般の施術師が進行癌の患者さんの施術をしたことはないだろうし、怖くてさわれないだろうが、基本的にそんな考えでいる人が多い。だが実際には気を取られることはない。
なお、当院では施術だけの癌患者さんを受け入れていない。
漢方丸薬もよく効くから両方で治療効果を上げたいからだ。
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57.進行癌の患者さんの施術 - 2021年10月10日

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