【 漢方・整体施術 治療症例 】
28. へバーデン結節とブシャール結節の合併
指の第一関節の変形性関節症をヘバーデン結節と言い、第二関節の変形性関節症をブシャール結節という。原因は不明だ。
女性に多いことから女性ホルモンの減少による更年期障害のような病気だと言う人もいるようだが、私にはそうは思えない。ステロイドの注射や手術もあるが、整体と漢方薬がよく効く。
でも整体は難しい
整体がよく効くというと、それなら近所のマッサージに行こうかと思う人もいるかもしれない。だが、そういったところに治せる人はまずいないと思ったほうがいい。
人間の関節には自分で動かせる範囲の可動域があるのだが、関節を他人が動かすと自分で動かすより少しばかり可動域が広がる。これを関節の遊びという。
関節可動域は気づかぬうちに小さくなり、それが他の関節に影響を与えて炎症を起こしてくる。炎症を起こしている関節が病気の本体ではなく、他の関節の可動域が小さくなったことで、他の関節にひずみがきて関節が炎症を起こしていると考えればいい。
でも関節の可動域が小さくなれば自分で気づくはずだと思うかもしれないが、そうではない。例えば股関節は赤ちゃんでは180度の開脚ができるが、大人で股割りの出来る人はほとんどいない。つまり関節の可動域が狭くなっても気づかないことが多いのだ。
私の師である古賀正秀先生は手と足の関節の遊び検査法便覧を出しているが、これを実際の臨床で会得するには10年はかかる。
市井の施術所ではほとんど治せないという理由は他にもある。
一つ目はブシャール結節やヘバーデン結節の患者さんがその治療を目的として施術を鍼灸院などに受けに行かないからだ。多くの患者さんを診ないと腕があがらないことはいうまでもない。
もう一つの理由は関節の可動域の分析をするのにはすごく長い時間がかかり、可動域を正確にはかるには数多くの患者さんを診ないといけないからだ。
69歳 男性
25年前からへバーデン結節とブシャール結節が起こり始めて様々な指に広がっていったという。
写真ではひどくは見えないが、痛くて、指が曲がりにくいため拳がつくれない。詳しく指をみると熱を持ち、炎症を起こしている指と、腫れてはいるが炎症があまりない指に分かれている。
そこで七苓丸と慢性炎症を抑える四物湯、それに駆瘀血剤を加味して投与した。無論、全身の整体も加えた。
1週間で効果が出始め、関節の熱が引いてからは四物湯加減と独活寄生湯加減に変えて3か月になるが、かなりの改善をみせている。
さすがにここまで長いとすぐには治ってしまわない。無論、整体も併用している。
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63歳 女性
閉経後に手の関節が痛み始めて10年以上になる。漢方医からの紹介だった。
患者さんはまったく指を握ることができずに指が手のひらから浮いた状態だった。
漢方の炎症を取る薬としては四物湯と黄連解毒湯が有名で、黄連解毒湯の中の黄芩が一番広く抗炎症作用があると認識されているが、あまり効かない。慢性炎症には四物湯加減がよく効き、麦門冬や天門冬も熱を冷ますのを助けるように思う。
1回の施術と漢方の投与により、指は完全に握れるようになったが、やはり引っ越しなどで手を使うと悪くなるが、以前よりはずいぶんいい状態だという。遠方なので整体はあまりできていないが、それでも経過は順調だ。
漢方処方をバラバラにして一つ一つの生薬の効果を確かめながら処方を組んでいかないと、既存の漢方が効くことはない。
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28. へバーデン結節とブシャール結節の合併 - 2020年01月01日

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