乳癌と蘇木:90歳女性
高齢なので漢方のみで治療したいという。癌を診断した病院の先生も高齢ゆえに抗癌治療を勧めなかった。
こういった事情から漢方だけで治療することになった。
漢方を投与しながら患者さんの癌を触診すると、癌が大きくなったり小さくなったりすることに気がついた。
薬を飲みはじめた頃に癌は縮小したが、その後大きくなったり小さくなったりしながら次第に大きくなっていった。そして5年後に患者さんは亡くなった。
その間、癌による痛みもまったくなく、患者さんは元気に暮らすことができた。癌は老化による免疫の低下から時間をかけて大きくなったのだろう。
山本先生は通導散が癌の痛みを抑えると以前から言っていたが、この患者さんの場合は癌が皮膚を破っても痛みがなかった。
痛みを抑えるのは蘇木だということだが、蘇木単独では癌の痛みが消えるとは思えない。蘇木の不思議な効果についてはいろいろ調べているが、分からないことが多い。ただ、通導散にもともと入っている蘇木をかなり大量に使うと痛みが消えやすいように思う。
以前、抗がん剤の副作用で衣服がすれるだけで痛みを感じる人がいたが、蘇木を加えることで痛みが消失した。
蘇木は癌などを抑えると考えられている駆瘀血剤の生薬としてはマイナーなものだ。牡丹皮、桃仁、紅花などのように多くの処方には出てこない。不思議な生薬の一つだ。
- 乳癌と蘇木:90歳女性
- 2020年07月01日

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